図書No.003 & 004: 『頑張らなくても意外と死なないからざっくり生きてこ』 & 『お前のために生きてないから大丈夫です』 by カマたく
カマたくさんの著書の、仏教味がすごい。
1冊目のもくじの初っ端から、お釈迦さまの教えでいちばんよく目にするやつが書いてある。
最終章(第4章)の最後のテーマは、こんなふうに締め括られていく。
おお。田があれば 田に悩み、家があれば 家に悩む。田がなければ 田がほしいと悩み、家がなければ 家がほしいと悩む。仏説無量寿経ですね。
中道からの縁起からの小欲知足。あれ?やはり道を同じくする先輩でしたか……?
(書いてる!やっぱり!)
ですよね。南無阿弥陀仏をめぐまれた私の人生、気づけばおおよそ悩むということがなくなり、もちろん娑婆のしがらみは諸々あれど、気持ちの上では身軽な日暮らし。勝手な身の上にも命が生きて、ごはんもおいしく、猫もかわいく、有難いことこの上なし。
いやー、カマたく先輩(私より若いけど)、尊敬です。今、この時、全私を代表する野生のブッダだと言いたい。そういば先日、真宗大谷派のイベントにゲスト出演されていましたもんね。納得。
そんなカマたくさんの本、2冊目は、寄せられたお悩みに応えていくスタイル。30個目に出てきた「女性というだけでナメられるのがしんどい、社会的にも不利な人生、女性でいることが苦痛」という相談に対するアンサーを読んで、愛しさのかわりに驚き、あとはやはり切なさと心強さとを覚えた。
LGBT理解増進法の成立に因み、しきりに「ジェンダー」という言葉を聞いたような気がする2023年6月。一方で、私は一年ほど前から「仏教×ジェンダー」の勉強会をオンラインで開催するご縁に遇っていた。その開始にあたり、関連文献をいろいろと探したときに、真宗大谷派常讃寺(石川県野々市市)副住職、藤場芳子先生の書かれた文章を目にし、強く印象に残った。奇しくもこの勉強会の最終回(8回目)のゲストに藤場先生がご出講くださる運びとなり、あらためて、その文章を読みなおしたところだった。
仏説無量寿経、阿弥陀如来の四十八願のうち、ジェンダーと切っても切れない第三十五願について書かれた箇所は、このように結ばれている。
一人の人間である自分が、一人の人間である周囲の誰かと、一緒に、地道に、関係を作っていくこと。驕らず、かといって無駄に遜ることもなく、ひとつずつ淡々と。性に限らず、ナチュラルボーン的なことは、イコール私そのものではなく、またその人そのものでもなく、ただそれだけのことなのだ。それを、歯を食いしばって、踏ん張って、立ち向かうような気持ちで対処して、事実立ち向かわなければならないこともしばしばだなんて、本当はとても馬鹿馬鹿しく、この世は心底疲れるな。
カマたくさんの本に戻ると、続きはこうだ。
仕方ない。私が不利にならないように、今しばらく行動し続けるとするか。できるだけ疲れないように、がんばろう。幸いなことに、ひとりではないし。
※ 藤場芳子先生の掲載文はこちらから引用しています。