高齢な親の介護日記⑱
2024年12月26日 金曜日 晴れ
今日は仕事納め。
いつもよりも解放された気分で、いつも通り父のサ高住に向かい、父といつもの散歩に出かけた。
仕事はいつまでなのか
子供達はもう冬休みなのか
お正月はどんな予定なのか
父は何度も何度も同じ事をきいてくるので、いつも同じ話題だけれど話題に事欠かない。
しかし今日の父は自分の記憶力が普通ではなくなっている事を自覚しているのか、こんなことも言っていた。
赤ん坊だった頃、全てがよくわからなかったように
亡くなる前も、よくわからなくなって死んでいくのかなと。
そして驚いたことに、昨日の出来事、
昨日、ついに運転免許証を返納したことも覚えていた。
昨日はパートが休みだったので、父を警察署まで連れて行き、父の運転免許証の住所変更の手続きをしたのだけれど、ついでに返納に応じてくれたのだ。
あんなに頑なに返納は嫌がっていたのに、あっさりと返納に応じてくれたので、こちらが拍子抜けしてしまった。
いつもの喫茶店で向かいに座った父は、無効になってしまった自分の免許証をながめ
「もう誰の役にも立てなくなってしまったなぁ」
と悲しそうに言っていた。
「大丈夫大丈夫!お父さんは今まで家族のために頑張ってきたのだからもう十分だよ」
父が実家からサ高住に引っ越した時に持ってきた大切な物入れの中には
父の母(私の祖母)が生前、高齢者施設で書いていた日記が入っていた。
日記には
『散る桜 残る桜も 散る桜』
としたためられていた。
みんな同じように生まれ、亡くなっていく。
それはみんな等しく順番はまわってくる。
みんな順番、迷惑をかけるのも、かけられるのも、順番にまわってくる。
だからきっと大丈夫。