DXは検討する。でも縦割り文化は排除しない。その矛盾を考える
ここあんです。どうもです
日々様々な業種や業態の企業で働く方々とコミュニケーションを取ることが多いここあんですが、企業の指針と実態の矛盾や乖離についてモヤモヤと頭を悩ませることが多々あったりします
そんな中でも、この3年くらいで会社がDXを検討していく方針だが、一向に手ごたえが無いというコメントをもらう機会がとても増えてきた気がします
おそらく約2~3年くらいの活動期間を経て手触り感が持てない会社の担当からすると、このまま続けていること自体が不毛に思えてくる時期かと思います
それなりに予算と人を使っても空振りばかりが続く
そんな話は最近、よく酒の肴になってしまうほどです
DXを推進したり、会社の中で業務改革を検討するような担当者が、この点の愚痴をいうときに出てくるキーワードの多くは以下のような話
・部署横断の取り組みができない
・ウォーターフォール型からの脱却ができない
・結果の読める取り組みしか採択されない為、トライ&エラーができない
・稟議等旧体質な社内ルールによってスピード感が全くでない
・過去からのしがらみが邪魔をして進まない
・社内のITリテラシーが低く、ソリューションも活用されない
・経営層に改革の方針が浸透していない
・結局自分の担当領域以外には誰も興味を示さない
・財布の紐が固く改革に必要な予算が割り振られない
こんな話を耳が痛いほどお伺いしてきました
結局、デジタルの導入は基より、何かを改革する・変化させるということがとっても苦手な日本社会
一体この問題はどこからくるのだろうか…
そんなことを日々考える機会がありがたいことに多いのが現状です
■縦割り文化の弊害
そんな中で、こういった改革の邪魔をする一つの因子を挙げるとすると、「蔓延している縦割り文化」が根深いような気がしています
縦割り文化とは、組織や部署が自分たちの利益や権限を守るために、他の組織や部署との連携や協力を妨げるような文化のこと
組織全体の効率やイノベーションを阻害し、競争力の低下につながると考えられています
もっと平たく言うと、
「となりの部署は他人」
「自分、乃至は自分の担当領域だけうまくいけばいい」
そんな文化が蔓延っているといった感じでしょうか
少し調べてみると日本の縦割り文化を培っている要素には以下のような傾向があるからではないかという意見が多かったです
①終身雇用制度の問題
意外と未だに終身雇用の考えをもっている高年齢層は多いと聞きます
終身雇用制度は従業員に安定感や忠誠心を与える一方で、自分たちの組織や部署に強い帰属意識を持たせる傾向があるようで、「愛着」が裏目に出やすい傾向にあるのかもしれません
②年功序列制度の問題
コチラもいまだに根深い問題。業員の昇進や給与が年齢や勤続年数に応じて決まるという制度です
もう古臭くて頭が痛くなるような制度ですが…これによって従業員に努力や忍耐を促す一方で、自分たちの立場や権限を守るために、上下関係や内外関係を重視する悪影響が予想されます
③コンセンサス主義の問題
日本では、多くの企業がコンセンサス主義を採用しています
これは、意思決定や行動にあたっては、関係者全員の合意や調整を求めるという主義のこと
これによって従業員に協力や責任を求める一方で、自分たちの意見や提案を押し通すことを避ける構造になっているといいます
その結果、他の組織や部署との競争や革新を妨げる傾向が生まれてしまうようです
上記の①~③の根っこをイメージすると、そりゃ縦割り文化が根深く残ることがよくわかります
極端にいうと①~③の概念に引っかかる「ルール」や「人」をすべて取っ払わないと、横串に物事を浸透させていくことなんてできない訳で…
むしろ
「DXを検討しろ!」って発している経営層そのものをリプレイスしてもOKという条件を基にオーダーを出してもらわないと、何も変化しない可能性が極めて高い…
そんな矛盾が発生していることにどれだけの人が気づいているでしょうか…
海外ではそもそも終身雇用制度や年功序列感はあまりなく、「個人主義」で「低コンテキストなコミュニケーション」が前提になっているので、比較的横断的に改革を起こしやすい面はきっとあるのかなとも思います
日本の場合、やはり上を見て、忖度しながら仕事をする
そして、合議制で物事が進む…
構造的に「改革」の難易度は高くなるわけです
■それでも求められるDXや時代に合わせた業務改革
そうはいっても…
このまま旧体質な企業のままでいると会社は伸びない
むしろ、グローバル化していたり、ゼロから時代にあった制度や人を設定できる新興企業に遅れをとってしまう
そんな不安は今後もずっと続いていくのかなという感じです
個人的にはそんな環境の中でも取りうる手が2点ほどあるかとは思っています
1つは【竜巻型】
要は外部を巻き込むことです
R&D領域の活動や検証段階の取り組みであっても、外部企業との情報交換や、共同研究などを含め自社の旧体質を補完してくれるような連携を取ることで副次効果を期待できます
SNSや小さなプレスリリースを繰り返して、外部から社内の印象を変化させていくといて手もあるような気がしています
もう1つは、【歯車型】
小さな歯車を回してやがて大きな歯車を動かす世界観
所属企業における経営課題や事業課題の「勘所」を1つしっかり見極めて、改革のPDCAを回しきることです
小さなアクションや効果であっても、業務改革の有用性を社内に浸透させながら改革領域を広げているような人を何人か見てきています
こちらは少し先の長い話にはなってしまいますが、
こういった人たちのあまりオープンにはならない奮闘が無下にならないことを祈ります
以上です
企業の改革において最大の邪魔者と言える「縦割り文化」
デジタルの導入有無問わず、ROIの改善や売上最大化、業務効率化に向けて回転速度を上げていきたい日本企業、日本社会ではありますが…
まずは、その根深い要因に対して「これでもか」というくらい議論を戦わせてみるのも新しい風が吹く1つの手段かもしれません
了