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多様性を高め、維持する方法とは?モノカラーからモザイクカラーの組織へ!!

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

みなさん、「多様性」を意識した組織づくり、できていますか?

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉と共に、重視されはじめた多様性。人材版伊藤レポート2.0においても、組織の多様性に関する言及があり、多くの組織で多様性を高める施策の導入・検討が進められています。

ただ、重要だとわかっていても高めることが難しいのが組織の多様性。

そこで今回は、組織開発を支援するシンギュレイト代表の鹿内に、組織の多様性の高め方と維持する方法についてお聞きしました!鹿内が考える組織の多様性の高め方とは?

京都大学などの研究機関の教員・研究員として、ヒトの脳(認知神経科学)の基礎研究に第一線で従事。その後、大手人材企業でピープルアナリティクスの事業開発に取り組む中、株式会社シンギュレイトを設立。”信頼”をキーワードに、人と人との新しい関係・関係性を作り、新結合(イノベーション)を増やすことを目指す。ピープルアナリティクスの技術、学術研究などの知見を活用し、イノベーティブな組織づくりを支援している。1on1での話し方・聴き方を可視化する1on1サポーター「Ando-san」、イノベーティブな組織への変革を促す組織診断「イノベーション・サーベイ」を提供中。情報量規準が好き、漫画好き、サッカー好き。
話し手:鹿内 学,博士(理学)シンギュレイト 代表

目指すべき多様性の在り方

そもそもなぜ、組織に多様性が必要なのでしょうか?

僕(鹿内)は、「不確実な環境で組織として成長を続けるためにイノベーションが必須であり、そのイノベーションのために多様性が重要だから」だと考えています。

イノベーション創出の過程には、市場の変化への対応や、革新的な問題解決が必要です。これらを可能にするのが、多角的視点からの新しいアイデア。組織が均一化されてしまうと、多角的な視点を失い、新たな意見や経験の創出の機会を損失します。だから、組織の多様性を高めることが必要になのです。

しかし、共通の目標を達成するためにメンバーが集まるからこそ、組織は同質性の高い人たちで構成されがち。これは共通の目標を達成するという組織の性質上、一定程度しかたがない事ともいえます。また、歌舞伎や宝塚歌劇団のように、男性だけ、女性だけで構成される偏った集団だからこそ生み出される文化もあり、同質性が悪い事だとは一概には言えません。

ゆえに、僕が目指すべきだと考える多様性のある組織とは、”モザイクカラー”な組織です。

ここでいう”モザイクカラー”とは、局所的には色が偏って見えるけど、全体を見ると多様な色がある状態のこと。全てが均一な”モノカラー”な組織では、多角的な視点を失い、新たな意見が生まれづらくなってしまう弱点があります。

一部は均一的であっても、全体で見ると多様性に富んでいる。そんなモザイクカラーな組織こそが、イノベーションを生み出す組織だと考えています。

多様性を高めるために意識すべきこと

では、モザイクカラーな組織を作り上げるためには、どうすればよいのでしょうか?

その鍵は「バイアス」を無くすこと、だと考えています。バイアスをなくすとは、知らず知らずのうちに個人の意識に刷り込まれている価値観の偏りを無くすこと。

このバイアスをなくすために重要なのが、「機会と結果の区別」です。機会と結果の区別とは、表面上の結果に偏りが生まれたとしても、機会は平等に与える、ことを指します。

一方で、機会と結果を区別しないとは、機会の段階で結果の偏りを作ること(はじめから男女比を決めて採用するなど)。そうではなく、「機会を平等に与え、その結果として偏りが起きたとしても許容する」これが機会と結果の区別なのです。

実際に機会と結果を区別した結果、多様性が実現した例があります。それは、2022年サッカーW杯。男性審判しかいなかったW杯の舞台に、2022年大会で初めて女性審判が誕生したW杯です。

審判の採用において、女性枠を確保する、という機会を設けたから誕生したのでありません。この件について、FIFA審判委員会のピエルルイジ・コリーナ委員長は次のようなコメントをしています。

「私たちは(審判を選ぶに当たり)『クオリティーファースト』を基準としており、選ばれた審判員は世界最高レベルのレフェリングを行っている」

「サッカー=カタールW杯で史上初の女性審判員、主審に日本人も」https://jp.reuters.com/article/idUSKCN2N601K/

つまり、審判員の採用基準を能力に関するものだけにし、男女を問わず、平等に機会を与えたのです。その結果、採用基準をクリアする女性が起用され、審判員に多様性が生まれました。

一方、「意図的に機会の段階で、ある程度結果を決める」ことも1つの手。これはアファーマティブ・アクションと呼ばれる方法です。アファーマティブ・アクションに対する僕の考えを述べた記事がありますので、よろしければこちらもご覧ください。

多様性が高い状態で維持するために必要なこと

多様性を一度高めても、同じ組織状態のまま月日が流れると、徐々に均一化してしまいます。単一の組織の中で過ごすと、メンバー間で共通の文化や価値観を形成する結果、個々の独自性が失われていくためです。そのため、多様性を高めたことで満足せず、多様性を維持する行動をしなくてはいけません。

僕は多様性を維持する対策として、「メンバーが複数のコミュニティ・環境に所属し、外部とのつながりを持ち続けること」をオススメしています。複数のコミュニティ・環境に身を置くと、

  • 新たな環境に適応するための独学力

  • 新たな視点、広い視野

  • 他コミュニティで必要な専門知識

などの獲得が期待できるためです。本人が組織に染まらず、特異性が増す効果があるのはもちろんのこと、これらの能力や知見を組織内で共有することができれば、他のメンバーの考え方・価値観の多様性が高まることも期待できます。

もちろん採用によって、新しい人を入れるという方法もあります。しかし、採用コストや頻度を考えると現実的ではありません。既にいるメンバー自身の考え方や価値観をアップデートすることで、組織の全体の多様性を高め、維持することが一番の方法だと、僕は考えています。

今回は目指すべき組織の多様性の在り方、多様性の高め方、維持の仕方について僕なりの考えをお話ししました。イノベーションを目指す組織には多様性が必須です。組織に多様性を創り、組織を成長へと導きましょう!


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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。メルマガ登録はこちらから。

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