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サルトル「嘔吐」
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サルトルはプルーストを愛読しており、小説「嘔吐」はプルーストの影響を受けているそうですので(鈴木道彦「プルーストを読む」)、「嘔吐」を読んでみました。
「嘔吐」の物語の主人公ロカンタン(30歳)は、親の遺産で暮らしており、ド・ロルボン氏の伝記を書くことを日課とし、図書館とカフェを往復する日々。話し相手は、図書館にいつもいる「独学者」という人物くらい。自由だが孤独な毎日。
ロカンタンは、海岸で拾った小石、カフェの店員のサスペンダー、自分の手のひらに「吐き気」をもよおすようになる。「吐き気」の正体はわからなかったが、あるとき、公園に生えるマロニエの木の根を見て強烈な吐き気を覚え、それが「実存」の不安からだという啓示を得るのだった。
ロカンタンの「吐き気」が収まるのは、ジャズの音楽の調べを聴いたときくらいだった。
小説では、「実存」についていろいろな言葉で表現されており、ただそこに<ある>もの、特に意味はなく、不条理で偶然的なものとされています。「実存」は人間だけではく、他の生き物や事物も含まれるようです。
ロカンタンは自分自身の意義の無い人生に不安や孤独を感じたのだと思います。そこに<ある>だけでは、生きる虚しさを感じる人なのかと思います。密林や未開の地で暮らす人々は実存の不安は感じるのでしょうか。都市に住む人特有の悩みなのかなと思いました。もっとサルトルの実存について色々知りたいと思いました。
読書のBGMは、ロカンタンが好きなジャズの音楽には詳しくないので、ピアノ愛好家のサルトルが好んで弾いたショパンの曲にしてみました。「嘔吐」にもショパンの「24の前奏曲」がちらっと出てきます。
●Yulianna Avdeeva - Chopin - 24 Preludes