デジャヴ
「あれ?これさっきも見たような」
キキーッ!ドンッ!
僕はトラックにはねられた。
この光景なんかみたことあるような気がする。
これがデジャヴってやつか。
ドサッ。
僕は地面に叩きつけられる。
痛い。
息ができない。
一瞬の出来事で走馬灯をみる暇もなかったな。
僕の意識は途絶えた。
「あれ?これさっきも見たような」
キキーッ!ドンッ!
あれ このトラックさっきと同じ色だ。
吹っ飛び方もおんなじ気がする。
ドサッ。
だから地面に叩きつけられるのは痛いのよ。
息ができない。
僕は薄れゆく意識の中で、また次があれば避けよう と誓った。
「あれ?これさっきも見たような」
僕はハッとして目の前のトラックを回避しようとする。
キキーッ!ドンッ!
あれ?
おかしいなまたおんなじようにふっ飛ばされてる。
避ける方向がまずかったか?
ドサッ。
俺は一生この地面を許さない。
もっと優しく僕を受け入れて欲しい。
クソ…。
今は右に避けたから次は左に…
「あれ?これさっきも見たような」
「フンっ!」
僕は身体を左にねじりジャンプしようとした。
キキーッ!ドンッ!
僕の身体は見事な放物線を描いて飛ぶ。
左もダメか…
ドサッ。
次は受け身を取ることも視野にいれよう。
この痛み。だんだん腹が立ってきた。
左右はダメ。
次は車体の下に潜り込むしかない…
「あれ?これさっきも見たような」
「ここだっ!」
僕は勢いよくその場にしゃがもうとした。
キキーッ!ドンッ!
ダメだ。
間に合わない。
しゃがむ前にトラックとぶつかってしまう。
ドサッ。
受け身って難しいんだな。
何回やっても頭から落ちてどうすることもできない。
痛すぎる。
回避は不可能らしい。
運転手になんとかブレーキを踏ませないと…
「あれ?これさっきも見たような」
「おーい!」
僕は両手を振り上げて叫ぶ。
キキーッ!ドンッ!
あの野郎スマホ見てやがった。
僕のことなんて ぶつかる直前まで認識していない。
そりゃこれだけ吹っ飛ぶよ。
ほぼノーブレーキだもの。
ドサッ。
毎回ちゃんと新鮮に痛い。
辛すぎる。
次は後方に大ジャンプをして衝撃を和らげよう…
「あれ?これさっきも見たような」
「ハッ!」
僕は後方にジャンプする。
キキーッ!ドンッ!
トラックのスピードを相殺することなど出来るわけないか。
全然勢いは死んでない。
綺麗な放物線だ。
ドサッ。
あーもう。
痛い。
アドレナリンとか出ないのかな。
万策尽きたかも…
「あれ?これさっきも見たような」
「でりゃあ!」
僕はトラックに正拳突きをかました。
キキーッ!ドンッ!
まぁそうね。
なんとかなるとは思ってなかったよ。
一矢報いたいと思っちゃったのよ。
ドサッ。
痛い。
これっていわゆるループしてるってヤツだよね。
やり直すチャンスをくれるのは有り難いんだけど…
もうちょい前にもどしてくれないと…
「あれ?これさっきも見たような」
……。
キキーッ!ドンッ!
これってもしかして…無限ループに突入した?
ドサッ。
……。
「あれ?これさっきも見たような」