松本潤 展覧会「PERSPECTIVE 時をつなぐ眼差し」をオススメしたい(ネタバレなし)
松本潤くん。
私的にはジュニア時代、笑顔があどけない頃から好きなタレントさんだ。
一世を風靡したテレビドラマ「花より男子」や嵐デビューとあっという間に時間が経て、今年の最終回を迎えた大河ドラマ「どうする家康」にて主役家康を一年半にわたって演じた。
その松潤(昔からそう言っていたからそう言わせてください)が、展覧会をするという。
国民的アイドルグループにいる彼が役者をしている姿は、「99.9 -刑事専門弁護士-」などでも観ていたが、やはり大河は別格だ。
無事に完走した今、松潤が何をみせてくれるのか。
とても興味があった。
早速チケットを予約して、行ってきた。
六本木ミュージアムに、予約時間より15分位前に着いた。
大通りの喧騒からだいぶ中へ歩いた分、とても六本木とは思えない静けさがあった。
壁沿いに整然と予約時間に区切られた列がわかりやすくできている。スタッフさんもいて、スマホの入場券を見せる画面まで丁寧に先に教えてくれる。
私はふと、気付いてしまった。
松潤のファンは老若男女問わずいたが、また大河ドラマのファンもいたであろうが、皆一応に静かで落ち着いて並んでいる。
喋りまくっている人は、ほぼいない。
これは民度だと、他で同じ事務所ながら残念だと揶揄されがちなタイプの方を私も目にしたことがあったからこそ、まず驚いた。
偉そうに言ってしまって悪いが、昨今自分だけが良ければいいみたいな嫌な空気が一切しない。
とても居心地が良かった。入場待ちだけで。
これには、来場者を迎えるにあたって松潤が指示したであろう、スタッフの方々の丁寧的確で柔らかい姿勢、ホスピタリティが徹底していたこともあると思う。
AI化やコロナ禍の後、接客が疎かな場所が増えたと感じていたが、この展覧会では本当に見事なまでにレベルの高い案内をみた。
ネタバレはしないように、ごく始めだけ紹介したい。
時間通りに列は移動し、受付してパンフレットを渡される。
この一冊が全てを誘う。
あちらからと言われたすぐ後ろのガラスの部屋は、来場者への松潤の声が流れ、壁に直筆の文字が。
ここから彼のもてなしの言葉が、壁にいくつかお茶目に続く。パンフレットの見かた、そしてスタッフさんの言葉を聞いて楽しんでねと。撮影できるのはここまで。スマホしまってと。
こういう嫌味ないファンの誘導に、民度が出る気がした。
そして、数名ずつが懸念事項を完璧に取り除いたスタッフさんの言葉と共に中へと進んでいく。
そこに待っているのは……
正直、予想を凌駕していた。
ただの展覧会ではない。
空間を余すことなく、そして斬新に使うことにより、五感に訴える六つのエリアに分かれた体験、体感型だ。
ただ彼の考えを聞くだけでなく、訴えてくる。問いかけてくる。
ありとあらゆる方向から。
私たちは常に指示通りに動きながら、彼の頭の中、精神を思考していくことでその世界観に没入する。
何かを遮断された際の手触り、その先にあるものを一目見た瞬間の感覚。
人と人の繋がりとして、同じ事務所にいた岡田准一くんとの関係性の見せ方。
色、それらに包まれること。
時を超え、時を繋げる思考。
一つとして同じ表現はない。
それは、押し付けでも圧でもない。
松潤は家康を演じて得た気持ちを伝えたかったけど、むやみに人を集め見せたかったのではなく語りたかったのでもない。
そう、隣に寄り添い、語りかけてこられている気持ちになった。
あの大河での家康の最期のような、「自分は弱い、そんな自分を支えてくれた仲間に助けられた一年だった」と写真の彼の眼は言っていた。
それは優しく深い瞳。
とても大切なものを得たんだと感じられた。
見終わって、とても穏やかで満ち足りた気分だった。
久しぶりに上質な展覧会を観た。
ネタバレしてないから凄さが伝わらないのがもどかしいが、これぞ演出を手がける松潤ならではの魅せる真骨頂。
大河を観た方全員にオススメしたい。
会期はまだあるので、終わったら内容をまた細かく書こうと思う。
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