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メラニー・マルティネス(Melanie Martinez)の初来日公演で、ファンダムの強さを実感
メラニー・マルティネスの初来日公演に行ってきました。
場所は豊洲ピット。
公演はこの日しかありません。
去年リリースしたアルバム『PORTALS』が、全米で2位にもなったにも関わらず、「初めて」の来日にしては少し寂しい感じがします。
ただ往々にしてこういうことはあり、僕自身古くはBECKの初来日にも足を運んだときは、クラブチッタ川崎が会場でした。
今となっては、BECKをもう二度とこんな小さな会場で観ることはできないでしょう。
今回のメラニー・マルティネス来日公演も、時を経ると同じような価値を持つはずです。
さてメラニーについて、少し触れてみます。
2015年の発表した1stアルバム『Cry Baby』。メラニーは以下のように語っています。
「泣き虫だった人の力になりたい」と語るメラニーはアルバムについてこう語る。「このアルバムを作って、私は私であることに少しだけ慣れた気がするの。制作過程で私は自分を受け入れることが出来た。だから、同じような悩みを持っている人が、これを聴いたことによって自分を受け入れることができたらいいなと思う」
パーソナルなアルバムではありますが、少女の持つ普遍的な不安や悩みなどが様々な曲で表現されています。
続くセカンドアルバム『K-12』では、更にコンセプチュアルになり、丸ごと映画にもなりました。
サブスク全盛の時代では、短く気軽に楽しめるコンテンツが人気ですが、真逆を行く方向性です。
ただハードルが高いからこそ、強力なファンエンゲージメントが形成されていったのだと思います。
そして、2023年に発表された『PORTALS』では、人間でもなくなってしまいました。
デビュー以来、Cry Babyというキャラクターで展開していたメラニーですが、幽霊のような存在になりました。
CRY BABYと同じ精神ですが、異なる器に入ったものですね。これは彼女の死後の旅なのです。だからこれは地球における再生ではなく、死と再生の間の空間における存在なのです。
さて話しを元に戻して、来日公演です。
豊洲ピットに着くと、やはり女性が多いです。8割ぐらいでしょうか。
年齢も20代が中心です。
X(Twitter)では「生まれて初めてライブに行く」とポストしている人も何人か見受けられました。
一体、どんな感じになるのでしょうか……?
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幕が上がると、キャー!!!から、ギャー!!!!!という悲鳴にも変わります。
『PORTALS』からの一曲目、「DEATH」が最初の曲です。
この時点で周りの何人かは号泣されています。
豊洲ピットにカリスマが降り立った瞬間でした。
Lollapalooza Brazil 2023のときとバンド編成などは変わりません。
ウッドベースが良いアクションになっています。
ただ今回は、メラニー自身の衣装がかなりシンプルになっておりました。
顔の化粧?も変更ありです。
観客のシンガロングもずっと続きます。
まるで海外のライブ会場にいるような感じでした。
なおメラニーのイヤモニの調子が非常に悪そうで、序盤はローディーへ仕切りに合図をしていました。
この辺りは、少し可哀想でしたね。
また、豊洲ピットは、それほど大きくない会場ではありますが、セット自体はアリーナとさほど変わりなかったです。
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90分にも満たない短いライブではありましたが、ファンとの結びつきの強さなども感じられ、瞬間瞬間の「濃度」が極めて濃く、総じて満足度は高かったです。
ライブ後のXでは「メラニーの歌で自分が救われた」とポストしている人も何人かおりました。メラニー自身、これからどういう方向に向かうかは分かりません。けれど今後も、少女に寄り添う歌を紡いでいくはずです。