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【ピヲピヲ文庫連載ミステリー】『7組のクセツヨな招待客』~第3話~

 澄み渡る青空の下、緑豊かな山々に囲まれた謎の洋館、『夢鳥の幽館』が陽の光を浴びている。そこに、ほかの一行より遅れ、招待客の最後の1組が現れた。

 パタパタパタパタパタ~🐦🐦
「👀ピヲッ!🐦博士!大きな館が見えてきましたよ!あれじゃないでしょうか🐦ピヲピヲ🐦」とうろたえピンク鳥🐦助手が囀ると、戸惑いピンク鳥博士が「👀ピヲッ!ピンク鳥クン、間違いなさそうだね。ついに『夢鳥の幽館』に着いたようだね。思ったより遠かったね。ピヲピヲ🐦」と囀り返した。
「そうですね、遠かったですね。博士。ピヲピヲ🐦 でもボクらピンク鳥🐦の自慢のピンク羽にとっては、朝飯前でしたね。ピヲピヲ🐦」
「そうだね🐦今日は、館の主と招待客全員が、我々の自慢のピンク羽をぜひ拝ませてほしいとのお願いらしいね。決して見せびらかすためのピンク羽ではないのだが、そこまで頼まれちゃ、仕方がないね、ピンク鳥🐦クン、ピヲピヲ🐦」
「全くですね、博士、ピヲピヲ🐦どうやら今日のパーティーのメインイベントが、ボクらの『自慢のピンク羽ヲ披露目会』らしいですね。ピヲピヲ🐦」
「そうだね。我々も今日の主役として頑張らなくてはならないね。洋館では、特別のVIP席と特上の蜜が用意されているみたいだよ。ピヲピヲ🐦」
「ピヲピヲ🐦博士!それは楽しみです!ピヲピヲ🐦」
 彼らはまるで住み馴れた巣を見付けたかの如く、楽しそうにピヲピヲ🐦🐦と囀りながら洋館に向かって飛んでゆく。青い空と緑の山々が広がる中、2羽🐦🐦の飛行はまるで空を飾る絵画の一部のようである。
 そんな2羽🐦🐦の表情を見ると、どうやら自慢のピンク羽を誰かに見せびらかしたくて仕方ないようである。

 2羽🐦🐦は館の正面エントランス近くに手頃な木の枝を発見し、下りて行った。
「ピヲピヲ🐦 ピンク鳥🐦クン、あそこに手頃な止まり木があるぞ。ピヲピヲ🐦」
「博士!良さそうな止まり木ですね!ピヲピヲ🐦」

パタパタパタパタパタ~🐦🐦
 2羽🐦🐦は止まり木に下り立つと、館の正面扉に向かって、ピヲピヲ🐦🐦と囀った。
「ピヲピヲピヲピヲ~🐦 『夢鳥の幽館』の主さん、本日の主役が飛んでまいりましたよ。ピヲピヲピヲピヲピヲ~🐦」
「ボクらには自慢のピンク羽がありますから、送迎車なんか必要ないのです。ここまで軽くパタパタとひとっ飛びでしたよ、ピヲピヲピヲピヲピヲ~🐦」
 2羽🐦🐦の騒々しい囀りは、洋館の山々に響きわたり、まるで自然が呼応しているかのように感じられた。

ピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲ~🐦🐦

 2羽🐦🐦がやかましくピヲピヲ🐦🐦と囀り続けていると、正面扉から長身の召使が出て来て、2羽🐦🐦に気付いた。
「2羽のピンク鳥🐦🐦さま、お待ちしておりました。本日は遠路はるばるありがとうございます」

 2羽🐦🐦は開いたままの正面扉の上部にパタパタと移動すると、館の召使に囀った。
「ピヲピヲ🐦確かに人間さんには遠いかもしれませんけど、ボクらの自慢のピンク羽を持ってすれば、何てことはないヲ散歩程度の旅でしたよ。ピヲピヲ🐦」
 召使は無表情で、「ご主人様からすべて聞いております。さあ、どうぞお入りください」
 パタパタ~🐦🐦と屋敷の中に入った2羽🐦🐦のピンク鳥は、エントランスホールの広大さに驚いた。
 「2羽のピンク鳥🐦🐦さま、もしよろしければ、ご招待客様たちに好評のドイツ産ミルクチョコレートでも……」。
 召使は、正面入口の近くに置いてあったマホガニー製のテーブルの上からチョコレートボックスを取り上げて、2羽🐦🐦に薦めた。

「👀ピヲッ!🐦 👀博士!🐦これは何とも大きなヲ屋敷ですね!ピヲピヲ!🐦」
「👀ピヲッ!🐦👀本当だね、ピンク鳥クン!🐦ピヲピヲ!🐦」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ~🐦🐦

 2羽は🐦🐦浮かれて、召使を扉の近くに残したまま、大きなホールをそこかしと勝手にパタパタ🐦🐦飛び回った。
「お気に召さなければ、こちらのベルギー産のブラックチョコレートではいかがでしょう……」。
 召使は、鬱陶しくホールを飛び回る2羽のピンク鳥🐦🐦を目で追いかけながら、なおもチョコレートを薦める。

「👀ピヲッ!🐦 👀博士!🐦あの扉にハチドリの装飾がありますよ!」
「👀ピヲッ!🐦👀本当だね、ピンク鳥クン!🐦ピヲピヲ!🐦」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ~🐦🐦

「👀ピヲッ!🐦👀ピンク鳥クン!🐦あっちの絵画には、威厳のあるフクロウが!」
「👀ピヲッ!🐦👀本当ですね、博士!ピヲピヲ!🐦」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ~🐦🐦

 2羽🐦🐦はひとしきりパタパタ🐦🐦と自分勝手に舞い終わると、ホールの中央まで移動してきた召使の近くに下降し、壁際に置かれた英国騎士の銅像に舞い降りた。
「ピヲピヲ🐦実に素晴らしいヲ屋敷ですね。このような場で開催される『ピンク羽ヲ披露目会』に参加できるとは、我々も光栄です。ピヲピヲ🐦」
「全くです。今日まで怠けずに、ピンク羽を綺麗に維持してきた甲斐があったというものです。ピヲピヲ🐦」

 召使が無表情に2羽🐦🐦に言った。
「実にお綺麗なピンク羽です。予行演習も兼ねて、ぜひここで一度、そのピンク羽をじっくりと拝見させていただけませんでしょうか。私からも館の主に、2羽のピンク鳥🐦🐦さまのピンク羽がどんなに素敵であるか申し送る必要がございまして」

「👀ピヲッ!🐦今ここでですか?決して我々のピンク羽は見せびらかすためのものではないのですが、そこまで頼まれては断るのも冷淡だね、ピンク鳥🐦クン、ピヲピヲ🐦」
「そうですね、博士、ピヲピヲ🐦やっぱりボクらのピンク羽を目にすると、皆さんじっくりと堪能したくて仕方ないのでしょうね。その気持ちも理解はできますね。ピヲピヲ🐦」
パタパタパタパタパタ~🐦🐦
 2羽🐦🐦は召使の真隣のテーブルにパタパタと飛び、改めて召使に向き直った。
 戸惑いピンク鳥博士🐦が「ピヲピヲ🐦……そういうことであれば……仕方ありませんな。リクエストにお答して。ピヲ🐦。えー、では私から。さて、ひと口にピンク羽と言いましても、光の加減によって見え方が変わり、まずは昼下がりの陽光に照らされるこの左側の肩ピンク羽が何とも美しいと好評をいただいてヲります。ピヲ🐦」と囀ると、うろたえピンク鳥🐦助手も続けて囀る。
「ピヲ🐦 私も負けてはヲりませんよ。私の自慢の右のピンク風切羽をご覧ください。これで風ヲ切って大空ヲパタパタと優雅に飛ぶ姿が実に……🐦」

「ピンク鳥🐦さん、合格です!」
「👀ピヲッ!🐦合格?こんなものでいいのですか?ピヲピヲ🐦」
「そうですよ。ボクラには、まだほかにも自慢のピンク羽が、、、」
「ピンク鳥🐦さんたち、ぜひ私めと握手を、、、」
「👀ピヲッ?握手?手というより、我々はですが、、、ピヲピヲ🐦」
言われるがままに、何となく召使の方に羽を伸ばす2羽のピンク鳥🐦🐦
そこに、、、

ガシッ!


何と、召使は2羽のピンク羽をガッシリと掴んだ。
「👀ピヲッ🐦何をするのですか?ピヲピヲ🐦」
「👀ピヲッ🐦ちょっとピンク羽の付け根が痛いのですが?ピヲピヲ🐦」

ガシッ!ガシッ!

 召使はそのまま2羽のピンク鳥🐦🐦を壁に押し付けた。
 ググググググッ……
「ピピピピピピ……ToT🐦痛い~ToT🐦何をするのですかぁ~ToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」
「ピピピピピピ……ToT🐦痛い痛い痛い~ToT🐦壁に押し付けるのはやめてくださ~いToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」

 そして、召使は肘で器用に2羽🐦🐦のピンク羽を壁に押し付けて逃げられないようにした上で、さっと両方の手で素早く2羽🐦🐦の両足を掴んだ。
 そして、、、そのまま、召使は2羽🐦🐦の足を高く持ち上げた。それにより、何と2羽のピンク鳥🐦🐦はブロイラーの如く逆さ吊りの状態になってしまった。
「ピヲ~ッToT🐦いったい何をするのですか~ToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」
「ピヲ~ッToT🐦逆さ吊りはやめて下され~ToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」

 一方、召使は至って冷静なようである。
「ピンク鳥🐦さま、ご遠慮なさらずとも結構です。ご主人さまからすべて聞いております。ピンク鳥🐦さまたちには、この体勢が最も心地よく適していると」
「ピヲ~ッToT🐦そんなデマ情報を流したのは誰ですか~ToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」
「ピヲ~ッToT🐦お願いですから下ろしてください~ToT🐦ピヲピヲ~ToT🐦」
「本日のパーティー。ピンク鳥🐦🐦さまたちには、特等席をご用意しております。私が、これからお連れいたします。長旅でピンク羽もお疲れでしょうから、どうぞ私に身を委ねてリラックスなさってください」
そう言うと、召使は2羽の4本の足をまとめて大きな右手で掴み、もう片方の手で懐からロープを取り出した。
 そして、2羽の4本の足をまとめて1本のロープで束ね、きつく縛り上げた。これにより、2羽のピンク鳥は一緒にそれぞれの両足(* 計4本の足)を1本のロープで縛り上げられてしまった。
「ピヲ~ッToT🐦もうやめてください~ToT🐦そんなにきつく締めると、足が折れそうですよ~ToT🐦痛い痛い痛い~ToT🐦ピヲピヲピヲピヲ~ToT🐦」
 召使はピンク鳥🐦の嘆きも聞こえぬかのように、先端に2羽🐦🐦の足を括り付けたロープを肩からひょいと背負い、さっき来た道をまた戻り、正面扉を開け、外へと出て行った。
「ピヲ~ッToT🐦パーティー会場は館の中じゃないんですかぁ~ToT🐦痛い痛い痛い~ToT🐦ピヲピヲピヲピヲ~ToT🐦」
「ピヲ~ッToT🐦博士ぇ~ToT🐦ピヲピヲピヲピヲ~ToT🐦」
 召使はピンク鳥2羽🐦🐦を括り付けたロープを背負い、屋敷の裏の方へとぐんぐん歩いて行った。

「ピヲ~ッToT🐦🐦」

(🐦つづく🐦)

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※ 本連載の「あらすじと登場キャラクター紹介」はこちら


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