#249【劇評・絶賛】劇団四季『ゴースト&レディ』3回観てきたレポ(4/4)
今日もお読みくださってありがとうございます!
衆院選が終わりましたね。
昨日朝、選挙行きましょうと書くのを忘れたことを反省しております。
都知事選の時は一記事書いたというのに国政で忘れるなよ自分。
選挙行きましたか。白票でなく誰かの名前を書きましたか。
白票には何の意味もありません。また、何か無効票になるような独特のメッセージを書いても、それを読むのは何の権限もない開票バイトだけです。
と、昨日までに書けよ、自分!
さて、「ゴスレ」感想シリーズラストです!
今日は役者さんについてです。
役者に関するあれこれ
身体技術で他人の身体を共振させて何かを伝える”イタコ”
最近よく思うのですが、すぐれた役者さんって、自らの身体技術で他人の身体を共振させてなにかを伝える"イタコ"みたいだなと。
2月の歌舞伎座猿若祭『野崎村』のお光を演じた中村鶴松さんの、高い無邪気な声と、ハスキーな寂寥の声。また、悲愴になりすぎず強い存在感のある体格。
NHK朝ドラ『虎に翼』の伊藤沙莉さんの、小柄な体と低い声、鼻が赤くなる泣き顔。
戯曲だけでなく、その身体性があるからこそ、グッと説得力が増す。
観る者の心を動かす。
また、役者さんの実力によって、どれだけの人を共振させるかが変わってくるのだと思います。もちろん、役者さんと観る者との相性もあるでしょう。
劇団四季の役者さんの歌唱はビールやごちそうと同じ
そうしたイタコの中でもとりわけ劇団四季の役者さんの歌唱はすごい共振力を持っている。
劇団四季の役者さんの圧倒的な美声・音量・音程(高いも低いもエクストリーム)の歌唱を現場で浴びると、クァーッッッ!!!!ってなります。
暑い夏の日の夕方にのどがカラカラになって、ビールを飲んだときの感じ。
美濃吉の懐石料理を食べに行って、前菜を一口食べて「うんまぁぁぁ!」ってなるのとも似ている。目をつぶって噛みしめる、ほかの刺激を遮断してそれだけに集中したくなる。
身体的な喜びです。
曲もいいのだと思います(先日『セツアンの善人』を観に行って、内容も演者さんの歌声も素晴らしかったが、曲がいまいち好きじゃなかったのでクァーってならなかった)。
で、真似したくなる。
自分も(無理なくせに)歌いたくなる。
以前も書きましたが、カラオケには劇団四季の楽曲もたくさんあります。
↓ 劇団四季興味ないあーちゃんに永遠にWICKED聞かせる話 ↓
上記記事の時はJOYSOUNDでしたが、『ゴースト&レディ』の曲と、『美女と野獣』の最新ナンバー『チェンジ・イン・ミー』が入っているのはDAMでした。
(『チェンジ・イン・ミー』大好き!いーまーのあたしーが、すきー♪)
まだゴスレの曲はカラオケで歌ったことないのですが、最近そればっかり聞いているので、そのうち行きたいな。
「基本的に劇団四季はハコ推し」の理由
劇団四季の俳優さんたちは、誰もかれもとにかく歌唱がすごいです。
四季生え抜きの俳優さんの歌い方は特徴的だったりもします。
↓ これは四季の俳優さんじゃなくてミュージカルネタいっぱいやってる芸人さんのくらたが大好きなネタ。各カンパニーの違いを見事に演じ分けている。
劇団四季のパートの、なんかとにかく前向きにキラキラした感じとか、ラストの「えおいおいあ~~(でもひとりさ)」の「あ~」の最初ちょっとえぐる感じの打点を作るのがほんと四季っぽい。
なお、『On my own』は東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』のナンバーです。少なくとも劇団四季ではレミゼはやっていません。
さて、くらたは基本的には、劇団四季はハコ推し以上に解像度を上げない、と決めています。
なぜかというと、昨日書いたとおり、劇団四季の俳優さんの識別ができるようになってしまうと、同一演目の別キャスト版を観たくなってお金がいくらあってもたりなくなってしまうから。びんぼくさい理由でした。
でも、劇団四季は「作品主義」を掲げ、スターでアピールする手法はとっていないのでその劇団の価値観とマッチしています(強弁?)。
それにしたって、3回も観に行っちゃったもんで、また、りーちゃんのキャスト解説が最高に面白くて、自然と解像度が上がってきてしまう……。
くらたが観に行った3回は、主演・フロー役は谷原志音さんでした。
だからわたしにとってフローは、ハキハキしたセリフ回しの、芯の強い谷原フロー。
サントラCDのキャストも、フロー役は谷原さんです。
Wikipediaによれば、谷原さん、アナ雪のエルサもやってるんだ、でもWICKEDはグリンダなんだメゾソプラノっぽいので意外……エルファバにしては声が高いのかな。
サントラのボーナストラックでは、真瀬はるかさんの宝塚歌唱も聞けてお得でした。聞き比べると結構違う。なんだろう、四季歌唱のほうがソリッドで泣きとか歌謡曲的なテクニックが入っていて、宝塚歌唱のほうが声楽的でまろやかで女性らしいというか。
谷原フローの『偽善者と呼ばれても』
谷原フローの真骨頂はクライマックスナンバー『偽善者と呼ばれても』。
サントラ版だと2:50ごろにある大サビがめちゃくちゃいいんです~!!!
この「あかあかと生命燃やすわ」の「あかあかと」の力強さが生命力の強さを感じさせるし、ア母音の伸びやかさ、解放感がすごい。
「さあ!」の、歌唱だけでもなく台詞だけでもないバランスも最高だし、何よりも「撃てばいい」が絶っっ品……!なのです!!!
「うてばいい」って、「う」も「いい」も、意味上大事なところが母音で、言葉全体に硬さや勢いを持たせるのがそもそも難しいのに、啖呵として迫力ある歌唱になっている。
語頭に子音がないだけでも勢いつきにくいのに、「う」って母音の中でも特に息の漏れやすい、力の入れにくい母音。音も低いし……。
でもその、息の混ぜ方、胸の響かせ方がすごくこちらの身体を共振させて来る。こちらの胸郭も響く感じ。
これ、真瀬フロー版も聞きたいなあ……配信楽しみ!
デオン聞き比べ
10年来WICKEDファンであるくらたは、かつてエルファバを演じた岡村美南様が大好きです。四季の役者さんの個々人を識別しないくらたでも、ゴスレ前から唯一わかっていたのがこの美南様。
とにかく美麗でスタイルが良くて潤いのある低声が知性や品を感じさせる。
ゴスレ1回目・2回目はともに岡村デオンでした。
3回目にして宮田愛さんデオンに初めましてだったのですが、これはこれで好き!!!
うまく言えないのですが、歌でなく台詞のとき、岡村さんはそれさえも歌っているようだが、宮田さんは話しているように聞こえる。
潤いのある岡村さんに対して、ハスキーっぽい宮田さん。
トラつばの伊藤沙莉さんもそうですが、ハスキーな声って説得力というか実在感がありますよね。
うーん、やっぱり感覚的でうまく言えないんだけど、岡村デオンは自分を「男として生きる女」と認識して生きているように聞こえて、宮田デオンは、自分を「男」と認識して生きているように聞こえたのです。
気になって気になって、サントラは岡村デオンがメインなのですが、ボーナストラックにちょびーっとだけ宮田デオンもあったので聞き比べてみました。
主観ですが、岡村デオンは話すときでも喉の深いところで歌のような発声(喉仏下げて、軟口蓋に響かせる)をされていて、宮田デオンは話すときは口の先と喉の深いところを使って軟口蓋の響きは使っていない感じ。
それが話し言葉の生っぽさを出しているのだと思いました。
笑い声とかも宮田デオンの飾らない感じ、好き。
女声の話ばっかりだな
こうして書いてみて思ったのですが、劇団四季の役者さんの解像度上がったとか言って、女声の話ばっかりじゃない?
なんだろう……まあ歌舞伎は男性のみで構成されているから別として、ミュージカルの話をすれば女声の話ばっかりだし、トラつばは伊藤沙莉さんと土居志央梨さん、女子バスケは大好きなのに男子バスケは別に……。
ひとつには、四十がらみの未婚女性として、現在進行形で男性の話をすることを自制している、という側面は、ないとは言わない。
でも、ミュージカルで興味が向いたり気が付いたことがほんとうに女声のことばっかりだったし、男子バスケはほんとうに見ない。
それを不思議だと周囲から言われることもあるし、自分でもなんでかわからないできたけど、もしかしたら「女性パフォーマーのほうが自分の身体が共振しやすいからではないか」と、今思い至りました。
四季の曲をカラオケで歌うとはいっても、男声の歌を歌おうと思ったことはあんまりない。
女子バスケを見て、ひどい運動音痴の自分にあれができるとは全く思わないけど、身体を動かしたくなったり、走りたくなる時はある。
ちなみに歌舞伎では共振はあまりしません。
女形であっても、同じように動きたいとか声を出したいとかは思わない。
歌舞伎は、その共振性のなさが私にとっての魅力な気がします。
それはまたいつか書きたい。
おお、謎が一つ解けた。
だからグレイの話もしてみる
ということで、せっかく女声の話ばっかりだな、と気が付いたことですし、予定になかったけどグレイについても書いてみたいと思います。
ちゃんと書こうと思ってみれば、グレイもとっても魅力的なのです!
グレイは1・2回目は萩原隆匡さんグレイ、3回目は金本泰潤さんグレイでした。
もともとグレイというキャラクターの持つ、屈託からくるスカした感じが「かっこつけすぎィ」って思っていたのですが、萩原グレイはその屈託や「かっこつけすぎィ」な感じがいかんなく出されている感じでした。
萩原グレイの『不思議な絆』の高音は、グレイのかっこつけすぎさや屈託が生々しく出ていて大変にセクシーだと思う。
合唱やってた時は男声はバスバリの低声が好きだったけど、四季を聞くようになってからは高音も好きになりました。
一方、金本グレイはスカしてるけどけっこう自然な感じでした。
歌声も素直というか、全体に王子っぽい素直さがある。
これはこれで、素直に良いと思う。
ソリッドで外連味があるのが谷原×萩原組、お育ちがよさそうで素直なのが真瀬×金本組、というイメージでした(完全なる個人の見解)。
まとめ よかった!また見たい!!
あー書いた!!!
ここまでの4回、お読みくださった方、本当にありがとうございます!
ゴスレ行こうかどうしようか迷っている、という方には、くらたは、一度ご覧いただいたらいいのではないかな、と思います。
ちょうど、東京千穐楽は期間限定配信が決まっており、現地チケット代よりはお安く見られます。
くらたはハマるまでに3回かかりましたが、今はもう沼です。
歌が素晴らしいし、イリュージョンも素晴らしい。
人生賛歌のストーリーも素晴らしいし、グッズもかわいい☆
超!オススメ!です!!
あーまた見たい!!
↓ 公式プロモーションビデオ。今これ観てまた泣いている。 ↓
これは谷原フローに岡村デオンです。
WICKEDも好き、ゴスレも好き、キャッツもひばりもよかった。
四季じゃないけどシスアクもカムフロムアウェイもかたすミュも好き。
好きなものをどんどん増やしていけることは、素直にとてもうれしいことです。