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畑で感じるマインドフルネス(自然農2年目の畑)

猛暑酷暑の日々から寒い程気温が下がったかと思えば、陽が昇ると日中は汗だくになる程の蒸し暑さ。まだ夏は続くのかと思いきや、いつしか蝉の声が消え、秋の虫に取って代わり、彼岸花が咲き始めている。どこで何が起きようとも、季節は確実に巡っていきます。

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うちの畑も夏野菜が終わりに近づき、秋冬野菜の準備に変わりました。無肥料なのに毎日、処理に困る程採れたズッキーニも成り疲れが見えた途端、ウリハムシの集団に襲われました。一般には「虫に襲われるから野菜が枯れる」と思われがちですが、自然農では「野菜が弱いから虫に襲われる」と言われますし、実際そうなのだと感じます。種を蒔いてもすぐに大きくなる物と育ちの悪い物があり、動物の弱肉強食と同じように弱い苗は淘汰されます。虫達は元気な苗より弱っている苗に集まりがちだし、元気な苗は虫に喰われようが負けずに育つ。どこでも見かけるアブラムシも、自然農では栄養過多の印とされます。慣行農法では野菜を大きく育てる為に肥料を与えるのでアブラムシや色々な虫がつき、それを殺す為に殺虫剤を撒きます。肥料で大きく育った野菜は「メタボ野菜」と言われたりしますが、人間のメタボと同じで体は大きくても健康ではありません。肥料で育ったメタボ野菜は病気に弱く、その予防をする為に様々な農薬が使われます。自然農法の野菜と慣行農法の野菜の違いはここにあります。自然界で勝ち残った強い野菜だけが、実を付けて食卓に並ぶのです。

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秋冬野菜で一足早く植えていたのはサツマイモ。うちでは5月末に苗を植えました。直立仕立てでイモ蔓は支柱に縛るのが大変なほど良く伸びています。里芋はそれより早く種イモを植えましたが、どうも成長が芳しくない。昨年は花も咲かずに終わった秋ジャガ。今年は種イモは買わず、春に収穫したインカレッドやサヤアカネを種イモにして植えました。イモ類は掘ってみるまで結果が分からないので福袋を開けるような楽しみがあります。去年の里芋はねっとりとして味が濃く、今まで食べてきた里芋とは別格で美味しかったので今年も期待したいところ。そして出来る訳がないと思いつつ植えた安納芋が去年はこれまた美味しく収穫できたので、今年は欲張って種類も本数も増やしたサツマイモも、今から焼き芋にするのを楽しみにしています。

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他には冬野菜の定番の大根やニンジン、春は虫に喰われて全滅したロマネスコのリベンジ、初めて育てるキャベツやカーボロネロ、コールラビなどの種を蒔きました。まだまだピーマンやナスも取れていて、モロッコインゲンは取っても食べきれないので今年は豆になるのを待って収穫しようと思っています。期待している四角豆は、漸く実が付き始めた所。スイカとメロン、カボチャもまだ成長中で収穫に至っていません。トマトやオクラもやっと取れ始めた所で、随分と季節に遅れている感がありますが、自然農は成長もゆっくりなので仕方ありません。

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地球の温暖化や気候変動もあってか、年々異常気象が増え、思っていた季節が変わっていきます。神奈川からここへ越してきて丸二年が過ぎました。テレビも新聞もない生活なので世間の情報はネットニュースだけ。ネットはフェイクニュースが多いと言われますが、テレビや新聞も偏った情報しか流さず、どれも気が重くなるニュースばかりなので、あまり見ないようにしています。自然農は体にも心にも良いと言われ、その理由は自然にマインドフルネスができるから。兎角、未来への不安や周囲のストレスに引きずられがちな心を「今、ここ」という視点に引き戻す事ができるからだそうです。畑の中に存在する沢山の生物や植物に囲まれていると、自分も自然の一部であると理解できます。その生命力に圧倒されつつ、時と共に枯れる儚さ、時間と共にそれぞれのペースで変わり、繰り返される姿に人が決めた季節や月日など何の意味もないと分かります。私も人生の終盤戦は、世間や常識に振り回されず、多少遅れても自分のペースで生きていこうと決めたところです。

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