見出し画像

【21】 認知的不協和

創造的無意識は、「無意識にあるリアリティ」と「現状」が一致していないとき、「現状」をリアリティと一致させるように働きます。リアリティと実際の状態の矛盾を解消するような判断や行動を促します。

創造的無意識がもつ矛盾を解消する機能について、さらに詳しく見ていきます。


私たちが無意識に抱いているリアリティと実際の世界が一致していないとき、ストレス緊張を感じます。

心理学者のレオン・フェスティンガーは、このストレスや緊張を「認知的不協和(cognitive dissonance)」と名づけました。

認知的不協和は、現状をリアリティと一致させ、矛盾を解消させるように私たちを駆り立てます。

たとえば、常に貯金が100万円ある人は、何らかの事情で貯金が50万円に減っていたら、ストレスを感じます。貯金が100万円あるというリアリティと、実際の貯金額が矛盾しているからです。これが認知的不協和です。この人は慌てて節約したり、仕事の効率をあげるなどして、貯金を100万円に戻すでしょう。

夏に外を歩いていて暑さに耐えられず、涼しいカフェに逃げ込むようなものです。

これが認知的不協和の働きです。


認知的不協和は、現状がリアリティより良すぎるときにも生じます。

たとえば、いつも食事をしているレストランの10倍の値段がする高級レストランに招待されたとしたら、落ち着かない感じがするかもしれません。
あるいは、会社で働いて数年のサラリーマンの方が、知人の紹介で企業の経営者ばかりが集まるパーティーに行ったとしたら、居心地が悪く感じるかもしれません。

このとき感じる緊張や居心地の悪さが認知的不協和です。この認知的不協和によって、私たちはいつもの場所、いつもの仲間のところへ戻りたいと感じるでしょう。


自分のリアリティから外れると、認知的不協和を感じ、もとに戻ろうとします。認知的不協和のおかげで、私たちは安定した環境や自己を保つことができています。

しかし、現状を変え、もっと大きなことに挑戦したり、新しいことをしてみたいと思うのなら、リアリティを変える必要があります。リアリティを変えずに「今より良くなろう」「頑張ろう」としても、認知的不協和を感じ、もとに戻ってしまうからです。

変化のためには、現在のリアリティを知り、自分の望むリアリティに置き換えることが必要です。

ワーク
普段よく行っている飲食店を思い浮かべてください。
そこで食事をしているところを思い出したとき、どのような感じがしますか?
次に、そのお店の10倍の値段がするお店で食事をしているところを想像し、先ほどの感覚や体感との違いを比較してみてください。

トライアルコーチング募集中