もれ出ずる根っこ
気が付いたらここに来ていたの、とか
僕は無意識にその扉を開けていた、とか
そういう表現って本とかドラマでよく出てきますよね。
そんなこと、あります?
わたしには一度もありません。
根が小心者、ということも大きく関係していると思いますが、意図せずにいつもと反対方向の電車に飛び乗ってしまったことなどないし、わたしが無意識に開けるのは自宅の扉だけです。
何か行動を起こすとき、それを行ったらどのようなメリットとデメリットが発生するか、周囲にどの程度の迷惑が掛かるか、誰かに怒られる可能性はあるか…などと考え尽くしてしまう癖のあるわたしの辞書には「無意識」などという文字はありません。
だから、気付いたら○○していた、などというのはファンタジーであって、政治家の「記憶にございません」みたいなものなのではないか、と思っています。
ただ、そんなわたしにも、普段考えているとも考えていないとも判別できないものが、ふとした拍子に口をついて出てくる、ということがあります。
***
ある日、取引先の方から「面倒だったらいいんですが…」とオズオズと連絡が入りました。
今までの方法だと、実は裏でえらい手間が掛かっているので、可能であれば仕事の進め方を変えてもらえないか、との相談でした。
わたしはふたつ返事で請け負い、こう言いました。
「しなくて済むしんどい思いは
しないに限りますからね!」
これは、わたしの仕事や家事におけるモットーとも言うべき心掛けです。
とは言え半紙に筆で書いて貼っているわけでもないし、常日頃から公表したり自己紹介文に載せたりしているわけでもありません。
ただ、わたしの普段の言動をよくよく思い返してみると、あとたぶんnoteでも、わたしはいつも同じようなことを言っているのです。
「若い時の苦労は買ってでもせよ、とか言うけど別にしなくていい苦労はしない方がいいよね…」
「そこに立ちはだかる壁があったら、出来れば登らないで避けて通りたいな」
わたしは、そんなことばかり言っている。
ブルシットジョブは出来る限り省きたいし、何の結論も出ない定例会議とか、上司の自慢話か上司への愚痴大会か2択の飲み会に参加するくらいなら帰って夫と喋りたいし、家電とか家事代行とか、使えるものは何でも使って楽したい。
それと同じように、他者の手間を減らす為にわたしが仕事の流れを変えるくらいどうってことはないので、何かわたしに出来ることがあるなら遠慮ゼロで言ってくれ。まじで言ってくれ!と思っている。
そんな思いが気付いたら、口から出ていました。
企業理念、があるように、人には人の「人間理念」とも言うべき根っこの部分があって、それは時々こうやって、気付いたらもれ出ていたりするもの、なのかもしれません。
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