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【ピヲピヲ文庫連載ミステリー】『7組のクセツヨな招待客』~2話~
召使の案内に従い、招待客たちはいったんそれぞれの部屋に案内され、各自の部屋でパーティー開始を待つこととなった。洋館の広大な廊下を進み、皆は一旦自分たちの部屋に落ち着くことにした。招待客たちの寝室は、すべて洋館の2階にあり、一箇所にかたまって配置されていた。
招待客たちが荷物を部屋に置くと、召使は全員を廊下に集め、パーティー開始となる15時前に呼びに来るので、少なくとも10分前には必ず部屋にいるようにと皆に伝えた。召使は立ち去る間際、「屋敷をお散歩されるのでしたら、あまり遠くへはいらっしゃらないようにしてください。このお屋敷はとてつもなく広いですから、皆さまが迷子になって屋敷から出られなくのが心配でございます。。。」と、何やら不気味な捨て台詞を残し、その陰鬱さがこの館の雰囲気と妙にマッチしていたためか、招待客たちはゾッとした。
それぞれの部屋に案内されたカップルたちは、長旅の疲れを癒すために一息つく時間を迎えた。部屋はどれも重厚で古風な家具が揃い、どこか異世界に迷い込んだような雰囲気だった。
健太と明は、明るいベージュの壁紙を基調とした部屋に入った。「すごいな、この部屋。どこを見ても高級感が漂っている」と健太が驚きの声を上げると、明もリュックを膝に乗せたまま暫くカメラをいじっていたが「思ってたより、居心地が良さそうだな。いい写真がたくさん撮れるように、オレ、ちょっと寝るわ。体力回復する。長旅で疲れちゃったよ。まあ、送迎車に乗ってただけだけどな」と言ってベッドに寝転がった。健太も自分のベッドに横になり、「絶対いいネタ、ゲットしようぜ!」と明に言った。
武とミヤビは、エレガントなシルバーの壁紙を基調とした部屋に入ると、まず広々としたベッドに腰を下ろし、その柔らかさに感嘆した。大きな窓からは庭園が見渡せ、バルコニーに出てみると、そこには心地よい風が吹いていた。武が「たまには、こういう場所に来るのも気分転換になるな。今日のパーティー、うまくいくといいな!」とユウコに言った。「それが一番いいけど、とりあえず楽しもうよ!何だか、楽しみね、パーティー」とミヤビが武に微笑んだ。
スミレとリナは、爽やかで淡いブルーの壁紙を基調とした部屋に案内された。スミレが「この部屋、まるでお姫様の寝室みたい」と呟くと、リナは「本当に素敵ね」と感嘆の声を漏らした。二人はバスルームを見に行き、豪華なバスタブとシャワー設備に驚いた。スミレは「これなら、ゆっくりお風呂に浸かれそうね」と微笑むと、リナも「うん、最高のお風呂タイムが楽しめるわ」と同意し、ベッドの近くまで戻ると、バッグから着替え一式を取り出して「うん、15時のパーティーまで、まだ時間があるから、私ちょっとシャワー試してみようかしら」と言った。サクラはバルコニー越しに外を見ながら、「リナ、私、今日はちょっと頑張るわ!」といったが、リナは既にシャワー室に入った後だった。
ナオミと梓は、シックな緑の壁紙を基調とした部屋に入り、ともに満足気な表情を浮かべた。「思ったよりもいい部屋ね」とナオミが言うと、梓は「うん、疲れを癒してくれそう。屋敷の廊下はちょっと不気味だったけど」と頷いた。二人は部屋の隅々を見て回り、特にベッドの大きさと快適さに感動した。「こんなベッドで寝られるなんて、夢のようだわ」とナオミが言うと、梓は「本当にね。ここで一晩過ごすのが楽しみだわ」と笑顔で答えた。「それにしても、、、」ナオミが招待状を取り出して言った。「この招待状に書かれていることが本当なら、、、ちょっとワクワクするね」。
立己は、モダンなグレーの部屋に案内された。「この部屋、何か落ち着くな。少し休憩しよう」と立己が言うと、彼は部屋の中を見回り、シンプルながらも上品なインテリアに感心した。バスルームも使いやすそうで、立己はここならリラックスできるだろうと感じた。そして、おもむろに鏡を見て「今日もバッチリ決めなきゃな! 麗子とのコンビネーションも大事だ!」と鏡の中の自分に言った。
麗子は、メルヘンチックな薄いピンクの壁紙を基調とした部屋に案内された。部屋の中を見回すと、窓際に置かれた鏡台の前に座った。鏡の中の自分を見ているのかと思いきや、そうではなく、何やら物思いにふけっているようだ。舞台で演じる自分の姿を想像しているのだろうか。
剛と真由美はクラシックな茶色の壁紙を基調とした部屋に通された。「趣がある部屋だな。少し古風な感じがまたいい」と剛が言うと、真由美も「そうね。15時のパーティーまで、ここでいったんゆっくりと過ごしましょう」と同意した。二人は部屋の中を見渡し、重厚な家具やアンティークの装飾品に感心した。バルコニーに出ると、美しい庭園が一望でき、真由美は「あなた、椅子を持ってきて、ここで一息つかない?」と微笑んだ。
不気味さを併せ持つ館のイメージとは裏腹に、招待客たちの部屋には、微かな風の音とともに、静かな安らぎの時間が流れていた。全員がそれぞれの部屋で備え付きの設備や雰囲気を堪能しながら、一時の休息を楽しむこととなった。そして、それぞれの思いを胸に、高揚感と期待の入り混じった心境で、パーティーが開始される15時を待った。
(🐦つづく🐦)
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