読んでいる、読んだ、コミックたち 2024
おはようございます。読書の秋、芸術の秋。ということは漫画の秋です。活字と同じく漫画も紙と電子と両方読みます。子供の頃は貸し借りができたけれど大人になるとなかなか難しい(思いし遠いし)。電子コミックは「試し読み」の増量があるし(実写化・アニメ化、新刊発売のタイミングなど)、SNSで漫画家さんの作風や人となりを知れるから本当によい世の中になったなと思います。こちらも自分の本棚とKindleをリストアップしてみました。
ツルリンゴスターさん
SNSで知ったツルリンゴスターさん、絵のタッチが水木しげる先生のようで、且つ家族の光景や、ご自身の生き様みたいなものがソフトに軽く描かれていてすごく好き。
新月堂(https://singetudo.exblog.jp/)を含めてSNSでの投稿は爽やかだし、作品が書籍化されてとてもうれしい。紙質も装丁もすごくいい。手で持ってめくりたい。ベリーショートを超えて「坊主頭いけるな」という部分やファッションの選び方とか、見習いたい。こんな母だったらなりたかった。
自分が内観するタイミングや、違和感を感じた時にふと手にとって「そうだったそうだった」と自分の胸のもやもややつかえをとってくれる内容とかテーマが多くて、ますます応援したいお1人。
スケラッコさん
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/447837/
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/370846/
1冊目を手に取ったのは熊野を撮影しに行った時に徒歩で往復2時間かけて行った熊野川町にある「Bookcafe kuju」で、磯辺チクワちゃんのお話を立ち読みして買いました。
独特な世界観というか、この方も京都にお住まい(ツルリンゴスターさんも京都だったかな)で、光景や生活の基盤がそこここににじみ出ていて大好き。時々大阪の本屋さんで展示をしたりサイン会を開いたりしていてできるだけ足を運びたいと思っているし、買った服もお気に入り。
盆の国や平太郎の、目に見えない怖いものに対する畏怖みたいなことが、赤裸々で、ハレとケって令和にもあるよね。って共感している。
ヨネダコウさん
電子コミックの本棚の8割がBL本で、とても一般の人に見せられたものではないのですが、デッサン力だったり、特定社会についての知識・情報量が半端ないのと、その具体的な描写力の迫力がすごい。
ドラマCDも全巻揃えてしまったくらいに好きになってしまいました。ただしBluetoothイヤホンを使っているので、外出した時になかなか聞けないのが残念。万が一とても良い声がスマホのスピーカーから流れてしまった日には、赤面では済まされないでしょう。
ストーリーの一部がアニメ化されていて、その映像を見て→コミックを読んで→CDで声の再現を聴くという、贅沢な流れでするりと入りました。最新巻の9巻で待ってました!の光景を見られてちょと幸せに浸っています。次巻が楽しみ。
板倉梓さん
Xで知ったのか、ebookjapanの試し読みで知ったんだったか。ふんわりした絵から想像つかないくらいの感情が湧き上がるストーリー展開、コマ割りにズッキュンと胸を射られました。
私も多分タイミングを逃していたら30代まで処女を背負って暮らしてしまって、それに対してコンプレックスを持ってしまったんだろうと思う。というか、20代での処女喪失は私たちの世代では遅い方で、「まだ未経験」というレッテルは自分自身が貼っていたんだろうと思う。
性教育は遅れているのに、エロ動画や漫画の発達が早い日本という環境で、大人たちはどうやって「性」の目覚めやその先にある「愛」について丁寧に恥ずかしがらず、わかりやすく伝えていったらいいんだろう。と本気で考えてしまいます。
私はレス夫婦なので子がいないし、伝える立場ではないけれど、私が子供の頃にこうやって優しい漫画があったらよかったのにな。と思う。大人もパターンが1つじゃなく、それぞれに悩みを抱えて生きていて、その中で迷ったり相談したり決断したりして、自分に向き合っているんだよ、と。
さもえど太郎さん
初めの巻が無料で読めます。おすすめです。アーティストってなんだろう、それぞれの「つくる」活動に、そこに至る過去に、向き合って前に進んでいる人たちの物語。
コンプレックスがあって、それが原因で子どもながらの心無い言葉に傷つけられたり、両親との呵責に耐えられない青年時代があったり、それを抱えながら大人になっても背筋をシャンとして胸を張れない主人公ジルが、出会いを経て活躍しているんだけれども、不器用すぎて周りがサポートしてくれている光景が、まるで自分ごとのようで見ていてハラハラする。
そのジルの周りに集まる、表情豊かなメンバーにも彼らの抱えている迷いや悩みがあって、それを同胞の優しさに包まれて優しさに変わっていく、波紋のような作品。
あと!美味しそうな料理の表現を見ていると白黒画面なのにもかかわらず、めちゃくちゃ美味しそう。パリに行ってみたい(シャルル・ド・ゴール空港は乗り換えだけ)と思う景色。季節感も丁寧に描き込まれててすごく好き。
ヤマシタトモコさん
この方もスピ的なもの、見えないものを描くのが得意。登場人物の中で笠町君が一番好き。一番普通の人。
「死」「孤独」にどうやって向き合うか、それを抱えながらみんな生きてる。みんな最後は1人でしょう?でもそばにいたいと思うし、だれかによりかかりたい時だってある。よりかかり過ぎてはいけない、たとえそれが親子であったとしても。
両親との関係性がうまく行っていなくて、祖父と伯母と長いこと暮らしていた時に、朝と槙生のような血はつながっていても「人と人」というような暮らし方をしていた。
放っておいてくれる。
その時間と空間に私は救われた。
構いすぎない、必要な時には手を貸す。適度な距離感。
単純に2人共忙しかったし、私も高校は卒業して浪人・大学生・社会人だったし。2人が一番構いたいはずの従姉はたまにしか帰ってこなかったし。
時々、寂しかったし、構って欲しかった。
朝、起きた時に自分1人じゃなかった時の安堵感。
あの時間は戻らないけれど、あの数年間は今の私を形成していると思う。
ということを思い出させてくれる作品。映画は…もう少し落ち着いてから見ます。
近藤聡乃さん