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写真解説シリーズ

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主にフィールドで撮影した生き物の写真について、撮影時の考えやカメラの設定・撮り方などをまとめています。
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【写真解説】水面に舞う 後編

【写真解説】水面に舞う 後編

前回の記事

の続きになります。

個体密度と川幅

カワトンボの縄張り争いを撮影するためには、縄張り争いが発生しやすい条件を知ることが重要になります。
まずは場所選びですが、個体数が多くて川幅が広すぎない場所が適しています。要するに個体密度が高いことがひとつのポイントになります。
しかしここで注意したいのが、細流で水面の高低差があると、個体数が多くても縄張りが地形によって区切られてしまってオス同

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【写真解説】水面に舞う 前編

【写真解説】水面に舞う 前編

5月の小川にて、ニホンカワトンボの縄張り争いを撮影しました。

カワトンボの飛翔

カワトンボの仲間は基本的には決まった場所に静止しながら縄張りを見張るタイプのトンボで、時折飛び立って縄張り内にメスや侵入者がいないか見回りをして、また定位置に戻って静止します。
ヤンマのように長時間飛び続けるわけでもなく、ホバリングをするわけでもないため、どのタイミングで撮ればいいのかよくわからないトンボですが、観

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【写真解説】初夏の緑

【写真解説】初夏の緑

6月に撮影したサラサヤンマの見事なホバリング。

ホバリングの撮影

飛翔しながら縄張りを見張るタイプのトンボの中には、ホバリングを頻繁に行う種類と、ほとんどホバリングをしない種類がいます。
サラサヤンマは縄張り飛翔中に頻繁に長いホバリングを行うため、その瞬間を狙えば比較的簡単に飛翔写真が撮れます。
個体差はありますが、警戒心も薄いので近寄りやすく、飛翔撮影の練習相手としてうってつけです。

光選

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【写真解説】碧眼の虎

【写真解説】碧眼の虎

5月初旬の水辺を飛び回るトラフトンボの飛翔を撮影しました。

露出設定について

飛翔撮影においてはカメラの設定が極めて重要です。
露出設定は現地で日差しの状況などを加味して調整する必要がありますが、とりあえずはブレないシャッタースピードを見極めます。
ストロボを使用しない今回のような場合は、1/1000秒を基準にして、曇っていてISO感度が上がってしまいそうであれば1/800秒に下げ、逆に日差し

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【写真解説】光と影の芸術

【写真解説】光と影の芸術

夏の清流で、石の上で縄張りを張るミヤマカワトンボを撮影しました。

場所・個体を選ぶ

川に着いたら、広範囲を歩き回りながらカワトンボを探します。
ミヤマカワトンボのオスたちには縄張りがあり、その範囲内で活動しています。
撮影しやすい場所で縄張りを張っている個体を探します。

光を選ぶ

順光、逆光、反逆光などいろいろ試しながら、光を透かした翅の色が綺麗に写り、かつトンボの胴体が黒潰れしない光条件

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【写真解説】晩秋の雨

【写真解説】晩秋の雨

晩秋の雨の夜、山奥の林道に現れたハコネサンショウウオを撮影しました。

尻尾が手前に

尻尾が手前に来るアングルで撮ることで、奥行き感を出します。
背景がないような状況では被写体のポージングや撮るアングルを工夫しないと単調な写真になってしまいます。

全身にピントを合わせたい

全身を画角に入れてかつボカさずに描写したいので、レンズの広角側12mmで撮影しました。
広角側の方が画角が広くて、被写界

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【写真解説】草原の貴公子

【写真解説】草原の貴公子

秋の夕方に、河川敷のチガヤ群落に棲むウスバカマキリのオスを撮影した一枚。

茂みの中に棲むカマキリであることを表現したい

ウスバカマキリは、乾燥草原の茂みに棲むカマキリです。
茂みに潜り込んで生活している感じを写真で表現するためには、ある程度引きで構図を作って環境を入れ込むといい感じになります。
この時はウスバカマキリが画面の1/2以上にならないくらいに引いて構図を決めました。

背景のごちゃつ

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