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ゆめまち はるせ
2023年5月1日 13:02
あの子は「愛」についてよく考える子だった。自分が愛せない人などいないはず、きっと愛せる何かがあるはず、と自分なりに誰かの良いところを見つけ出そうとしたり、それでも限界があると分かって、きちんと納得がいくまで考えたり動いたりするような、そんな子だった。わたしの家のサンルームを非常に気に入ったらしく、まだ寒い二月のしんとした空気を身に纏って、しょっちゅうサンルームで煙草を吸っていた。あの子は
2022年3月20日 13:56
真夜中、突然思う。もしかして今、この世界に生きてるのはわたしだけで他の全ては、生きてないかもしれない。怖くなってテレビを見ても、これはあくまでリアルタイムじゃなくて本当は全部作りもので、今こうして息をしてるのはわたしだけかも。そんな風に考えてたら、何もかもが怖くなってきて、真夜中みたいに暗い心に飲み込まれないように、フタをする。朝になって、突然思う。やっぱりみん
2021年9月29日 14:10
私の親友は、ちょっと変わっている。落ち着きがなくて、ギターの音が嫌い。よくひとりで鼻歌を歌っている。夜だろうが、お構いなしだ。執筆中の私に、何度も「遊んで」とせがむような迷惑な奴で、機嫌が悪い時は、邪魔だと思うこともある。でも、愛おしい親友なのだ。ベランダから差す太陽の暖かさを身に纏って、私のカーディガンをブランケット代わりに、気持ちよさそうに昼寝をする。恋人と抱