【写真解説】初夏の緑
6月に撮影したサラサヤンマの見事なホバリング。
ホバリングの撮影
飛翔しながら縄張りを見張るタイプのトンボの中には、ホバリングを頻繁に行う種類と、ほとんどホバリングをしない種類がいます。
サラサヤンマは縄張り飛翔中に頻繁に長いホバリングを行うため、その瞬間を狙えば比較的簡単に飛翔写真が撮れます。
個体差はありますが、警戒心も薄いので近寄りやすく、飛翔撮影の練習相手としてうってつけです。
光選び
前回の記事で書きましたが、私が飛翔撮影を自然光のみで撮影する時は基本的に順光を選びます。
警戒心が強いトンボの場合は、探す段階から光条件を意識して歩く必要がありますが、サラサヤンマは警戒心が薄めな上に、縄張りへの執着が強く、飛ばしてしまっても戻ってくることが多いので、遭遇してからゆっくり順光側に移動しても大丈夫なことがほとんどです。
たまに日陰のかなり暗いところで縄張りを張っている時を除いて、光条件的にも撮りやすい種です。
ただ、サラサヤンマは日陰と日向を行き来しながら縄張りを張る時も多いので、露出の設定で失敗することが多いです。
露出を失敗しないためにも、まずは順光を意識することが大切だと私は思います。
撮るときの明るさを決める
サラサヤンマが日陰と日向を行き来している場合、まずはどっちの条件に露出を合わせるかを決めます。
日陰はコントラストがキツくなりにくく、自然な雰囲気で撮れますが、光量不足でISO感度が上がりがちだったり、色被りしやすかったりするのに対して、日向はコントラストがキツくて白飛びしやすく、撮って出しで仕上げるのが難しい反面、光量を稼げるため絞りやシャッタースピードを高く設定でき、色被りも起こりにくいです。
余裕があれば両方の条件でそれぞれ撮って比較してみて、より良い方を選びます。
RAWで撮る
飛翔撮影に慣れないうちは、フレーミングやピントに意識を集中した方がいいので、RAWで撮っておいて露出は後で調整する方が気が楽でいいです。
初心者ほどRAWで撮れっていうやつですね。
背景選び
サラサヤンマは縄張りの範囲が狭く、ホバリングする場所も読みやすいので、撮るタイミングによってある程度背景も選ぶことができます。
動きをよく観察して縄張りの範囲とホバリングする位置を読み、背景がごちゃつかないタイミングを探ります。
トンボの飛ぶ高さとカメラの高さ・アングル
サラサヤンマは人間の目線よりも低い位置でホバリングすることが多いです。
ホバリング位置が低い時は、しゃがんだり座ったりして高さを合わせて撮ります。
アングルは好みによると思いますが、私はサラサヤンマの複眼上部の色彩と透明感が好きなので、斜め上から撮りました。
また、被写界深度が浅いので、出来るだけ真横を向いている時にシャッターを切りました。
撮影設定
ホバリングが長いタイプのトンボは、シャッタースピード遅めでも、翅以外は結構止まります。この時は日差しがそんなに強くない時の日陰だったため、ISO感度を上げないためにシャッタースピードはかなり遅めの設定で撮っていました。
シャッタースピード1/500以下だと翅がかなりブレるので、私は大体1/640〜1/800あたりを下限としています。
この時はシャッタースピード優先モードで絞りはお任せでしたが、今ならもう少し絞っても大丈夫だったかなと思っています。
MF+AF
ホバリングが長いタイプのトンボは、トンボをフレーミングしてからフォーカスリングを操作してマニュアルフォーカスでピントを合わせても全然間に合います。
AFを使うと、ピントが背景に抜けてしまって逆にピント合わせが遅れてしまうことがあるので、慣れないうちは完全にMFでピントを合わせに行った方がいいかもしれません。
私はAFリミッター付きのAFとMFを組み合わせて撮影しています。
その理由は、コンティニュアンスAFモードを使うと、ピントが合った後カメラが被写体をある程度追従してくれるので、連写した時の歩留まりがMFのみの時よりも良くなるためです。
MFでおおよそのピントを合わせてからAF-ONボタンを押してピントを合わせているので、ほぼMFですが、AFが優秀なので、ピント精度もこっちの方がいいような気がします。
セレクト
飛翔撮影では連写を多用するため、いつも撮影枚数がえらいことになります。
時には1000枚以上の写真をセレクトすることになりますが、真剣にセレクトしてみると、使えるカットは意外と数枚〜数十枚くらいだったりします。
セレクトの時は、まずピントが合っていないもの、見切れているものを除外し、複眼から腹部先端までピントがきているかどうかや、被写体ブレしているかどうか、翅の形などを基準にセレクトしていき、気に入ったものだけRAW現像します。
撮っている時に明らかにいい感じに撮れたと思った写真は、誤って削除してしまわないように、撮れた瞬間にロックをかけておきます。
今回も長めの記事になってしまいましたが、まだ飛翔撮影について語りきれていないこともたくさんあるので、今後の記事にご期待ください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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