
Prada財団にて屏風の展示会「Paraventi」を鑑賞
11月1日の祝日の水曜日、折角1日暇なのだから時間を費やす展示を見よう、とFondazione Prada(プラダ財団美術館)へ向かう。10月26日に17~21世紀の世界各国の屏風「Paraventi」の展示が始まったのだ。1日の祝日を挟んで、ミラノでは月火もしくは木金を休みにして5連休を取る人が多かったため、始まったばかりの展示でも混むことはなかろう、と喜び勇んで開館と同時くらいに着くように財団へと向かう。
10月下旬まで暑い日が続いたため、町を歩いていても木々の色、空気の香りなどに注目することはなかったが、この日は、朝の涼しい大気にしっとりと夜露を受け黄色く紅葉した街路樹の葉が美しく目に飛び込んできた。
私は紅葉に弱い。
それは日本人特有のものかもしれないし、小学2年の時、無記名のアンケートで「どの季節が好きですか?それはなぜですか?」という質問で、クラスで一人だけ「秋です、なぜなら幻想的な気分がするからです」と答え、クラス中に罵倒されたのを根に持ち、それを踏み台にして、その気持ちが年々大きくなったのかもしれないし、単に生まれ月の秋にはとりわけ気分が華やぐのかもしれない。
夏など、極力外に出ないように努め、友達からも存在を忘れられる程なのに、秋になると狂ったように出かけ始め、やれこちらのギャラリーだ、あちらの映画館だ、ダンスのパフォーマンスだ、と飛び跳ねながら町中を彷徨うことになる。
だから、この美しい金色に輝く木の葉のそよぎを見て目が離せなくなり、ふと時計に目をやった時「あれっ、いけないっ、もう10時過ぎだ、急がなくては」とかなり動揺した。この珍行動により、プラダ財団美術館の着は10時20分を回っていた。
※Fondazione PradaのHPとParaventiの展示会ページのリンク
https://www.fondazioneprada.org/?lang=en
https://www.fondazioneprada.org/project/paraventi/?lang=en
「パラヴェンティ: 17世紀から21世紀までの屏風」は、Nicholas Cullinanのキュレーションによる大規模な展覧会である。屏風の歴史を調査し、その意味を解釈し、東洋と西洋の相互汚染の軌跡、異なる芸術形態と機能のハイブリダイゼーションの過程、デザイナーとアーティストのコラボレーション、そして最終的には新しい作品の創作へと繋がる。
Cullinanが説明するように、「絵画か彫刻か?芸術か装飾的要素か?実用的か装飾的か?装飾的か、機能的か、建築的か、演劇的か?この展覧会は、文化の移動(東洋から西洋へ)、ハイブリッド化(異なる芸術形態と機能の間)、そして隠蔽されるものと顕在化するものの歴史であるスクリーンの歴史をめぐる疑問と逆説を検証する革新的なアプローチをとっている。我々の研究は、この歴史と現在におけるその表出が、美術と建築、室内装飾とデザインという異なる分野間の硬直した区別と階層を克服するプロセスにおいて、限界的なオブジェと限界性そのものの歴史といかに一致するかを明らかにする」とある。
------------中略------------
70点以上の屏風を集め、その中には歴史的に貴重な品々や、国際的な美術館や個人コレクションから貸与された最新作、そしてこのプロジェクトのために15人以上の国際的なアーティストに依頼した新作が含まれている。
云々
このように訳してはみたが、私には表現が難しくて漠然としか理解できない。ゆえにこの訳もお分かりいただけない気がする。。
展示物の写真をご覧いただく方が、この文章を理解するよりも良いと思うので、写真を幾つかご紹介したい。
「1階」
数点の中国の屏風を除いては、主に近現代の作品が集められ、私達日本人がイメージする屏風ではなく、例えば部屋を仕切るもの、動画を投影するものの展示となっている。それゆえ、あまり好みの作品がなく、写真数は少ない。

ベースは1889年、パネルは1860-61年作
Yorkshire, Castle Howard collection




Screen 4, 1986年
Andover, MA, Addison Gallery of American Art


1929年の作、個人コレクション




さて、上に移動しよう。

「2階」
本来イメージする屏風、その進化版、メッセージ性の強い作品が展示されている。
実は現在、Fondazione PradaではWes Andersonの映画「Asteroid City」の展示も並行して行っている。映画の可愛いシーン・モノだけを凝縮した展示なので、時間がない方は、2階だけで十分だと思う。

Lisbon, Fundação Oriente - Mudeo do Oriente






(想像するものが古すぎでスミマセン)

Consegna di un cavallo(馬の搬送)というタイトルが付いているのですが、原題をご存じの方、是非教えてください。




1928-30年の作、個人のコレクション
Bruxelles のMagritte 美術館の方が断然良いです。

1915-16/1922年の作
Madrid, Fundación Almine y Bernard Ruiz-Picasso

1935年 'Les yeux fertiles'(Dédié à Falil Elliard)
親友の詩人Paul Eluardに捧げた作品。中央の女性はBotticelli のVenus の再現で、足元の赤い目と噴水から出る片方の手で抑えられた手がエロティックな雰囲気を醸し出すセクシャルな作品、という解説付き。



1950年の作品

日本画を描かれていただけに、
単色ならではの迫力が凄い

Caribbean Tea Time という1987年の作品

ピカソやコルビジェにはない見学者の反応。「誰の作品?日本人?やっぱり日本人は屏風を作る技術が違うよね」的な意見がせめぎ合う作品。

近くから見るとキラキラして眩しい。


ザ現代、なポップアートなのに屏風にしっくり来るのは、日本人の魂が通っているからか?

大人も子供も皆ガン見👀

補足として、11月3日~1月29日まで、東京のPrada Aoyamaでも、60年代のポップアーティストであり、イタリアでも高い評価を受けている田名網敬一さんによる同名の展示会が行われているそうだ。
https://www.prada.com/it/it/pradasphere/special-projects/2023/paraventi-prada-aoyama.html
ポップアートについては全くの無知なので、今回の展示で初めて田名網さんのことを知ったが、非常に精巧緻密な興味深い作品だったので、是非東京とその近郊にお住まいの方には、会期中にご覧いただければ、と思う。
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