「文章力も編集力も上げたい」と思った書籍編集者が読んで役に立ったnote50選
編集者をはじめて30年近くになります。いい意味でいえばベテラン、悪くいえば老害(>_<)と呼ばれる年齢になりました。そこでもう一度編集と執筆を学び直してアップデートし、ついでにnoteの運用法を勉強しようと思ってまとめてみたのが、このnoteです。
記事の選択にあたっては、この3年間に投稿された「note」「編集者」「ライティング」ジャンルの記事を中心に、勉強になったnoteを読み込み、迷いに迷いつつ「note篇20本」「編集・ライティング篇30本」の計50本に絞り込んでまとめてみました。
各記事には自分の備忘録もかねて、それぞれ実際に読んだ感想やそこから私が得た学びなどを、コメントとしてつけています。素敵な記事を書かれた作者の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
note篇
note初心者におすすめしたい記事
1)はじめてnoteを使う方に向け、noteの楽しみ方や、気をつけておくべきことなどがまとめられています。いわば「noteの歩き方」のような記事です。発信に対するnoteの考え方がくわしく説明されているので、まずはここから読みはじめると、noteでの発信がより楽しくなります。
2)Facebook、Twitter(現X)、Instagramとnoteを比較して、note特有の強みや特徴について、非常にくわしく紹介しています。〝正しくnoteを利用できれば、人生を変えるほどのインパクトをもたらす効果を得られる〟と筆者のアサヒさんが断言されるのも納得の記事です。
3)書く前に、まずは読んでみようという方のためのnote活用法です。読んだあとのアクションとして、「スキ」「フォロー」「コメント」機能の使い方が説明されています。
4)コミュニケーションが得意ではないというあすずさんが、noteの魅力を語った記事。〝noteだと、自分の気持ちに素直になれます。居心地がよいです〟〝noteだからこそ出会える人がいる〟というのは、まさにpull型コミュニケーションのいいところですね。
5)ライター・作家のいしかわゆきさんが、自己発信の大切さについて説いた記事です。〝インターネットを中心にまわる今、発信しないと見つけてもらえない世の中だからこそ、逆に発信することで誰かの目に留まる〟というのは、前記事の「pull型コミュニケーション」にもつながりますね。
6)noteは使い方が自由なだけに「何をしようか」と迷ってしまうことがあります。そんなときにこの記事を読むと、表現するヒントがもらえます。
7)サイトマップとは、サイト全体の記事構成を一覧できるページのことです。〝読者がほんとに読みたい記事、それは自己紹介ではありません。圧倒的に読まれやすいのはサイトマップです。サイトマップこそが重要なのです〟という伊藤さんが、その作り方を解説しています。
8)『「なぜ今、noteをはじめるか」を一から伝えると、読者に気持ちが伝わりやすくなります』(note編集部)。ファンを増やしていく第一歩としての自己紹介記事の書き方を紹介しています。
9)2)でも充実した内容を発信されていたアサヒさんが、自己紹介のやり方についてまとめた記事です。〝読者をファンにする自己紹介には、人を動かすストーリーがある〟という指摘には、納得させられました。
10)気軽にはじめられる記事の筆頭といえば日記。この記事では、古賀史健さん、くどうれいんさん、岸田奈美さんをはじめとした方々の言葉を引用しつつ、日記の効果、続け方、書き方についてくわしく紹介しています。
noteで書くネタの探し方と、noteの続け方
11)デザイナーで習慣家の井上新八さんによる「ひらめき」の掘り起こし方。〝ひたすら手を動かす時間と、そこから離れる時間〟の繰り返しの中でデザインを生み出していくその手法は、井上さんもおっしゃるように文章においても有効です。
12)〝毎日約2万6千件以上投稿されているnoteですが、3日連続で投稿を続けている人は全体の6.7%ほど〟というデータには驚かされました。本記事では、文藝春秋の村井さんはじめ、数多くの方の「定期的に書き続けるコツ」がまとめられています。
あと、「フォローしてね」と、さまざまな場所でちゃんと伝え続けるのも大切なんですね。これからは心がけようと思います。
13)note大好き編集者くろめがさんによる、ネタの探し方記事です。「他人のnoteを読みなさい」というのは、ネタをパクりなさいと言っているのではありません。
たとえば、〝何人ものクリエイターが悩みや不安として取り上げている題材について、自分で考えて記事を書く〟など、〝あくまでも内容をよくかみ砕いた上で、記事のネタの起爆剤(アイデア出しのためのフック)として〟使わせていただくのが目的だそうです。
自分の頭だけで、「何を書こう」と内省するよりも、時間が短くてすむ。ネタの掘り出し方としては、効率的だと感じました。
14)同じく、くろめがさんと、Webディレクターの桐野ひさやさんによる、noteの続け方記事です。
〝何でも書いていいのがnoteのいいところではあるのですが、ネタ元のトピック、ジャンルを無限大にしてしまうと、実は逆に書けるネタがなくなってしまうのです…!〟(くろめがさん)。だからこそ、記事を書く際には一定の縛りをつくることを提唱されています。
15)前記事でも登場した桐野ひさやさんの記事です。毎日noteで得たものについて、ゆる~いタッチで紹介なさっています。〝どんな内容でも続けているとファン(神)は現れるのだなと思いました〟という言葉には勇気づけられました。
16)編集者・竹村俊助さんの記事です。読むうちに、焦らずコツコツ発信を続けていこうという気持ちになりました。
「いかにしてバズらせるか」を考えることも大切かもしれないけれど、まずは「自分がやりたいこと」「いま考えていること」をコツコツ発信しながら、その日が来るのを待つ。それが大事なんだなと気づかせてくれます。
noteで集客と収入を得るための記事
17)実業家のけんすうさんによる、ファンの増やし方記事です。けんすうさんは、SNSでの情報発信を、①Information(情報)、②Opinion(意見)、③.Diary(日記)に、分けて説明しています。①から入って、②→③へとファンの増加に合わせていくとのこと、参考になりました。
18)けんすうさんの記事を踏まえながら、いしかわゆきさん独自のフォローされる方法を紹介しています。
〝だから、自分の考えや想いを言葉にするって本質的で、自分とは合わない人は離れていくし、共感してくれる人は残るんですよ。それで、「全員と離れたくない!」と自分の考えや想いを表明しない人は、嫌われないかもしれないけど好かれもしないのです〟(いしかわさん)。
自分の「想い」を発信することの大切さが伝わってきます。
19)〝雑誌やWeb媒体に連載を持ったり、本を書いたりする以外に、自分のペースで発信しながら一定の収益をあげられる場所〟としてnoteを使う方法をはじめ、収益化機能の賢い活用法が紹介されています。
20)有料記事または定期購読マガジン・メンバーシップの集客方法を、「読者の目にふれる機会を増やす」「クリックしてもらいやすくする」「購入してもらいやすくする」の3点から解説した記事。無料記事を書く参考にもなります。
編集者・ライター篇
編集者の仕事とは
1)企業の「顧問弁護士」と言う立場から、編集者の習性を分析した記事です。編集者として忘れてはいけない視点が書かれています。〝編集者は「誰も読んでくれない」を前提にしている〟というのは編集者のみならず、ライターの仕事にとっても重要な視点だと思いました。
2)編集者の佐渡島庸平さんの記事です。Chat-GPTをはじめとしたAIが発展するなかで、編集者の役割はどう変わるのか。漫画『夏子の酒』を題材にしながら考察されています。
3)スポーツの世界で広がりつつある「エコロジカルアプローチ」という概念を援用しながら、「振り返る」ということの大切さを説かれています。〝SNSであれば、全てが本番。〟とはまさにそのとおり。
そういう意味では、いまのクリエイターさんは「本番を経験する機会」に恵まれているのかもしれません(それを意識することができればですが)。自分の仕事を振り返ることは大切だなと、つくづく痛感させられた記事です。
編集力を高めるためにできること
4)編集者の横田さんは、この記事の中で書籍編集者(ビジネス・経済系)のパフォーマンスを決める大きな要因とは、次の3つだと述べています。①アスピレーション(志、憧れ)、②マーケットの理解度、③コンセプトをつくる力。本記事では、その勉強法について詳しく紹介されています。
5)毎年売れて重版してくれるロングセラーは、出版社にとってありがたいものです。利益の源泉ともいえます。
本記事では「ほぼ日」の行動指針である〝やさしく、つよく、おもしろく〟を例にとって、ロングセラーの本をつくる方法が考察されています。
6)編集者にもライターにも必要なクリエイティブの磨き方を、作家レイ・ブラッドベリの言葉を例に紹介されています。
アウトプットファーストな考え方がいま流行っていますが、ブラッドベリに言わせると、大量のアウトプットはもちろん、大量のインプットが必要なのだそうです。枯れた井戸から水はくみ出せません。インプットの重要さを改めて感じた記事でした。
ライターの仕事とは
7)『さみしい夜にはペンを持て』『嫌われる勇気』など、著者としてもブックライターとしても活躍する古賀史健さんのnote。
〝編集者はいつも、いいライターを探している。そしてライターはいい編集者に見つけてもらうことを待っている。〟これは、本当にそう。ライターとして仕事をしていくにあたって、たびたび読み返してはお守りにしておきたい言葉がたくさん詰まっているnoteです。
8)〝コンテンツ過多すぎるこの時代に、「誰が書いたんだかよくわからん文章」を読ませるって相当難しいと思う〟(いしかわゆきさん)。その答えが、そのまま記事のタイトルにもなっています。
もちろん自分が面白いと思っても、他の人が同じように思うかはわかりません。だからこそ何度も何度も読み返して面白いかどうか確認し、他の人にとっても「価値」や「新しい発見」や「メリット」があるかを確認していく。ライターにとって大事な視点だと思います。
9)〝ラクに書けた本なんてこれまで一冊もない。書けば書くほどむつかしくなるくらいだ〟。
おそらくそれは、古賀さんが「ラクな道」をあえて通らず、「たのしい道」ーーそれは常に「自分がいまできること」のちょっと上にあるーーを、常に行こうとされているからだと私は理解しました。古賀さんの執筆に対するスタンスがうかがいしれる原稿です。
10)〝コンテンツは、おもしろさが命だ。〟と長らく考えてきた古賀さん。最近コンテンツについて「おもしろい」とは別の価値を考えるようになってきたそうです。
この記事では、「推し」なる言葉を補助線に、「おもしろい」よりも大切かもしれないことについて、思索をめぐらされておられます。私もそういう本がつくってみたいと思いました。
11)いまの人は、noteを読むにしても、スキマ時間の数分で読んだりしています。ということは、一瞬で脳に届く文章を書かないとダメ。この記事では、そのために大切な2つの基本が紹介されています。文章は書くだけではなく描くことが大事なんだなと気づかされた記事です。
12)私自身も、仕事につながるチャンスを数多くつくるために発信しているところがあります。まずは発信し、その後振り返って修正すべきところは、次の発信に活かしていく。そうして発信しながら実績をつくっていく。この記事を拝読して、そんなPDCAを回していくことが大切だと改めて感じました。
13)いざ実践となるとつきまとってくるのが締め切りです。竹村さんは、〝締め切りを守り続けられれば、上位1%くらいには入れるんじゃないかという気がしています。〟とおっしゃっています。
それだけのメリットがありながら、締め切りが守られない理由とその対処法についてこの記事では述べられています。
「読まれるタイトル」のつけ方
14)「いいタイトルをつけたいときにやってみてほしいこと」として、「期待させすぎないタイトルにすること」が挙げられているのが、印象深かったです。SEO対策とし「大事なキーワードを前に持ってくる」というのは勉強になりました。
15)タイトルとは、読者に行動を促すキャッチフレーズ。その点で本記事のタイトルは秀逸です。「ブログ風はNG」と、タイトルに対する一般的なイメージを否定し「どうしてなんだろう?」と興味を誘っておいて、「ふぅ~んの精神」という筆者独自の答えを持ってくる。
思わず引き込まれて最後まで読んでしまいました。本記事ではそんなタイトルの設計の仕方を、図や例を用いながら紹介しています。
16)〝タイトルはその先にある文章の中身を想像させる「予告編」のようなもの。読者がタイトルを見る0.02秒の間に、自分に関心のある情報があると予測させ、ワクワクさせることが必要です!〟(小森谷さん)。
そのために、「興味をそそる言葉を見つける」→「タイトルを組み立てる」という方法を具体的な例を引き出しながら紹介しています。
「届く文章」を書くためにできること
17)読みやすい文章を書くための基本的な考え方と、そのコツを紹介していいます。Web記事の場合、スマートフォンで読む方も多いものです。それを踏まえたコツも紹介されており、これから文章を書きたいという方には参考になる記事です。
18)「読まれる文章」を書くために大事な、内容、段落の区切り方、言葉づかいから、表現、論理構造、タイトル、SEOのコツがまとめられています。個人的には、「表現のカロリーを上げすぎない」と「タイトルで自分ぽさを出す」「SEO狙わない」の3項目が印象に残りました。
19)読まれやすい文章を書くためには、相手の心にスッと入っていく書き方が大切です。竹村さんが例に出している「今家にいます」と「いま家にいます」では、断然後者のほうが読みやすいですよね。
ちょっとした心づかいですが、相手に文章を読んでもらうために覚えておきたい「言葉のおもてなし」の方法が、この記事では紹介されています。
20)〝SNS時代に読まれる文章、伝わる文章を書くためには、ただ「意味」を伝えるだけではなくて、「感情」を動かす必要があります。〟と、19)の記事で竹村さんは述べています。
感情を動かすには「読みやすいデザインの文章」が必要。
この記事では、村上春樹さんの文章を例にだしながら、文章の見ためをデザインすることの大切さと具体的なコツを竹村さんは述べています。
21)竹村さんの文章は、とにかくわかりやすく、スルスルと最後まで読めてしまいます。
同じ編集者として「すごい方だ!」と思っているのですが、その文章の秘密は、タイトルや見出し、文章の随所に、パワーワード(「人を惹きつける力のある言葉」)を入れることにあるそうです。
そこで、この記事では「パワーワード」という香辛料を、どのように使うと効果的なのかが紹介されています。
22)「書くテーマを見つけたい」「伝わる文章を書きたい」「三日坊主でわらずに続けたい」の3テーマに分けて、多くの人に読まれる文章のコツを紹介したまとめ記事です。このnoteで採りあげた記事も紹介されています。
23)臨場感のある文章は、感情移入がしやすく、長い文章でもスルスルと読めてしまいます。そんな文章を書くための4つのポイントを、コピーライターとして長年経験を積まれている小森谷さんが解説した記事です。
24)徒然なるままに記事を書いていると、結構こういうことになりがち。このnoteでは、「結局なにがいいたいの?」という記事になる原因の分析から対処策まで、くわしくこまかく解説されています。
25)くろめがさん的「スキを押したくなるエッセイのポイント」が3つ紹介されています。なかでもたいせつなのは、読者の目線に立って「オチ」を考えてみること。それだけで日記がエッセイに変わると、くろめがさんはおっしゃっています。エッセイを書くのに悩んでいる方へおすすめのnoteです。
26)バズるというのはうれしいものです。しかしそこに関心を寄せすぎると、バズるために書くようになり、「私って、もともとなにを書きたくてnoteはじめたんだっけ」ということになりがちです。
そんなこともあって、竹村さんが文章を書くときに恐れていることの一つに〝「承認欲求に負けていないか」を恐れる〟を挙げているのが印象に残りました。
ずっと書き続けるためにたいせつな考え方
27)佐藤友美(さとゆみ)さんの著作『書く仕事がしたい』の刊行を記念して行われた、担当編集者×著者対談の前篇です。本篇では、『書く仕事がしたい』の生まれた経緯が触れられています。
自分には才能があるかどうかわからないから、無理かもしれない。そう悩んでいる方の背中を押してくれる言葉が詰まっています。
28)同じく、佐藤友美(さとゆみ)さんの著作『書く仕事がしたい』の刊行を記念して行われた、担当編集者×著者対談の後篇です。本編では「書き続けられる人と、そうでない人の違いについて」議論されています。
私自身、原稿からなかなか手を離すことができない人間なので、〝「今時点でのベストを尽くしたので、手を離します」と思えるかどうかは、けっこう大事なことなんじゃないかな〟(さとゆみさん)。という言葉は心に響きました。
29)初めての著書『壁を乗り越える安藤忠雄の言葉』(イースト・プレス)を書いたとき、企画方針が途中で代わったこともあって、立ち上がりから5年かかりました(脱稿を待ってくれた担当編集者のHさんと、イースト・プレスさんには感謝あるのみです)。
もしあのときに、このnoteに出合っていたら、書くのがラクになっていたかもしれない。そう考えたりもします。私が特に励まされたのは〝書き続けるために大事なのは「うまくできない自分を許すこと」〟という言葉。
もしあなたが、書くことに悩んでいたとしたら、ご一読をおすすめします。
30)竹村さんのこのnoteを読んで、絶対これは大トリに持ってこようと思い、そうしました。
ITのことは極論、専門家に任せてしまえばいい。ライター、そして編集者は、なによりもまずアルゴリズムにも左右されないような強いコンテンツを作ることがたいせつだという考え方は大賛成です。
このnoteを拝読して、自分の信じた道を歩いていこうという思いを新たにしました。
「はじめまして」の皆様も、
「いつも来てくださる」皆様も、
こんなに長いnoteを、最後まで読んでくださりありがとうございます!
これからも、楽しく役に立つ記事を発信していきます。
よかったら、スキ、シェア、フォロー、サポートをお願いします。
皆さんにとって、今日が幸せな一日になりますように!
ただいま4刷 構成を担当した書籍が発売中です!