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ロジカルダイエット

ダイエットをテーマにした本は数多くありますが、この本は「最短でやせたい人」ではなく「もう二度と太らない体」を手に入れるためのテキストです。

こんな書き出しで始まる本書は「すぐ痩せられる!「楽して痩せられる!」といったキャッチコピー的な内容に寄ることなく、地に足をつけた王道を行く主張がタイトル通りロジカルに展開されています。

ダイエットの失敗には理由がある

本書の前半ではよくある誤った方向性のダイエットや、ダイエットに関する勘違いが紹介されています。

食事系ダイエット

✔ 単品ダイエット
昭和の昔から令和に至るまで、特定の一品のみを食べ続けるダイエットが世間を賑わし続けました。りんごダイエット、こんにゃくダイエット、寒天ダイエット、納豆ダイエットなどなど。

これらのダイエットはどれも、「カロリーが低めで腹持ちのいい特定の食品を多めにとり、満腹感を得ることで総摂取カロリーを減らす」ことを基本スタンスとしているようです。

著者は特定の食品を利用してやせようという考え方がそもそもの間違いだといいます。特定の食品に頼ることは、必ず栄養の偏りを招き、体に非常に大きな無理をかけることにつながります。

人間の体はそういう我慢に長期間耐えられるようにはできておらず、妙にがんばって長期間やってしまったら、それだけ大きな反動に見舞われて心身に不調をきたす可能性があります。

✔ 食べ順ダイエット
「野菜から先に食べる方がやせる」といった食べる順番を工夫することによるダイエットも意味がないといいます。

この方法は野菜を先に食べると食物繊維が糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇をゆるやかにして、また、食物繊維の多い野菜を先に摂ると胃の中でふくらむため、食べすぎを抑えることにつながることを狙っているようです。

しかし、食べた野菜が胃の中で膨張にするには時間がかかります。最初に野菜を食べてから30分ぐらい空けてからご飯や主菜を食べるのであれば効果もあるかもしれませんが、普通のペースの食事であればどれも一緒に食べているのと変わらないといいます。

その他、ファスティング系ダイエット、糖質制限系ダイエット等にも警鐘を鳴らしています。

運動系ダイエット

✔ スポーツジム・フィットネスクラブ
ダイエット指導をする著者には「週2回ジムに通っているがなかなかやせない」といった相談が多く寄せられるといいます。

やせない理由は「期待するよりもカロリー消費量が少ないから」であり、週1~2回のジム通いで消費できるカロリーはせいぜい1,000kcal程度であり、1日あたりに直すと140kcalほどとなるため、缶ビールを1本飲んだら帳消しになってしまいます。

ダイエットにおいて体を動かす習慣は非常に大切ではありますが、週末のジム通いや週1~2回のジム通いに過大な期待をかけるのは控えるべきといいます。

✔ 短期集中型ダイエットジム
「2か月でやせられる!」といったキャッチフレーズの短期集中型のジムが定着してきましたが、「筋トレをするとあんなにやせられるのか」という見方は見当違いのようです。

筋トレで脂肪が燃えるわけではなく、このタイプのジムは厳しく食事の管理もしているため、やせられているといいます。

通っている期間中はトレーナーに良くも悪くも監視され続けるため、「食事制限せざるを得ない環境」に追い込まれていることが多く、契約期間が終了してトレーナーの管理の眼から解放された途端に食事がいつも通りに戻ってしまい、一気にリバウンドしてしまうケースも多くあるようです。

その他のダイエット

その日の体重をただ記録し続けるレコーディングダイエット、低周波運動器具ダイエット、エステ・マッサージ系ダイエット、腸活ダイエットなど、食事や運動に関わらないその他のダイエット方法においても、効果がない理由や、実施する場合の留意点が紹介されています。

運動は必要だが、運動だけではやせない

ダイエットは食事が9割

ダイエットで「どうすればやせるのか」をロジカルに突き詰めていくと、「カロリーの出し入れ」に終着します。摂取カロリーと消費カロリーを比較し、プラスなら太るしマイナスならやせるというシンプルな話です。

1日のカロリーのプラスマイナスでカギを握るのが食事と運動です。ここまではありふれた話しですが、ここから更に突き詰めると「運動を頑張ってもやせることはできない」ということにたどり着くといいます。

筋トレ自体にはやせる効果はなく、ウォーキングなどの有酸素運動もわずかなカロリー消費にしかつながらず、やせるほどの効果は期待できないためです。

やせるためには日々の食事を見直して摂取カロリーをコントロールすることが絶対条件で、ダイエットは食事が9割と言ってもいいほどと著者は主張します。

それでもダイエットに運動は不可欠

運動だけでやせることは期待できないという主張は上述の通りですが、やはりダイエットに運動も不可欠ともいいます。

運動は大きく分けると筋トレと有酸素運動に分けられますが、それぞれ以下の効果によりダイエットに貢献します。

✔ 筋トレ
筋力が上がる→重いものを持ったり階段を上がるなど、負荷のかかる行動が苦にならなくなる→エネルギー消費量が増える

✔ 有酸素運動
心肺機能が上がる→持久力がつき継続的活動が可能になる→長い時間歩き続けたり、1日中動き回ったりしていても疲れにくくなる→エネルギー消費量が増える

筋トレも有酸素運動も、やせることに直接寄与するというよりは、やせやすい体にするための「土台づくり」として欠かせないものというわけです。

なお、筋肉が発達すると基礎代謝量が上がってやせるという説がありますが、発達した筋肉を持っていても1日中じっとしていたらカロリーは消費せず、鍛えることで動くのが苦痛でなくなるため活動量が上がり、それによってやせるという因果関係のようです。

ロジカルダイエットの実践

合理的かつ効率的にやせる方法

脳や体にとって楽な環境をコンフォートゾーンといいますが、理想からかけ離れた状態の体はいわばコンフォートゾーンで長年にわたって快適な生活を送ってきたために出来上がったものといえます。

そこから非常に厳しいカロリー制限や食事制限に取り組んだとしても、その人の脳と体はコンフォートゾーンに戻りたくてしょうがない状態になってしまいます。急激なダイエットが失敗する理由がここにあります。

ダイエット中、快適なコンフォートゾーンへ戻りたがっている脳や体をうまく納得させて引き留めるために一番合理的かつ効率的な手段が「少しずつ、ゆっくり時間をかけてやせて、脳と体をごまかしていく方法」です。

1日に減らすべきカロリー量の計算STEP

食べていいカロリー量は以下の計算式により算出できます。

「34×なりたい体重」

上記を活用して、ロジカルダイエットでは以下のSTEPで1日に減らすべきカロリーを算出します。

STEP1:現在の体重の自分が1日で消費するカロリー量を、現在の体重×34で求めます。
STEP2:なりたい体重であるために必要な1日のカロリー量をなりたい体重×34で求めます。
STEP3:STEP1で計算したカロリーからSTEP2で計算したカロリー量を差し引いて、1日に減らすべきカロリー量を求めます。


最近運動量は前と比べて増やせていたのですが、運動をすると達成感や疲労感から「少しぐらい食べてもいいよね」となりがちで、結果運動しているのに脂肪はまったく減らない状況が続いていました。この本を読むとまさに自分が今どういう状況にあるのかを理解できて、食事も管理しようという気になります。

記事で紹介したのはごく一部で、他にもダイエットに必要な情報や考え方が数多く紹介されていますので、気になる方はぜひお読みください。


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