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見てはいるけど「見えて」はいない
何年か前、管理職のパワハラがきっかけで辞めてしまった人がいました。
飽くまで「きっかけ」というだけで、それが退職理由の全てではない…とは言え、確実に原因の内の大きな1つだったと思います。
管理職は、外面はいいくせにコソコソ嫌がらせをするような人で、上司がいない時間を見計らって小声で彼女にストレスを掛けるなど、完全に性根が腐っている行動を度々していました。
わたしは気付くたびに間に入っていましたが、自分の仕事をこなしながらなので、全ての仲裁に入れるわけではありませんでした。
管理職は今、当時の悪行を無かったことのように振る舞っていますが、わたしはしっかり覚えています。
一見分け隔てなく接しながら、記憶にロックを掛けています。
そう簡単に忘れると思うなよ。
新入社員を弊部署に受け入れるにあたって、辞めてしまった彼女と管理職の当時の争いについて、上司と記憶の擦り合わせをする機会がありました。
同じ轍を踏むわけにはいきませんからね。
上司は、最初の頃、2人はすこぶる上手くいっていた、と主張しました。
あまりに仲が良いので付き合っちゃうんじゃないか、なんて噂話を同僚としたことがある、と。
…はい?
同じ場所で仕事をしていても、見えている景色はこんなにも異なるものなのか!
と衝撃を受けました。
彼女は中途入社でしたが、まだ20代だったし一般職採用。
教育担当で管理職の40代に、最初から口答え出来るわけないじゃないですか。
まずは仕事を教わらないといけない立場なのですから、愛想笑いもするでしょう。
下手に出ることもあるでしょう。
言いたいこともグッと飲み込むでしょう。
そこには、上下関係と師弟関係という、ダブルの広くて深ーい河が流れているのですから。
逆に、どうして初っ端から忖度無しで接していると思った?
彼女と管理職の折り合いが明らかに悪くなったのは、彼女が仕事を覚えて自立した頃と時期が一致します。
彼女としては、自分に仕事を預けて、更に元々管理職の仕事だったものすら一般職の彼女に振って、業務時間内にフラフラと別フロアに行ったりタバコを吸いに行ったりネットサーフィンしている管理職に、憤懣やる方ない思いだったはず。
そりゃあもう一人前なのですから、口答えもするし不公平も訴えますよ。
上司には、その辺りの機微が見えていなかったようです。
付き合っちゃうんじゃないかと思った、なんて。
ご冗談でしょう。
あーびっくりした。
…ということは
わたしにも、目に入ってはいるけれど見えていない景色が、きっとある
ということなのかもしれないな。
と、怖くなった次第です。