見出し画像

就活に迷える子羊は、グローバルに存在する。就活生に今の私から言えることは何だろう。

始まりは、ボローニャ大学の私のクラスメイトが発した議論。いわゆる「人生どうしよう」の就活に悩める子羊たちは、イタリアの学生にも共通で、グローバルな課題なのだと思ったことを徒然と。

この3月、私のクラスメイトの大半が卒業した。

少し変わった(ずいぶん自由な)ボローニャ大学のシステムを少し説明すると、2021年9月入学の私の代の修士号のコースは最短で2023年7月、次が11月、そして2024年3月と卒業時期が選べる。私は去年7月に卒業したが、私の代から2023年7月に卒業できたのは3人で、この3月に半分くらいのクラスメイトが卒業した。1/3くらいは留年という形で、次の7月以降に卒業していく。履修した授業のテストを受けるタイミングも、卒論を書くペースも、自分のペースで良いですよ、という、これはイタリアの大学全般のシステムである。

卒業した子たちは今から就活をするので、いわゆる「人生どうしよう」の就活に悩める子羊たちになる。かくいう私も、人一倍、超こじらせ子羊だったのだが、同じくらいの年齢にしては、23歳で新卒で社会に出る日本のシステムのおかげで社会人人生が1周まわっており、決意を固めてイタリアの博士課程を始めた今になって「人生どうしよう」子羊にはならないで済んだのが幸いなところではある。

始まりは、あるクラスメイトが発した議論だった。

優秀な成績で卒業し、出身地のローマに戻り、就活を始めた子だった。

「みんな、いきなりごめん、率直に話して良いかな?
僕は、自分の将来に対する明確なゴールがないことに気づいたんだ。就職に役立つと思って一生懸命勉強し、自分が得意な科目を選んで、ここまできた。だけど、自分は今、野望のようなものがないから、実際それに不都合を感じる。
みんなは、この問題にどのように対処している?最近、就活で何してる?」

と。

いやー、いくら仲良しのクラスメイトだったとしても、30人強のクラスメイト全体のグループで、こんなに正直に自分の思いを言えるのがすごいし、自分の課題に逃げずに向き合っているのが、まっすぐなマテオらしいなぁ、と素直に眩しく思った。

あと、イタリア人の距離感って面白い。
友達以外には明確な距離を取るけれど、友達には何でも話すし、普通日本人ならいくら友達でもそこまで話さないことまで言う。恋人は家族同然だから、日本だったらデートを楽しむ仲良しカップルでOKなところ、下手すれば感情的には日本の夫婦以上に全てを共有する。

話は逸れたが、イタリアでも就活に迷えるのは同じようなものなのだなぁ、と思った。でもクラスメイトの意見がとても良くて、就活の悩みってユニバーサルなんだ、と言う発見があったので、皆様にも活きるものがあれば良いなと思い、共有させて頂く。

何でも良いからやってみることじゃないかな。普通の仕事でも良いし、写真教室のような趣味でも良い。やってみると新しい人に会って、新しい経験を積んで、次やることのアイデアが生まれたりするかもよ。実際どうするかは私に聞かないでね。笑」(イタリア人女の子26歳)

「僕も同じ困難にあるよ、だから心配しないで。
僕のアドバイスは、あまり大きく考えすぎないことかな。1歩ずつ進んで、小さなゴールを設定して達成しようとしてみよう」(イスラエル人男の子30歳)

「私もみんなと同じ意見。今、みんな同じ船に乗ってるよね。
私からの提案は、見方を変えてみること。あまり大きな目標を設定しすぎると柔軟性がなくなってしまうから。可能性に対してなるべくオープンでいることが、良いスタート地点なのではないかな」(イタリア人女の子24歳)

「クソみたいな仕事をして、お金を貯めて、旅をして、少しの間自分の人生を楽しみなよ。君は若い、野望のための時間はその後にまだまだたくさんある」(アイルランド人女の子29歳)

そこで、私は何を答えたかと言うと、

「私もみんなと同じ意見。まずは何でも良いから興味のあること試してみて、やってから考えてみるのが良いのではないかな。

もし私からもう1つ加えることがあるとすれば、自分の過去の人生を深堀りすることかしら。なぜ自分はその決断を下したのか(例えば、なぜこの修士コースGLOCを選んだのか)、自分は何が好きで、それはなぜなのか(例えば、私は旅が好き、なぜならば…)

結局、過去が今の自分を作るもの。だから、自分の過去を知ることは、今の自分自身を知ることになり、それが未来に繋がるのだと思うよ!」

と言いました。

クラスメイトからも、インスピレーションだと様々な反応が帰ってきました。ヨーロッパの子は、過去の深堀りとかしないのかな。

ある子は「真の歴史家の言葉のようだ」と。笑 いや、歴史家というよりコーチング?笑

すると、マテオは、自分が好きだったこの学問の延長線で仕事を得たい他、本当はイラストレーターになりたくて、小さくマーケットに出して売ったりしてる旨を言っていた。

私はこういった。

「とても良いじゃない!情熱を持つということはとても貴重で尊いこと。みんながみんな、自分が本当に好きなものを見つけられるわけではないもの。だから、他のことをやるとしても、情熱は持ち続けて、温め続けてね。」

これをみて思ったのは、就活に悩める子羊は何も日本だけではなくて、グローバルにみんなこうして壁にぶち当たって、悩んで、自分を知って成長して、前に進んでいくんだなぁと。

1つ言いたいのは、この過程自体が貴重な時間ということ。だから、目一杯逃げずに悩むべきだということ。

私も新卒就活の時に初めて、自分というものと向き合ったと思う。それまでは一生懸命勉強して、与えられたまっすぐな道で一番になるための努力をしてきて、いざ、就職という右に行くか左に行くかを選ぶというタイミングで壁にぶち当たった。でも、あの時、適当に決めずに、悩み抜いて、考え抜いて、最後は覚悟だと思って覚悟を決めて自分の道を選んだことが、今の自分に繋がっている。だから、悩みに悩み抜いて決めよう、と言いたい。

もう1つ言いたいのは、結局、新卒就活が全てではないということ。だから、後でいくらでも変えられるから、まずは飛び込んでみれば良いということ。

6年経った今から思うに、23歳で見えてる世界なんてたかが知れていて、世界はもっと広いし、自分もどんどんアップデートしていくから、数年後にはやりたいことも変わるもの。だから、置きにいかないで、自分が今一番ピンとくるものにチャレンジしてみれば良いと思う。

私も、新卒でクックパッドの海外事業部に入って、でもその後コンサル会社のグローバル・コンサルティング部に転職して、ボローニャ大学に留学して、そのまま博士号へ、と、6年前には予想もしなかったくらい変わっている。その時、その時で自分に向き合い、挑戦をしていると、人生は思っていたよりも直線でない。

でも、あの時、食×グローバルという領域でどうしてもチャレンジしてみたくて、もっとかっちりスキルを身に付けられそうな外資コンサルやリクルートと迷いに迷ったけど、あの時ピンときたクックパッドに飛び込んだことで広がった世界や得た信念があって、今の道につながっている。

だから、変化を前提に、自分の本当にワクワクすることでキャリアを築いていったら良いと思う。まずは、迷ったら前、飛び込んでみることかな。

という、就活に関する話でした。

ちなみに、私の新卒就活記はこちらに、消滅してしまった旧ブログから掘り起こして残しておいています。私は2018年卒なので、少し古いかもですが、宜しければご参考までに。

※写真は、生まれ育った故郷の桜。原点。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?