テクノはんガチ恋オタクによるヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」広島公演初日感想
前置き
今年もヨーロッパ企画の本公演に行ってきた。
「来てけつかるべき新世界」に触れるのは、2016年の初演と、2021年に「いきなり本読み!」の配信を見て以来。
今回はあえてストーリーの復習などはせずに、8年ぶりの再演を観劇した。
以下、ネタバレありで感想を書いていくため、高知、金沢、札幌公演を観劇予定の方はご注意願いたい。
スタッフ・キャスト
作・演出=上田誠
音楽=キセル
出演=石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅
土佐和成 中川晴樹 永野宗典 藤谷理子 /
金丸慎太郎 町田マリー 岡田義徳 板尾創路
影ナレ
「ギョエー!旧校舎の77不思議」以降恒例となった作中人物による開演前の諸注意アナウンス。
今回は石田・諏訪・土佐のおっさん三人組が担当していた(おそらく)。
今後も引き続き、劇中の登場人物による影ナレを続けていってほしいと思う。
間の使い方
ヨーロッパ企画はコメディー劇団ということもあり、間の使い方がうまいなあと改めて思った。
まず印象に残ったのは、金丸さん演じるキンジが、東京から新世界に戻ってきたシーン。
角田さん演じてワカマツ(キンジの父)が帰ってきたキンジを一目見て、かなりの秒数黙りこくった後、町田さん演じる歌姫と普通に会話を続ける場面での「長めの無言の間」が絶妙だった。
広島公演はツアー終盤ということもあり、間の調整も仕上がり切った状態だったのではないかと思う。
また初演と比較した際、再演でより深く印象に刻まれたのは、キンジと炊飯器の漫才である。
キンジが一人で繰り出すギャグは「売れない芸人」という設定らしく、実際ちゃんとスベっている。
一方でキンジと炊飯器の掛け合いは、作中の設定通りちゃんと面白いし、ちゃんとウケている。
文字が流れるモニター相手にツッコんで笑いを起こすというのは、むしろ一人で笑いを取るより難しいのではないかと素人ながらに感じるが、実際それをやってのけているのである。
これは上田さんのホンが面白いのはもちろん、モニターに文字が流れていく中、どのタイミング(つまりは間)でツッコミ台詞を言うかという、金丸さんの技量が笑いの発生に大きく寄与しているのではないかと考えている。
キンジと炊飯器の掛け合いが初演以上に強く印象残っているということは、初演以上に二人(?)の掛け合いがパワーアップしていたと言えるのではないだろうか。
角田さん演じるワカマツ
記事タイトルにも割り込んできたテクノはんのことは最後に回すとして、テクノはん以外で印象に残った登場人物は、角田さん演じるワカマツだった。
まず、タンクトップからムッキムキの腕が見えるというビジュアルが面白い。
加えて、一挙一動が面白い。
ウキウキで小躍りする動きが劇中に何度か出てくるのだが、その動きが無性に面白かった。
と思っていたら8年前の初演でも、私は酒井さんと角田さんを気に入っていたらしい。
人間とは変わらないものである……。
(角田さんに至っては、マナツ父からワカマツに役柄が変わっているというのに……。)
再演を観劇するという体験
今まで「戯曲を読んだことがあるお芝居を再演で観劇する」という経験はあったものの、「初演を劇場で見たお芝居を再演でも見に行く」という経験は個人的に初めてだった。
再演を見ているうちにストーリーをなんとなく思い出してきたり、マナツ母が通天閣から話し掛けてくるシーンでは、胸がいっぱいになった初演時の気持ちがよみがえってきて二重に感動したりと、初演も再演もどちらも観劇しているからこそ生まれる感情が湧いてきた。
カーテンコール
カーテンコール即物販紹介笑笑。
コロナ以前は、カテコ→客演紹介→物販紹介という流れだったと思うが、客演紹介を飛ばすだけでこんなにも唐突感が出て面白いのか……笑と感じた。
個人的には、久々にカテコでの物販紹介が聴けてうれしかった。
そのまま2回出はけを繰り返し、3回目のカテコで広島にゆかりのある土佐さんからあいさつ。
土佐さんは福山で生まれ、小1まで三次で暮らしていたそう。
私は、土佐さんにとって広島は生まれただけの土地で、生後すぐ関西に引っ越したのだと今まで勘違いしていたため、小1までは県内に住んでいたのか……!と驚いた。
本公演のツアーの始まりと同時期から、カープが大失速した話題に触れ、「広島のお客さんは、その悲しみで笑ってくれないかと思っていた」というジョークで、観劇後の観客をさらにあたためていた。
近年のヨロ企の舞台を見るたびに、「1回でスパッと終わる昔のカテコが好きだった」と、我ながら厄介なクレームを書き続けてきた。
しかし今回のカテコは、一度ステージからはけても間髪入れずに戻ってきてくれるため、あまりストレスに感じなかった。
テクノはん♡♡♡
ここからが本題。
今までの2,000字弱は長い長い序文である(!??)
見た目が良過ぎる
8年前初演を見た際、空から降りてきたタブレットに映る男性を見て、私はテクノはんに一目惚れをした。
理系の雰囲気を醸し出しているメガネを掛けた男性が好きなので、テクノはんうんぬん以前に酒井さんの見た目が元から好きだったのは事実である。
ただ、テクノはんのビジュアルは別格なのである。
恐らく、左へと流した髪型に、カチッとした衣装が自分の好みどストライクなのだと思う。
しかも再演にあたり、そのビジュアルがパワーアップしていた。
初演ではストレートだった髪にパーマが当てられ、衣装はセットアップになり、「CEO感」が増していた。
す、す、す、すきだ……。
テクノはんのこのセリフがいい!
ただ見た目が好きなだけで、テクノはんにここまで入れ込むことはできない。
劇中のテクノはんのセリフの中で、特にグッときたものが二つある。
一つ目は、「マナツさん、僕はあなたに好意を抱いています」。
「好きです」じゃないんすよ!!!!
「僕はあなたに好意を抱いています」なんすよ!!!!!
このセリフ回しに「テクノ」という人物の人柄がギュッと詰まっているのではないかと強く感じている。
そして二つ目は、「マナツ、きょうどこ行く?」。
ひそかにバーチャル空間でマナツとのデートを重ねていたテクノはんが、寝ぼけてバーチャルとリアルを混同し、うっかりリアル世界でマナツを恋人扱いしてしまうシーンである。
まず注目したいのは、役者陣のお芝居。
恋人への”好き”という愛情が如実に伝わってくる酒井さんの声色、セリフの言い方、身のこなし方に対する、理子ちゃんの困惑と恐怖が入り混じった返答。
この二人の感情や言動のギャップが、笑いを生み出している。
またシンプルに、テクノはんの甘い言葉にガチ恋オタクはドキッとしてしまう。ヤバ過ぎる……。
そして何より、「バーチャル世界で勝手にマナツを恋人にしているヤバい奴」であることが発覚したことを機に、新世界の住人たちの間でのテクノはんの評価が「トラやんを助けてくれたものの、やっぱりまだいけ好かない偉い人」から「最新技術についての困りごとを解決してくれる頼れる人」へと明確に変化している。
「思い人と妄想上で付き合っている」という"隙"を見せ、テクノはんが新世界のおっちゃんたちに受け入れられる契機となるこのセリフが、私はとても大好きなのである。
酒井さんと理子ちゃんの関係性
2024年初頭、ヨーロッパ企画の劇団内ユニット「イエティ」が5年ぶりに公演を行った。
この公演には、酒井さんと理子ちゃんも出演していた。
私はこの「逆張ヶ浜に夕陽が落ちる」が大好きで、上記に引用したような割と長文のアツい感想を書くなどした。
よくよく考えてみると、この舞台は酒井さんが理子ちゃんの元カレ役で、作中で酒井さんが未練たらしく気持ちの悪い告白を理子ちゃんにするシーンがある。
おそらく私は、酒井さんが理子ちゃんへの恋愛感情をこじらせて言動が気持ち悪くなる演技が好きなのではないだろうか笑。
酒井さんは劇団の役者の中では年齢が若干若め(なお43歳)なため、理子ちゃん(29歳)の相手役としてキャスティングされがちなのかもしれない。
助けてくれ
観劇後ハイテンションになっていた私は、公演のアンケートに、
みたいなこと書いてしまった記憶がある。
死にたい。
誰か私を殺してくれ。
なお公演アンケートの下部には、本名、年齢、住所を記入する欄があり、私はそれらの情報も全て丁寧に記入した。
実名で何書いてんだ私は??????????????
100歩譲ってギリギリ10代だった初演時にあの感想を書いたのであれば、ギリギリ若気の至りで許される気もしなくはないが、私はもう27歳である。
27歳にして何書いてんだ私は????????????
そもそもこんな反省をしておきながら、なぜ私はこんなnoteを書いているのだろうか。
「ヨーロッパ企画」も「来てけつかるべき新世界」もがっつり記事タイトルに入れているので、劇団関係者は誰かしらエゴサしているだろう。
私は本当に一体何がしたいのだろうか。
当人に迷惑がかかるので一応弁明しておくと、私はテクノはんのガチ恋であって、既婚者・酒井善史のガチ恋オタクではない。
酒井さんのことは、普通に役者として好きである。
嗚呼、テクノはんに会いたい。
残りの地方公演を見に行くのは難しい。
今年もツアー後に配信はあるだろうか。
嗚呼、テクノはんとバーチャル世界でデートがしたい。
テクノはんに好かれているマナツがうらやましい。
テクノはん、私はあなたに好意を抱いています……。