ココルームは問い、問われる
上田假奈代(詩人・ココルーム代表)
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ココルームは問い、問われる Q&A 16
「働くこと」「生きること」「表現すること」の悩み
ココルームにはなぜか毎日のように何度も悩み事や困り事が持ち込まれる。「働くこと」「生きること」「表現すること」からくる多くの悩みや問いだ。カフェにお茶を飲みに来る人だけでなく、仕事に悩む若者、家出人、アルコール依存や精神疾患を抱える人、難民など、さまざまな困難を抱えた人が来るため、持ち込まれる問いも幅広い。お金がない、仕事はないか、住む部屋はないか、家出人を探して、といった具体的なことから、働き方について、社会は変えられるのかといった疑問、孤独や生きづらさを持ちながら現実を生きのびるための方法論、自分も活動を始めたいが、どうすればいいかという相談まで、人生をまるっと問われる。
そこで、第2章では、この場に集まる問いに対して、ココルームに関わる人たちに質問を投げかけてみた。ココルームが取り組む活動や事業は表現や研究、実践があり、地域や社会のさまざまな分野を横断している。だから関わる人も、表現活動をする人、研究者、社会活動家、ピアカウンセラー、専門家、実践者など多岐にわたる。回答者には、自己紹介も含め、経験を踏まえて答えてもらった。一部、座談会形式やインタビュー形式もある。
これら質問と回答者の多様さは、かつて日雇い労働者の寄場に喫茶店を構えるココルームの活動と、関わる人の幅広さを体現するのだろう。ただ、現場の感覚としては出会ってしまったことに対して動いたらそうなっただけのことである。そして、専門家たちが素人の私たちと手助けしてくれた。専門性が細分化された現代において、こうした横断的な取り組みはさまざまな視座をお互いに交換し合う。
私も何度も、それらの問いに答えてきた。問われることは、私の中にある問いと合流する。瞬間さっと影が差し込み、影が深くなる。そこで、慌てないで目を細めて、息を深くする。この章は、質問に対するその答え合わせではない。今回応答してくれた人たちの中には特殊な肩書きを持つ人たちもいる。問い、問われて、自分のことばで応答しようと覚悟を決めた時に、時に人は特殊な肩書きを持つのかもしれない。やがて、肩書きさえ必要のない振る舞いをして、一人の人間としての生き方を見せてくれる。第2章では、悩んでよかった、と思えるような頁のめくり方をしてもらいたい。自ら考え、そして行動した経験は、その人自身のものだから。問いは勇気になって、ひとりの人の日常を支えてくれる。
上田假奈代(うえだ かなよ)
1969年吉野生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。「ことばを人生の味方に」と活動する。2003年大阪・新世界で喫茶店のふりをした拠点アートNPO「ココルーム」をたちあげ、2008年西成・釜ヶ崎に移転。2012年、まちを大学にみたてた「釜ヶ崎芸術大学」、2016年「ゲストハウスとカフェと庭ココルーム」開設。大阪市大学都市研究プラザ研究員。2014年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞。
16の問いと答え、上田假奈代がココルームをはじめるまでの半生、詩人の谷川俊太郎さん、哲学者の鷲田清一さん、美術家の森村泰昌さんと上田との対談3本など、読み応えのある書籍『釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店、ココルーム』(フィルムアート社)は、こちらで購入いただけます。また、書籍の購入がココルームへの支援になります。ぜひ手にとって読んでみてください。
https://cocoroom.base.ec/items/7575462
ココルームは、今ピンチに直面しています。カフェ業と宿泊業の売上が活動の基盤を支えていましたが、新型コロナウイルスの影響で95%の減収です。今日と未来のために新しいであい方をさがしたい、仕事や住まいを失うなど、困った方と力をあわせたい、生きのびる知恵と技をこの街から発信したい。こうした思いから、現在ココルームはクラウドファンディングを実施中です。であいと表現の場を開きつづけていくために、みなさんのご協力をどうぞよろしくお願いします。
https://motion-gallery.net/projects/cocoroom2020
ココルームではみなさんからのご支援をさまざまなかたちで募っています。ふところに余裕のある方は、ご寄付いただけるとうれしいです。
https://cocoroom.org/%E5%AF%84%E4%BB%98%E3%81%A8%E4%BC%9A%E5%93%A1%E5%8B%9F%E9%9B%86/
また、こちらの音声配信へのサポートもお待ちしています!
「働くこと」「生きること」「表現すること」の悩み
ココルームにはなぜか毎日のように何度も悩み事や困り事が持ち込まれる。「働くこと」「生きること」「表現すること」からくる多くの悩みや問いだ。カフェにお茶を飲みに来る人だけでなく、仕事に悩む若者、家出人、アルコール依存や精神疾患を抱える人、難民など、さまざまな困難を抱えた人が来るため、持ち込まれる問いも幅広い。お金がない、仕事はないか、住む部屋はないか、家出人を探して、といった具体的なことから、働き方について、社会は変えられるのかといった疑問、孤独や生きづらさを持ちながら現実を生きのびるための方法論、自分も活動を始めたいが、どうすればいいかという相談まで、人生をまるっと問われる。
そこで、第2章では、この場に集まる問いに対して、ココルームに関わる人たちに質問を投げかけてみた。ココルームが取り組む活動や事業は表現や研究、実践があり、地域や社会のさまざまな分野を横断している。だから関わる人も、表現活動をする人、研究者、社会活動家、ピアカウンセラー、専門家、実践者など多岐にわたる。回答者には、自己紹介も含め、経験を踏まえて答えてもらった。一部、座談会形式やインタビュー形式もある。
これら質問と回答者の多様さは、かつて日雇い労働者の寄場に喫茶店を構えるココルームの活動と、関わる人の幅広さを体現するのだろう。ただ、現場の感覚としては出会ってしまったことに対して動いたらそうなっただけのことである。そして、専門家たちが素人の私たちと手助けしてくれた。専門性が細分化された現代において、こうした横断的な取り組みはさまざまな視座をお互いに交換し合う。
私も何度も、それらの問いに答えてきた。問われることは、私の中にある問いと合流する。瞬間さっと影が差し込み、影が深くなる。そこで、慌てないで目を細めて、息を深くする。この章は、質問に対するその答え合わせではない。今回応答してくれた人たちの中には特殊な肩書きを持つ人たちもいる。問い、問われて、自分のことばで応答しようと覚悟を決めた時に、時に人は特殊な肩書きを持つのかもしれない。やがて、肩書きさえ必要のない振る舞いをして、一人の人間としての生き方を見せてくれる。第2章では、悩んでよかった、と思えるような頁のめくり方をしてもらいたい。自ら考え、そして行動した経験は、その人自身のものだから。問いは勇気になって、ひとりの人の日常を支えてくれる。
上田假奈代(うえだ かなよ)
1969年吉野生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。「ことばを人生の味方に」と活動する。2003年大阪・新世界で喫茶店のふりをした拠点アートNPO「ココルーム」をたちあげ、2008年西成・釜ヶ崎に移転。2012年、まちを大学にみたてた「釜ヶ崎芸術大学」、2016年「ゲストハウスとカフェと庭ココルーム」開設。大阪市大学都市研究プラザ研究員。2014年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞。
16の問いと答え、上田假奈代がココルームをはじめるまでの半生、詩人の谷川俊太郎さん、哲学者の鷲田清一さん、美術家の森村泰昌さんと上田との対談3本など、読み応えのある書籍『釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店、ココルーム』(フィルムアート社)は、こちらで購入いただけます。また、書籍の購入がココルームへの支援になります。ぜひ手にとって読んでみてください。
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ココルームは、今ピンチに直面しています。カフェ業と宿泊業の売上が活動の基盤を支えていましたが、新型コロナウイルスの影響で95%の減収です。今日と未来のために新しいであい方をさがしたい、仕事や住まいを失うなど、困った方と力をあわせたい、生きのびる知恵と技をこの街から発信したい。こうした思いから、現在ココルームはクラウドファンディングを実施中です。であいと表現の場を開きつづけていくために、みなさんのご協力をどうぞよろしくお願いします。
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ココルームではみなさんからのご支援をさまざまなかたちで募っています。ふところに余裕のある方は、ご寄付いただけるとうれしいです。
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現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています