世間知らずの転職活動・フリー編 その2
個人事業主として仕事をスタートする初日。同じ所属会社の大川さんからプロジェクトの状況を聞いていた。プロジェクトマネージャーの山崎さんから、大川さんに業務内容を確認することと、明日、土曜日の出社ができるかの確認を受けたのだった。
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プロジェクトの状況
席に戻ると、大川さんから業務内容というか、プロジェクトの状況を中心に話を聞いた。
まず、今はプログラム作成&単体試験の工程はほぼほぼ終わりで、大川さんの担当サブシステムである課金システムではプログラム作成は終了していて、あとは単体試験が少しと、結合試験に入る準備にかかるということだった。
私も大川さんと一緒に課金システムの担当になるということで、結合試験は来週中に終わるスケジュールだが、いまだ、他のサブシステムも含めて、終わっているところはがない。JCLがうまく動かないらしい。
課金システムでは、大川さんが単体試験まで終わらすことができるので、結合試験の準備、つまり、JCLの作成を手伝って欲しいと言うことだった。テストデータはお客様からいただいたデータを使用するため、ほとんど準備はいらない。
結合試験が終われば総合試験フェーズだが。。。
大川:「JCLがやばいんだよね。まだ、ちゃんと動いているのをみたことがない。」
私:『え?でも結合試験って、もう2週間くらいやっているんじゃ。。。』
大川:「そうなんだけどね。すぐABENDして途中でとまっちゃうらしい。」
※ABEND:「異常終了」(abnormal end)を意味する略語。from e-Words
私:『そうなんですね。みんなで作ってるんですか?』
大川:「それぞれのサブシステムで作ってたんだけど、いまいち動きが悪くてね。雰囲気だけど、JCLチームを作るって言ってたから、君もH社のJCLできるなら、チームに入れられちゃうかもね。」
私:『なるほど。JCLは作れると思うので大丈夫と思いますよ。』
混沌としたプロジェクト
その後、サブシステムが8つあることや、我々が座っている右側に並んでいるオフィス用デスク8つは、サブシステムのリーダーであるSEの人たちが使っていること(まだ、誰も来てないけど)。
メンバーのほとんどがI社の汎用機を使っていた人で、H社の汎用機を使ったことある人は、大川さんと2週間に1日しかこないエンジニアの人が1人だけという状態であることを聞いた。
また、Tシステムは一応プロジェクトのまとめる会社だけど、社員が若い人しかいなくて、PMOとしての役割をするのだけど、ほとんどの人がシステム開発み経験であること、を教えてもらった。
大川:「Tシステムの社長は元Fシステムで偉いひとだったっぽいよ。」
と、そんな未経験な社員ばかりの会社が、なぜ、プロジェクトをまとめているのか耳打ちしてくれた。
私:『町田さんって、来ないの?』
大川:「あ、町田さんはね、このプロジェクトの中では自由に動ける人だから。来るのも午後か夕方なんじゃないかな?」
町田さんはやはりプロジェクトの中では偉い人なんだな。と思いながら、プログラムを眺めていた。詳細設計書はない。だから、一応は存在している基本設計書を見ながら、担当のSEにどの部分をプログラムで実装するか確認しながら進めているらしい。
詳細設計書がないって・・・と驚きながら、設計書とプログラムを見比べていた。『こんなんで開発ちゃんと進むのかな?』と思いながら、きっとだから明日も出社なんだろうと後ろ向きな納得をしていた。
しばらくして、プロジェクトマネージャーの山崎さんから声がかかった。
リーダー登場
山崎:「君はJCL書けるんだよね?」
私:『はい。難しくなければ大体はかけると思います。』
山崎:「よかった。実は結合試験がはじまってるんだけど、試験が全然進んでいないんだよね。原因はJOBが最後まで進まないことにあるんだけど、H社の経験者が少なくて、どうもJCLがうまくないらしい。」
やはり、大川さんの言っていた通りだった。JCLのチームを作るんだな。きっと。
大川:「それで、JCLを集中的に作るので、チームに入って欲しいだ。リーダーはl小森さんにお願いしようと思うので、小森さんと2人だけど、集中的に作ってくれないか?」
私:『あ、はい。小森さん、よろしくお願いします。』
小森:「はーい。よろしくね!」
ちょっと、ノリの軽めな、小太りなおじさんだ。おじさんと言っても、私より5歳くらい上なくらいだが。
席に戻り、小森さんと、どう進めるか相談をした。
今まで各サブシステムで作ってきたものがあるから、それを一度見て欲しいと言うことだった。テスト環境もあるから、見るだけで分からなければ、実際に動かして確認して欲しいと言うことだった。
私:『じゃぁ、小森さん。ふたりですけど、小森さんリーダーなんで。リーダーって呼びますね。』
小森:「お、リーダー。いい響きだね。」
小森さんは、リーダーと呼ばれることが嬉しそうだった。そして、この先、ずっと小森さんはリーダーと呼ばれ続けることになる。
システムエンジニア
午後も過ぎると部屋に人が増えてきた。大川さんから課金サブシステムのシステムエンジニアの赤井さんを紹介された。ずっと、I社の汎用機を専門にやっているということで、このプロジェクトも最初の頃から参画していたらしい。
他のサブシステムのシステムエンジニアの人たちとも軽く挨拶をして席に戻った。そうすると、大川さんと私のところに、Tシステムの若手のメンバーが4名ほどやってきた。
Tシ:「はじめまして。よろしくお願いします。プロジェクトで困ったことがあったら、僕たちに聞いてください。」
と、好青年揃いのTシステムのメンバー。
大川さんに、彼らが何をやっているか?聞いてみると、基本的にはPMO的な立ち位置らしい。実際はプログラムを作ったことがないため、各エンジニアの進捗状況の確認や、雑用をやっているとのことだった。
大川:「試験が始まったら、打鍵してもらうことになると思うよ。あ、画面担当の江川さんは、Tシステムの社員で、唯一のエンジニアだね。」
なるほど。年齢的にはちょっと私の方が上だが、経験としては1年変わるかどうかだな。このプロジェクトでどっちの立場が良い悪いはなさそうだけど、試験は試験でまた大変そうだよな。と思いながら、基本設計書とJCLに目を通すことにした。
引き継ぎの時間
山崎プロジェクトマネージャーから言われていた明日、土曜日の出勤。出社2日目に何ができるのだろう?と思っていたら、先週まで来ていたエンジニアからのJCLの引き継ぎということだった。
大川さんが言うには、H社の汎用機に慣れていない人が多く入ってきて、すぐ辞めてしまう人が多いということだった。そのため、引き継ぎも辞めるまでに間に合わず、土曜日に来てもらって、対応しているとのことだった。
そして、もう1つ、来週の火曜日にどこかのサブシステムの結合試験をやりたいとのことで、土曜日にその引き継いだ課金システムの処理を通してみたいとのことでもあった。『まだ、中身もそんなに見れたないんだけどなぁ』と不安に思いながら、もう気がつくと23時を過ぎていた。
大川さんと2人、下北沢の駅へ最終電車に乗り過ごさないよう、職場を後にした。
つづく。
※この物語は経験をベースにしたセミフィクションです。
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豆知識
JCL 【 Job Control Language 】
汎用機で使われるジョブを制御する言語のこと。いくつかのプログラムをジョブとしてまとめて実行する。メーカー、OS、バージョンによってJCLの機能や構文は変わってくる。
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