アイドルダンスでステージに立てた日
支援級に転籍してまだ一年の長女にとっては初めての学習発表会があった。
区のホールを借り、周辺の3校の支援級が合同で行う発表会である。
私も初めてでどんなものかと思い参加したが、結論から言うとアイドルダンスに泣かされた。
全然泣くつもりなく参加したので、自分に驚いてしまった。
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発表会への練習が続いていたここ2週間ほど、長女は毎日「あー発表会失敗したらどうしよ…」とどちらかと言うと、マイナスな発言を繰り返していた。
発達がゆっくりな長女の特性かもしれないが、失敗をとても恐れる。今まで色々うまくできないことがあった経験が、そう思わせるのかもしれない。
「失敗しても大丈夫!とにかく精一杯出来れば良いよ!」
と私も夫も励ましていた。
と、発表会前日の朝。「だるいから休みたい。」と言い出した。
確かに夜少し咳はしていたが…休むほど?
と思ったが、どちらかと言うとメンタル面で休息が欲しかったのかもしれない。
本番には出たいと言うから、思い切って前日は休ませた。
休みだとわかった瞬間に再び寝始め、病院で薬をもらってからはもうすっかり元気になっていた。
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というわけで、当日は元気に参加できたのだが、あんなに心配していたのが嘘のように、晴々とした顔でホールに入れた。
観客席では隣に座るのだが、「本番楽しみー!!」という始末。何だったんだ、これまでの毎日!
心の充電をして、長女はプレッシャーをしっかり味方につけたようだ。
不安がっていた鍵盤ハーモニカの演奏。
心配があったとは思えないほど、堂々と発表できていた。
そしてタイトルのアイドルダンス。
紅白歌合戦でも歌われていた、YOASOBIの「アイドル」だ。
涙の理由がいまだに自分でもよくわからないが、親の知らないところですごい勢いで成長してるんだなと思った。
保育園や通常級ではどちらかと言うと端の方で踊ったり、発表してることが多かった。
それが今はステージの真ん中でアイドルのダンスを踊っている!
1年前よりたくましくなっている、確実に。
嬉しい、寂しい…卒園式のときみたいな不思議な気持ちにさせられた。
ステージから帰ってきた長女に泣き顔が見られるのが恥ずかしく、「頑張ったね!!」くらいしか言えなかった。
帰宅したらもう少し気の利いたことを言ってあげよう笑