世界を終わらせない色は
世間にあの予想外に長い混乱の始まった日から、とかく呪文のように「明日世界が終わったら」とか「もしも世界がなくなるなら」という言葉が溢れだした。
それと同じ時期からだった気がする。
生活が一変してあちこちで誰かが誰かを叩き、SNSはどれが正しい情報かわからなくなって、あらゆる身元が瞬時に特定されて拡散されて。
正直、息苦しいなと思う。
私の周りにもよくわからない言いがかりを、必死で相手にせずにやり過ごす友達がいて。
いろいろな形の暴力をみてしまう現実ばかりでは、それは世界ごと終わらしたくもなる。
そんな一昨日、私は配信ライブを観ていた。
真実はどうあるのかもわからないまま、日本から世界から叩かれまくり、事務所の名前を変えても尚、そこに居場所として残ったアイドルたちがファンと共に再スタートした祭だ。
私は推しであるSnow Manが観たくて画面にかじりついていたわけだけど。
グループごとに登場した大トリがSnow Manだった。そしてメインボーカルの渡辺翔太さんが大きな声で「全員集合!」と出演者を舞台に呼び出す。
総勢74名が、各グループごとの色で雰囲気で一堂に会す。
SixTONESのジェシーさんがその場を司会として、数人に話を振って盛り上げる。
演出は松本潤さんと大倉忠義さん。
そう、裏を守るスタッフさんは多いだろうが、限りなくアイドルたちが表舞台でできることをやりその姿をファンにみせていた。
続くグループごとのパフォーマンスではメンバーカラーがあるから、ペンライトは推しカラーで会場の暗闇には無数の色の点が揺れている。
数えきれないその人ごとの思いを込めて。
急病でやむなくお休みした永瀬廉くんのためには、会場は黄色に染まって。
そんな色の溢れる中を、時にはグループの垣根をこえて仲良しでじゃれて、全力で踊り歌い魅せて楽しんでいる笑顔のアイドルたち。
これを観て思った。
世界を終わらせない色は、『カラフル』なんじゃないかと。
形容するカラフルでなく根本に共通する思いを抱いた個性の集まりの、カラフル。
決して争うことなく。
能登へのチャリティーソング、「WE ARE」は最後に全員でとても美しく響き渡った。
心のあり方が伝わる歌。
配信のアーカイブはまだこれからも購入できる。
ここに終わらない世界の色がある。
(了 992文字)
↓こちらの三羽さんの企画に参加しました。
ありがとうございました!