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アリス・マンロー「ピアノレッスン」Alice Munro :dance of the happy shades
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アリスマンローは2013年カナダ人初のノーベル文学賞受賞者で「短編の名手」。
物語は、老ピアノ教師ミス・マルサレスのパーティに、かつての生徒である母と現生徒の私(娘)が参加した日のエピソード。
6月に毎年行われるパーティは退屈で母親たちは「儀式」のように黙従して参加していた。それでもミス・マルサレスがローズデール一戸建てで開催していたパーティは伝統的なもので室内の飾りなど信頼感があったが、バンク通りのバンガローに移った今ではそれもない。
パーティで私のピアノ演奏が終わった後、ミス・マルサレスが私立学校で教えているドロレスボイル(白に近いブロンドの髪で知恵遅れの女の子)がピアノを弾いた。曲は、グルック歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」の2幕「精霊たちの踊り」のピアノ編曲(神の祝福を受けた善人や英雄が死後に暮らす楽園の場面)で、居合わせた聴衆は誰もこの曲を知らなかった。
ミスマルサレスは人生の終盤にピアノを教えなければいけない相手を前にして、演奏に満足していた様子だったが、わたしはセンスのいい演奏とは感じなかった・・。
という物語で、なんてことはない日常を描いた作品。<わたし>はまだ少女ですが、自身を含めた世間の偽善を鋭く眺めていてシニカルな印象を受けました。
曲は物語に出てきた「精霊の踊り」。演奏はエフゲニー・キーシンで。グルックのこの歌劇は愛聴しています。https://www.youtube.com/watch?v=dR6CGp4WJ6w