庭師になるまで02 庭づくり開始
いよいよ自らの手による庭づくり開始。
「木を植えるくらいなら自分でもできるだろう」と、軽い気持ちで挑戦するが、この自信は脆く崩れ去ることになる。
なぜ上手くいかないのか。
色々なことがわからないまま、”まずやってみる”と不思議なことに”ご縁”が生まれて道が開けていった。
人生よくできたものだ。
硬すぎる粘土&砕石
荻野さんの本でイメージを膨らませ、植木センターで木を購入し、植え場所を確認してスコップを刺しこむと、
「か…硬い!」
そういえば、庭師さんがめちゃくちゃ硬いと言ってた。
お隣さんによれば、敷地の土は土壁に使われるような粘土で、雨が降ればドロドロ、乾燥すればガチガチ、一般的には植栽に不向きな土らしい。
重くて硬い土に苦戦しながら掘り進めると、
「ガンッ!」という音、嫌な予感…
なんと粘土の下に5㎝ほどの砕石の層が…
おそらく建築工事の際に敷き詰めたものだ。
道路側のほぼ全面に埋まっていると予想する。
庭を自分でやることは伝えていたので、取り除いてほしかったが今更言ってもしょうがない。
過度なクレームは周りに回っていつか自分の首を絞めるので、なんとかなることなら諦めも大事。
しかし、この粘土&砕石の最強タッグは、粘土にスコップを刺すも石がかみ、石を外すにも粘土が掴んで離さない。
石と粘土がお互いの特性を発揮した相性抜群の悪魔のコンビ。
粘土の重さの石の硬さであっという間に体力を消耗させられ、今後の庭づくりにおいても苦戦を強いられることになる…
またしても木の調子がおかしい
何とか植え穴を掘り、ネットで調べた方法で根元を地面の高さに揃えて、水極めという方法で植え込んだ。
植え込み後、しばらくすると木に異変が…
「……紅葉?」
と、思いたいけどまだ9月。
そんな希望も虚しく、葉が茶色く枯れ始めている。
先月、旅に出たアオダモが脳裏をよぎる。
説明すると、これは粘性土に深植えしたことによる根腐れ。
浸透性のない土壌に植え穴を掘ると、そこだけ土が柔らかくなりプールのように水が溜まる。
滞水によって水と空気が動かなくなると、根に酸素が供給されず根腐れが発生するという仕組み。
今でこそ、原因の判断や対処が思いつくが、当時は何が起きているのか、まったくわからない。
庭師さんに植えてもらった木も、自分で植えた木も、どれも元気がない…
衰弱する木を見て不安になる日々が続いた。
救世主登場
困り果てていたところ、インスタで木の生育について色々と発信されている方がいた。
JINEN GARDENの江川さんだ。
木の生育が心配で思い切って相談してみたら、土中の環境改善や雑木の植え方・扱い方、粘性土の改良方法など、自らの経験による知識・技術を素人の僕に惜しみなく教えてくれた。
当時の僕には理解が及ばないことも多かったが、
・雑木は高植えが基本
・木の向きは日差しに対して裏表がある
・密植して光や風を緩和する
・マルチングで暑さ寒さから守る
など、イメージできることから実践していった。
その後現場を見学させてもらい、我が家のような浸透性の期待できない土壌でも、植栽マウンドに縦穴や横溝を通して水と空気を動かせば植栽が可能なのだと知った。
考えてみれば、人も呼吸できなければ苦しいし、服を着ていなければ暑さ寒さに耐えられない。
「高植え=呼吸」
「マルチング=服」
というように、人も植物も同じ”自然の一部”と考えれば、必要な対処は感覚的には判断できるんじゃないかと思った。
自らの手による庭づくりは失敗の連続だったが、江川さんとの出会いをきっかけに浸透性の悪い土壌での植え方を学び、木の生育に興味を持ち、次第に土の中のことへ関心が向いていくようになる。
次回は、”土中環境との出会い”。
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