『わたしの知る花』町田 そのこ
心の襞を震わす愛おしい物語だった。
人が人を語る時、自分のフィルターを通した狭い世界で相手を判断してしまいがちだ。
勝手な思い込みや先入観が事実を歪めてしまう。
この物語の主人公、77歳で孤独死した葛城平の生きざまを追いながら、人が持つ無情さに憤り、やるせなさで胸が詰まった。
平と関わった人達も、皆それぞれに事情を抱えている。
彼らを見つめる作者の眼差しは時に辛辣でありながら本質を突いていて根底に愛を感じた。
誠実で在るが故、苦難の連続だった葛城平の人生。
それでも彼の周りに溢れんばかりの愛が存在していた事に救われる。
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拙い記事を読んでくださってありがとうございます💗