源氏物語「桐壺」あらましと感想文。


「桐壺」は源氏物語の始めの章であり、主人公・光源氏の誕生が描かれています。
大まかなあらすじを紹介しつつ、自分の感想も述べながら進めていきたいと思います!



桐壺の更衣


天皇の后として女御、更衣など様々な身分の女性が何人も居る中に、天皇に特別愛され大切に扱われている人がいました。
その人は、内裏だいり(天皇の住まい)の中で東北の隅にある淑景舎しげいしゃという御殿に住み、桐壺きりつぼの更衣と呼ばれていました。
(淑景舎は庭に桐の花が植えられているので、別名桐壺きりつぼというのです。)


桐壺の更衣は、天皇から超がつく特別扱いを受けているのですが、その分他の女御たちから非常に妬まれています。
露骨な嫌がらせを受けることもありました。
大納言であった父を亡くし、後ろ盾のない桐壺の更衣は何かにつけて心細い思いをしています。


平安時代、貴族の有力者は自分の娘を入内じゅだい(天皇と結婚)させ、皇子をもうける事を目論んでいました。
皇子を次代の天皇(東宮)にし、自らが政治的な権力を握り一族を繁栄させるためです。


後宮は外戚の勢力が強ければ女御の立場も強くなりますが、同時に帝の寵愛が受けられなければ東宮となる皇子を挙げることができないという、何ともシビアな世界です。

桐壺は帝の愛情だけを頼りに過酷な環境を耐え忍び、そして、二人の間に男の子が生まれます。


光源氏誕生

桐壺の産んだ第二皇子は、非常に美しい顔をしていました。
この皇子が物語の主人公、後の光源氏です。
容姿がよく聡明で、誰もが愛さずにいられない子供です。
天皇があまりに第二皇子を可愛がるので、第一皇子の母である弘徽殿こきでんの女御は、危機感を持ち不満を抱いています。
桐壺の更衣への風当たりはますます強くなっていくのです。


女性たちの嫉妬と怨みの中で数え切れない苦しみを受けてきた桐壺は、第二皇子が三歳の時に発病し、里下がりしてすぐに亡くなってしまいます。


私の中ではただただ薄幸の人というイメージの桐壺ですが、改めて読むと、その美しさと優しさは後宮に仕える人々に深い印象を残していたという記述もあります。


帝は悲嘆に暮れ、他の女御・更衣を呼ぶことも絶えてしまいました。
桐壺更衣の母親も非常に悲しみます。
そんな中弘徽殿こきでんの女御は、月夜に管弦の合奏をして帝の反感を買うなど、かなり強硬です。激しい性格ですよね。


結局、次の天皇となる東宮には第一皇子が即位します。桐壺の母君は落ち込んで仏の迎えを一心に求め、やがて亡くなってしまいます。

帝は第二皇子の幸せを一番に願っていました。皇族としてではなく、元服(成人の儀式)後は源姓を与え臣下として生きる道を歩ませようと決めるのです。


藤壺登場


そんな折、先代帝の子である内親王の姫が桐壺によく似ていると聞き、帝は入内を希望します。
反対していた内親王の母君が亡くなり、帝はますます熱心に
「女御というよりも自分の娘たちの内親王と同じように思って世話がしたい」
と入内を勧めます。


この台詞、一度源氏物語を読んでいるとかなり気持ち悪く感じてしまいます。
年齢差があり、時には、恋愛対象ちゃうやろ…というような立場の女性にも源氏は平気で行くんですよね。
そんな場合によく「面倒をみたい」という言い回しを使うので、自分はこの手の台詞にげんなりします。


ともかく、姫君のお付きの女房や兄君の兵部卿ひょうぶきょう親王も賛成したので姫君は入内することに。
飛香舎ひぎょうしゃ、藤の花が植えられていたので藤壺と名のつく御殿に住み、藤壺の宮と呼ばれます。
容貌も仕草も不思議なほど桐壺に似ており、また身分に関しては今度は誰もケチをつけられないものです。


桐壺を失った悲しみは癒えずとも、自然に昔は昔として忘れられていくようになり、帝にまた楽しい生活がかえってきます。
のちに源氏となる第二皇子は、帝に従って女御の御殿へ行くので藤壺ともしばしば顔を合わせます。
母を覚えてはいないけれど、母に似た女性として藤壺の宮が恋しく、親しくなりたいという思いを抱くのでした。

第二皇子(源氏)はその美貌から世間で
ひかるの君」、藤壺の宮は対句のように
「輝く日の宮」と言い現されるようになります。


源氏元服、そして結婚


十二歳で光の君は元服し、源姓を賜ります。
左大臣の年上の姫君(葵の上)と結婚し、左大臣家に婿として通うことになります。
(平安時代の結婚は、男性が女性の家に通う形式)


元服後はもう以前のように藤壺御殿の御簾の中へは入れてもらえず、源氏は藤壺の宮への恋しい気持ちを募らせるのでした。
姿を見ることはかなわず、ほのかに聞こえる声やその人の奏でる楽器の音を、せめてもの慰めにしています。

桐壺更衣の実家は立派に改築され、二条の院として源氏の邸宅になっております。
こんな気に入った家に自分の理想通りの妻と暮らせたら、と源氏は始終歎息をしています。
源氏の煩悶の種は最初の巻からしっかり蒔かれており、この先何とも複雑になっていきそうな予感です。

「光る君へ」も楽しみです


光源氏は完全無欠な美男子として書かれるので、私達が理想を思い描けるのが楽しいですよね。

大河ドラマ「光る君へ」の登場人物では、町田啓太さん演じる藤原公任きんとうが光源氏っぽい!という声もありました。
たしかに公任の容姿はバランスの取れた美しさですよね。
町田啓太さんといえば、Netflix「幽☆遊☆白書」のコエンマ役でのおしゃぶり姿が印象的でしたが…。

個人的には最近にわかに自分の中で存在感を増す本郷奏多さんが推しなのですが、
光源氏に重ねるには本郷さんに肩入れしすぎているので無理そうです(笑)
(源氏がなかなかヤバい主人公なので)

本郷奏多さんは「光る君へ」で花山天皇を演じています。奔放でありながら繊細なキャラクターです。
これから徐々に退場していかれると思うと寂しい気も。
藤原兼家や藤原道兼のこの先も、どう描かれるか気になるところです。
段田さん好きだし、玉置玲央さんがツイッターでリアタイしてるのも熱いんですよね。

大河ドラマ好きな方、源氏物語の好きな方、よかったらコメントで思いを語ってくださいね。
これから源氏物語と光る君へを追っていきます!

読んでいただきありがとうございました。

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