「ソーイング・ビー」を観て、裁縫はうつに効くかもと思った ◇うつ回復記 その8◇
2019年春にうつ病を発症してから七転八倒の日々を過ごした後、心身の状態は一応落ち着いたが、自己否定の大波にのまれてもがいていた2021年。
Amazon Primeでイギリスのあるテレビ番組に出会った。
タイトルは「ソーイング・ビー」。
裁縫を愛する10名前後の一般人が服作りの腕を競い、チャンピオンの座を目指すバトル番組である。
2021年の時点で配信されていたのはシーズン1から4までだった。
裁縫にはほぼ無縁の人生を送ってきたが、なんとなく感じの良さそうな番組だし、ゆるく楽しんで少し現実逃避できそうだなと気楽に観始めたところ、どっぷりはまってしまった。
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出場者の裁縫歴、年代、性別、職業など、バックグラウンドはさまざま。
コンペでは番組進行役と審査員から「今回はワンピース」などお題を出されて、制限時間内に仕上げなければならない。
なかなか激しい戦いが繰り広げられるのだが、恋愛リアリティーショーみたいな過剰な演出はなく、なんとも暖かい空気に満ちている。
お互いライバルでありながら、うまくいかずに困っている人がいれば助けたりするし、毎回コンペが終わるたびに皆で和やかにティータイムを過ごす様子も映し出される。
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番組を観ながら、ふと、裁縫はうつ回復に効くかもしれないと思った。
色も模様もさまざまな布を見て気持ちが明るくなり、パソコンの画面ごしにも関わらず、布の手触りとかにおいまで伝わってくるような気がして、自律神経が整うような感覚があった。
人がやっているのを眺めているだけでもそう感じるので、実際に自分の手を動かして、静かに集中して素材に向き合い、1つの作品として完成させるというプロセスには、セルフケア、セルフセラピー的な要素が多分にあるのではないか。
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残念ながら私には裁縫の才能は無い。
中学時代、家庭科の授業でパジャマを作らされたが、めんどくさくて嫌でたまらなかった。
ミシンを使ってまっすぐ縫えず、本来進むべきラインからあらぬ方向へどんどんそれてゆく。
締切り間際になってやけくそ気味に、超適当な手縫いでガシガシ強引に仕上げて、悲惨なパジャマを提出した記憶がある(笑)
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そんなことも思い出しながら、出場者たちが平面の布を立体的な服に仕上げていく鮮やかな手さばきに見惚れ続けた。
その時間は自己否定の波は落ち着いていた。
さすがに服作りは無理としても、編み物や手芸で私にもできる何か簡単なものを作ってみようか。
そう思ったけれど、結局トライすることなく今日に至る。
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自分の過去・現在・未来について複雑な感情が渦巻いて、前に進めなかった時期に、裁縫バトル番組という思いがけないものが私を穏やかに支えてくれた。
「『ソーイング・ビー』、なつかしいな~」と思いながら今日、ネットで調べてみたら、なんとNHKのEテレで10月3日からシーズン7が始まるらしい。
本放送 Eテレ 毎週木曜 後10:00~10:30
再放送 Eテレ 毎週日曜 後6:30~7:00
日本のテレビでも放映されていたとは知らなかった。
なかなか人気があるようだ。
吹き替え版なのが個人的にはちょっと・・・なのだけど、現時点でAmazon Primeでは、すでに観たシーズン4までしか配信されていないようだ。
アマプラにシーズン5が入ってから字幕版で観たいけど、配信されるかもわからないし、テレビで7を観るかな。
10月の秋の夜長、ご興味ある方ぜひご覧ください。