秋が来た
金木犀の香りがした
夏はもういない
空に浮かぶ雲が低くなって
秋が歩いてくる
遠くで鈴虫が鳴いている
夏はもう響かない
街路樹の影が長く伸びて
秋の足音が近づく
赤い葉が道に積もり始めた
夏の残像が消えた
冷えた風がそっと頬を撫でる
秋よ、ここにいろ
マフラーをつけた君がもうすぐです
夏はもう忘れ去られて
ふと立ち止まり影を見つめた
秋の色が胸に染みる
日差しは柔らかくなって
夏は遠く霞んでいく
君のいない日々が色あせて
秋が僕を包む
僕の心は風に舞う枯葉のように
夏はもう戻らない
色褪せた思い出が舞い戻る
秋は寂しさを運んで
胸の奥は少しだけ冷たくなって
夏が去った後の静けさ
君と過ごした夏が遠く霞む
秋よ、このままでいてくれ
心も静かに枯れていく
夏はもう帰らない
冷たい風が心をかき乱す
秋は僕の中で揺れている
君がいた頃の温もりはもうない
夏は遠くに消え去って
それでも秋はまた巡り来る
秋よ、ここにとどまれ