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ガツンと響くキャッチコピーをワードデザイナーが生み出すまで。株式会社木々家の場合。
ワードデザインのお仕事②
吉祥寺のデザイン会社・クラウドボックスでは、「デザイン=誰かの想いをカタチにして伝える仕事(私たちはラブレターの代筆屋)」と定義しています。それはグラフィックデザインのみならず、お客さまのご依頼に応じてパンフレットやWebサイトのキャッチコピーをはじめ、あらゆるテキストに対する「言葉のデザイン(ワードデザイン)」も同じで、「お客さまの想いに寄り添い、文章にして伝え切るところまでを伴走する」ことをモットーとしています。
プロジェクトごとにライターをアサインして、入ってもらうというスタイルが主流の中、クラウドボックスには、お客さまが納得するまでとことん言葉を作り出す「ワードデザイナー」がいます。
このNoteでは、実際の「ワードデザイン」の仕事を定期的に紹介していきたいと思います。
今回はコーポレートサイトの「ワードデザイン」です。
いいですね…コレ。 ピンと来ました。
そう言っていただいたのは、株式会社木々家の社長・林田博之さん。
コーポレートサイトのTOPページ、ファーストビューに表示される動画に重ねるコピー案の中から、ひとつに目を留めての一言でした。
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木々家(はやしや)は、池袋を中心に、やきとん・焼肉・ホルモン焼きなど複数の業態店舗を持つ居酒屋を運営する会社です。コロナ禍となり苦戦を強いられた飲食業界。営業体制の立て直しをせざるを得ない状況の中、縁あってお話を伺ったのが今回のお仕事のきっかけとなりました。
クラウドボックスもコロナ禍の影響を受け、従来の仕事のやり方だけを続けていては生き残ることができないという危機感を抱いていました。そして、「パンフレットを作る」とか「ロゴを作る」とか、単体のデザイン受注ではなく、企業や店舗の「想い」の部分にもっと深く近づいたうえで、必要とされる、あらゆる「デザイン」を実現していく「伴走者」になれないかーーーー。そう想っていた矢先に出会ったのが「木々家」さんです。
ロゴマークのブラッシュアップからはじまって、店内のあらゆる制作物のリニューアルをしていく中、ワードデザインの出番となったのは「コーポレートサイト」のリニューアルでした。
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最終形に至るまで、多くの時間をヒヤリングに費やしました。
言葉の整理整頓から始まるワードデザイン
デザインの伴走が始まった際、木々家の新たな企業理念(ビジョン・ミッション)や、従業員の行動原則・サービス10ヵ条などは、すでに木々家によってまとめられていました。しかしそれはあくまで、社内資料として内部の人間に向けられたもの。行間にある「想い」や、言葉にしきれていない「木々家のお客さまに伝えたいこと」「木々家で働きたい人に伝えたいこと」、つまり「まだ見ぬお客さま」「まだ見ぬ従業員」に宛てたラブレターの部分は書かれていない状態でした。
そしてリニューアル前のWebサイトのテキストからは、林田社長の「ラブレターに書いておきたい想い」が溢れだしているように感じていたこともあって、現在の木々家からアウトプットされたものと、Webサイトに記してあったテキスト、そしてクラウドボックスがデザインの伴走を始めてからヒヤリングしてきた内容… その膨大な量のテキストを整理整頓し、キーワードを抽出。新しいコーポレートサイトの冒頭で一番伝えたいことは何か?を念頭にしたワードデザインを行いました。
最初に提案した6案ほどのキャッチコピーは、実はすべてボツとなりました。方向性は間違っていないけれど、視点が少し違うとか、立ち位置が少し違うとか、この言葉は使いたくないとか…具体的な違和感をストレートに言っていただけたことで軌道修正が可能となります。
少しも妥協しない、納得の行くものにしたいという双方の想いがぶつかる瞬間でもあり緊張感もMAXなのですが、数日後の再提案で「いいですね…コレ。 ピンと来ました。」という言葉をいただき、ファーストビューのキャッチコピーが決定となりました。
男気あふれるボディコピー降臨
ファーストビューのメインキャッチコピーをさらにスクロールすると、その下には「木々家」のミッションを表現したボディコピーが出現します。
かなり渋い、男気のあるテイストのコピーを作ることが出来たのも、たくさんのヒヤリングと、林田社長の仕事に向けた姿勢を感じ取れたからこそ(もちろんお店にも実際足を運びました)。我ながらカッコよく木々家を表現できたと思っています。
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サイトの随所にワードデザイン
コーポレートサイト内には採用ページもあり、そこにも視点を変えたメインキャッチコピーやボディコピーが展開されています。
こちらも林田社長の明確な方向性があったからこそのワードデザインが随所に散りばめられています。
「木々家のこだわり」のページは、社長へのインタビューも掲載されていて、とても読み応えのあるページです。こちらは長い長い「木々家物語」のまだまだ一部。お話を聞けば聞くほどたくさんの「すごい話」が出て来るので、本当に面白いです。改めて「形を変えて発信しましょう!」と提案をしておきましたで、ぜひ実現をさせたいですね。