【24】 創造的無意識の働き〜テレオロジカル〜
ここまで数回にわたって、創造的無意識の4つの機能のうち「秩序の維持」「矛盾の解消」「エネルギーの創出」の3つを考察してきました。
今回は、創造的無意識の4つ目の機能である「テレオロジカル(teleological)」について考えていきます。
テレオロジカルとは、「目的論的」とも訳され、コーチングでは「目標に向かって進む」機能を意味しています。
ここでいう「目標」とは、無意識のリアリティ・自己イメージです。
自分が「これが現実だ」「自分はこういう人間だ」と信じている状態を目標として進んでいくようにするのが、創造的無意識の機能です。
この創造的無意識の機能は、船の自動操縦装置にたとえることができます。
GPSで「目的地」を設定すると、舵から手を離しても自動操縦装置が進行方向を調整し、船は最終的に「目的地」にたどり着くことができます。
途中で舵を操作して一時的に違う方向に進んだとしても、手を離せば再び自動操縦装置が機能して目的地に向かって進んでいきます。
この「目的地」に当たるものが、無意識のリアリティであり自己イメージです。
リアリティを置き換えない限り、意識で一時的に現状を変えたとしても、意識しなくなった途端に元の状態に戻ります。
「目的地」は、無意識の「支配的な映像(dominant picture)」と言うこともできます。
支配的な映像とは、頭の中を占めている映像(picture)です。
意識を向けているものや繰り返し思考していることが、支配的な映像となります。
ルー・タイスはこのメカニズムを、自転車に乗っている子どものたとえを用いて説明しています。
自転車に乗れるようになったばかりの子どもに、「そこに石があるから気をつけて」と繰り返し言っていると、その子は石にぶつかってしまいます。
「石に気をつけよう」とすればするほど、その石に注意を向けてしまい、無意識のうちにその石に向かって進んでしまうのです。
ここで言っている「石」が、支配的な映像です。
「この問題をなんとかしたい」「自分の欠点を変えたい」と思えば思うほど、問題や欠点が支配的な映像になり、その映像に向かって進んでしまいます。
そうではなく、「問題が解決した時、どのような状態になっているか」「どのような自分になりたいか」という理想に意識を向けてください。
「問題が解決した状態」や「理想の自分の姿」に意識を向けることで、それらが「置き換えの映像(replacement picture)」となり、その映像に向かって進んでいくようになります。
「石を避けよう」とする代わりに、「自分の行きたい方向」に目を向けるのです。
問題や欠点を修正しようとしなくても、目標に向かって進んでいくうちに、いつの間にか問題や欠点がなくなっていることに気づくことになるでしょう。
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