【北極百貨店のコンシェルジュさん】 嫌われ役トキワ君は単に嫌なやつなのか?



【北極百貨店のコンシェルジュさん】とは?

西村ツチカさんによるファンタジー漫画です。
2023年にアニメ映画化されています。

大まかな内容 絶滅種と人間

主人公の秋乃 小さな動物客の目線に合わせているシーン。
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秋乃の勤める北極百貨店には日々様々な動物のお客さんが来店します。
その動物たちの悩みをコンシェルジュ秋乃が解決していくという物語です。

また、北極百貨店では絶滅種の動物は V.I.A(Very  Important Animal) と区別されています。
本作に登場する絶滅種は、そのほとんどの種が人間の消費活動が要因で絶滅したと書かれてありその絶滅種の消費活動をサポートするコンシェルジという構図はなんとも皮肉なものです。

そのような構図がありつつも、秋乃目線ではコンシェルジュとV.I.Aとの優しさ溢れる触れ合いが描かれ、そのような皮肉めいたメッセージを感じることはありません。

絶滅種を特別扱いする風潮に逆行するトキワ君

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トキワは北極百貨店の外商員で、お得意先はもっぱらV.I.Aであるようです。
彼は「V.I.Aには何の感情も持ち合わせていない」という発言があったりと、物語のテーマとは逆行した思想の持ち主であるように描かれています。
また、作中で彼は生き残っている種(特に人間)は絶滅した種に対して生存に有利である(あった)という風な発言もありそのような文脈上での強さ、弱さにこだわる人間でもあります。
まさに悩みに寄り添うコンシェルジュとは対極の位置にあり、嫌われ役として作中では疎まれ落とし穴に落とされたりしています。
しかしながら、彼の生存や種の繁栄という純粋で原始的な価値観が一方的な悪とは言い切ることはできない事自体、トキワという人物の魅力の一つであると考えています。
確かにトキワは、北極百貨店側の理念には沿わないのかもしれませんがその一方で北極百貨店のある種の異常性を常に異なる目線で指摘することができる人物でもあるのです。

注(過去の人間の絶滅種に対する行為を良しとするわけではなく、単純な価値観の相違があるという側面をピックアップしています。)

まとめ

総じて、トキワという人物は作中で嫌な立ち回りを見せていますがそれは価値観の相違でそう見えている部分があるのではないか、という疑念とその相違による冷静な指摘ができるからこそコンシェルジュというサービスの異常性やその価値観の利点を再確認させられるといった可能性を秘めたキャラクターです。
また、北極百貨店の真の優しさとはそのように再確認することで気づかされるものでは無いかと考えています。

書籍

アニメ Blu-ray&DVDが2024年4月24日(水)に発売予定

本日2月4日より予約が開始されています。


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