柿野孝彰

柿野孝彰

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庭師になるまで06 自然の循環に学ぶ

見えない”土中の世界”や”植物の知性”を知って、僕の自然観は大きく変化した。 それまで見逃していた足元の資源や、生態系のバランスを活かした場を設えたいと思った。 できるだけ逆らわず、自然の循環を取り入れる。 "コントロールではなく手入れ"を通じて対話する学びの庭づくり。 落ち葉はごみ? 一般的に見ればコストをかけて処分される落ち葉。 今では魅力的な資源で、邪魔者扱いされるのはちょっと切ない。 土に落ち葉を被せることで表土が保護され、雨による土壌の流出や締固めを防ぐ。

    • 庭師になるまで05 驚くべき菌類の働き

      土中に配慮した環境づくり。 そこで欠かせない「菌糸」の働き。 見えない土中で繰り広げられる菌糸と樹木の共生関係とはなんだろう。 「菌根ネットワーク」や「植物の知性」といった”森の相互扶助”システムや、自然の仕組みを知るうちに、気づけば世界の見え方が変わっていた。 庭づくりをはじめる前とは別人になった僕がいる。 菌糸の正体 菌糸の働きには触れたが、そもそも菌糸って何? 白い糸状のものってのはわかったけど… その正体は、実は僕らの暮らしに馴染みがあり、秋の味覚を代表する

      • 庭師になるまで04 良い土、悪い土

        土中環境との出会いによって、庭づくりの方針が見えてきた。 現代社会において”無いもの”とされがちな”見えないもの”。 その「見えないものを想像する力」が、自然や生き物を相手にする上で大切だったのだ。 見た目ばかりを重視した植栽ではなく、土に学び、森に学び、その仕組みを生かした環境づくりを目指したい。 人生学ぶことだらけ。 良い森の条件 木が健全に生育するためには何が必要なのか。 生息地である森について調べてみる。 まず、良い森とは? 土中環境より掻い摘んでいえば、

        • 庭師になるまで03 土中環境との出会い

          JINENさんの現場見学の際にでてきた”通気浸透水脈”というキーワード。 理解が追いつかないまま検索してみると、高田造園設計事務所の「雑木の庭づくり日記」にたどり着いた。 ここから見えない土中への関心を高め、庭は自然や環境問題とも延長線にあると思うようになる。 ごく個人的な楽しみでスタートした庭が、世の中のことを考えるきっかけになるなんて… 人生わからないもんだ。 雑木の庭づくり日記 高田造園の代表の高田宏臣さんは、造園・土木からスタートし、現在は傷んだ地球を再生する

          庭師になるまで02 庭づくり開始

          いよいよ自らの手による庭づくり開始。 「木を植えるくらいなら自分でもできるだろう」と、軽い気持ちで挑戦するが、この自信は脆く崩れ去ることになる。 なぜ上手くいかないのか。 色々なことがわからないまま、”まずやってみる”と不思議なことに”ご縁”が生まれて道が開けていった。 人生よくできたものだ。 硬すぎる粘土&砕石 荻野さんの本でイメージを膨らませ、植木センターで木を購入し、植え場所を確認してスコップを刺しこむと、 「か…硬い!」 そういえば、庭師さんがめちゃくちゃ硬

          庭師になるまで02 庭づくり開始

          庭師になるまで01 木が枯れる

          2019年の4月に自宅が竣工し、その年の8月から自らの手による庭づくりを始めた。 庭を通して自然と関わりを持つことで、自分が学んだこと、変わったことを振り返ってみたいと思う。 最初は庭師さんに依頼 竣工時は、友人の設計士経由で庭師さんが入り、ウッドデッキやフェンスの要望を伝えてその他はおまかせで依頼した。 【提案内容】 アプローチ ・樹脂枕木 中高木 ・アオダモ ・イヌシデ ・ジューンベリー 灌木(低木) ・コデマリ(複数本) ・アベリア(複数本) グランドカバー ・ク

          庭師になるまで01 木が枯れる

          自己紹介

          はじめまして。 柿野孝彰(かきのたかあき)といいます。 1986年愛知県生まれ、2006年より母校の建築専門学校にて教育に携わっています。 2019年から自宅の「庭づくり」を始め、庭を通して生き物と関わることで自然の見方が大きく変わりました。 そのような変化や、ありがたい”ご縁”を頂いて、少しづつ環境が変わり、自分も変わり、この3月末で18年間務めた学校を退職することになりました。 4月からは「庭職人」として一から修練を積んでいきます。 38歳の転職にあたり、”これ