ピカソとマティス カラフルな1日
南青山にある「ヨックモックミュージアム」に行ってきました。
現在、「ピカソ いのちの讃歌」が開催されています(10/14までです!)。
リンクの埋め込みができず、URLが表示されてしまうものがあったので、文章から直接飛べるようにした箇所があります。
ヨックモックコレクションは、パブロ・ピカソ(1881~1973)のセラミック作品を中心に、その数500点以上、世界でも有数のコレクションだそう。セラミックとは、粘土を焼いて固めた素材のことで、日本でいう陶器や焼きもののことです。ピカソのセラミック作品は南フランスのヴァローリスという町の工房で制作されました。
私はこれまでヨックモックミュージアムの存在を全く知らずにいましたが、最近、ふとしたきっかけで知りました。
今回の企画展「いのちの讃歌」も終わりに近づいているからか、午前の早い時間だったからか、土曜日にもかかわらず人が非常に少なく(私以外は4人ほど)、ゆっくり鑑賞できました。
「いのちの讃歌」ではピカソのセラミック作品に登場する生き物たちに焦点を当てています。地下1階と2階が展示会場で、地下1階は暗くて壁も真っ黒でしたが、かえって作品が際立って見えました。
*作品名を控え忘れたものがあります。
ピカソといえばハト。
娘にもパロマ(鳩)と名付けたそう。
レンガで囲まれた空間に鳩が巣を作っているみたいなお皿。
ピカソはフランスのアンティーブにあるグリマルディ城の一角で制作していた時に1羽のフクロウを保護し、すっかり魅せられてしまったそう。
フクロウのお皿。黒い背景に黒いお皿というのもいいですね。
上の写真で奥から見ていたお方(じーっ)。
この色使いも好きです。黒が入っていますが、なんとなく唐三彩を思い浮かべました。
これは何を表現していると思いますか?
正解は《ウニ》。
ウニも作品に度々登場していたそう。ピカソの手にかかるとウニもこんな風に。
ピカソは、浮世絵や大津絵(江戸初期、今の滋賀県大津市付近で売られていた民俗画)にも影響を受けていたそうです。
日本の版画のような作品。よく見るとバッタの体の模様が凝っています。今にも飛び跳ねそうな生き生きとしたバッタでした。
顔のお皿たち。
これも好き。シリーズでいろいろな表情のものがあるようでした。
2階は地下1階とは打って変わって、壁も真っ白、外光を取り入れた明るい空間でした。
ピカソのセラミック制作のドキュメンタリー映像の上映と企画展の一部、常設展を見ることができます。
ピカソはすごい速さでセラミック作品を作っていったそう。
ドキュメンタリー映像でも制作風景を見ることができましたが、ロクロで回したばかりのまだ柔らかい花瓶を魔法のように折り曲げて、ヘラで刻みを入れ、あっという間に鳥の形にしていました。
ピカソにとっては、セラミック作品は焼き物を作っているというよりも、絵の探求の延長線だったようです。
常設展にあった色とりどりのお皿たち。
天井に近い窓から日差しが降り注いでいましたが、明るい日差しが似合う作品ばかりでした。
色使いといい柄といい、好みの作品ばかりで、「欲しいなぁ」と思いつつしばし眺めました。
小さな顔がいっぱい。
魚料理を乗せたいお皿。
ヤギの横顔。なんだか楽しそう。
こんなふうに、光が降り注いでいました。
1階のカフェに併設された図書室ではピカソに関する本や、過去に各地で開かれたピカソ展の図録を見ることができました。カフェのサンドウィッチも美味しかったです。
次の企画展は、「見立て」の芸術。
2024.10.29~2025.12.28までです。また見に行こうと思います。
ご興味のある方は是非!
青山から銀座に移動しました。
目的地はポーラミュージアムアネックスです。
色とりどりのピカソのセラミック作品を見た後はマティスの色とりどりの絵を。
「色の魔術師」と呼ばれたアンリ・マティス(1869~1954)。
1917年以降、制作の拠点を南仏ニースに移し、豊かな自然と明るい日差しのもとで色彩豊かな作品を多く残しました。
”Playing Music of Colour“ 色彩を奏でる、の通りリズミカルな色使いと、動きのある作品が集められていました。
この赤、好きだなぁ。
病を得てからというもの、キャンバスに向かい絵を描くことが難しくなったマティスは切り紙絵を制作するようになりました。
この『ジャズ』シリーズは切り紙絵作品の版画集です。
最初、口から言葉が出てきているように見えて、何かを叫んでいる?と思いましたが、剣を飲み込む曲芸をしている絵だそう(全然違った 笑)。
橇の勢いがつきすぎて、人は空中に放り出され、橇が吹っ飛んでしまったようにしか見えないのですが^^;、そういうことなのでしょうか。
少し前に、国立新美術館で「マティス 自由なフォルム」展が開催されていましたが、行けばよかったとちょっと後悔。
ピカソとマティス、二人が南仏の明るい光のもとで生み出した色あざやかな作品を見ていたら少し元気に。最近ちょっと鬱々としていたので、いい刺激になりました。
ポーラミュージアムを出た後、東京駅までぶらぶら歩くことにしました。
ポーラビルのすぐ隣は工事中でしたが、仮囲いにもアートが!
銀座一丁目の(仮)銀座ビル建替計画の工事現場の仮囲いには、知的障がいのあるアーティストの方たちの作品が展示されており、多くの人が足を止めていました。純粋にアーティストとしての彼らの才能を評価してほしい、そういう思いから始まったArt of The Rough Diamondsという活動だそうです(非営利特定法人)。
*投稿してから、掲載してよかったのか気になり、一旦下書きに戻し、Art of The Rough Diamondsの方に確認し、了承いただきました。
通行人も絶えなかったので数枚しか撮影できませんでしたが、みな素晴らしい作品でした。
尾崎文彦さんの作品です。
ちょっととぼけた表情の動物たち。画面いっぱいに描かれた大胆な構図です。色使いが好きです。
こちらは中村真由美さんの作品です。
モザイク画のような細かな筆使いと色使いが素晴らしい絵でした。
東京駅に近づいてきました。
日本橋三丁目交差点、スターツ八重洲中央ビルのキリン像。
こんなキリンがいたなんて、今まで何度も通ったのに目に入っていなかったのか、私は。
正面から見るとこんな感じです。
東京駅前の八重洲仲通り、再開発工事現場の仮囲いにもアートが。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO。東京を舞台に、アーティストの作品発表の場を提供するプロジェクトだそう。
人通りが多く道幅が狭すぎて写真がなかなか撮れませんでしたが、
遠藤文香さんというアーティストの《Luminescence Land/発光地帯》です。
遠藤さんは自然と人間の関係性、境界線を探求した写真を撮影しているそうです。
この馬たちは岩手県遠野市で撮影されたそう。蹄鉄もつけず、手綱もつけていないんだとか。東京駅前というほぼ人工物が埋め尽くす街と、自由に野山を駆け巡り、草を食む馬たちの対比が、不思議な感覚を呼び起こします。
一昔前と比べて、最近は工事現場の仮囲いにもアート作品が展示されていて、殺風景な工事現場と街の人たちを結ぶきっかけにもなっていると感じました。別に工事の内容は知らなくても、少し足を止めるだけで、自分の身近なところで行われていることと接点が生まれます。ただ「工事の音うるさいな」とか思うよりもアートを楽しめる場である方が街の雰囲気は良くなります。アーティストの表現の場が増えることにもなります。win-winな取り組みだと思いました。
私が動物好きなので、自然と動物アート特集みたいになりました。
芸術の秋です。
これから新しい企画展がいくつも始まりますが、非日常を味わえたり、いい刺激にもなります。時間を作って行ってみようと思います!
〜おまけ〜
スポーツの秋でもあります。
ニャイスキャッチ!