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世間知らずの転職活動 その4

2000年10月1日から仕事のない日々が始まった。毎日転職活動。ただ、思ったような成果がでない。10月も中盤に差し掛かった頃、前職の田宮先輩から飲みに行こうと誘われ、久しぶりに前職がある新橋に出てきたのであった。

前回はこちら

先輩の気遣い

田宮先輩:「仕事はどう?」

私:『いや。これが思った以上に難航しておりまして、書類選考が通ってもなかなか面接が難しくて』

田宮先輩:「WEBシステムの開発したいんだっけ?
俺なんかはずっと金融系のシステムでCOBOLばっかりだからWEBシステムのことはよく分からないけど。経験がないとやっぱり厳しいのは分かるよ」

私:『そうなんです。面接に行っても大体COBOLの仕事を勧められるので、僕のアピールもうまくないのかもしれなんですけどね。』

田宮先輩:「そうだよ。昔からパソコン得意で、うちのECサイトの企画チームでもやってたじゃん?それをもっとアピールしたらいいんじゃない?俺なんかよりよく知ってるじゃん?」

私:『そうですよね。。経歴だとCOBOLだけしかないけど、ECサイトのプロジェクトをもって、前面にだして、説明すればいいんですかね?ありがとうございます。なんか、ヒントになりそうです。』

田宮先輩:「そうだよ。得意なところをもっと話した方がいいよ。」

前職で運営していたECサイトは、あるメーカーと連携していたもののアクセス数も頭打ち状態であった。そのため、部署外の希望する社員を集めて、次の展開を検討するプロジェクトを立ち上げていた。私も若手ながらコンピュータ好きを認められ、参画させてもらってたのだ。

仕事のできる奥様登場

田宮先輩:「俺なんか新卒の頃なんて、コンピューター分からないから、いっつも同期に聞いて仕事してたよ。それが今の嫁さんだけど」

私:『あ、そうなんですね。単なるノロケですねw』

田宮先輩:「あ、そうだ。嫁さんは今、フリーでやってるから、もし、興味あれば仕事紹介してもらうように言っておこうか?個人事業主になるから会社員ではないけどね」

私:『ありがとうございます!是非お願いします!』

田宮先輩の奥様である恵美さんは、ももともと前職の社員。何度かお会いしたことはあったのと、恵美さんのことを知っている方からは仕事がすごいできる人と聞いていた。もともと、フリーランス には興味はあった私はこの話に飛びついた。

翌日、恵美さんより電話があった。
内容としては、「自身が仕事をするときには、案件を紹介してくれる営業の人がいて、今回もその営業の人を紹介してくれる」ということだった。

数ヶ月のプロジェクトもあれば、何年も続くプロジェクトもある。
田宮先輩の奥様は、数ヶ月プロジェクト入って、1ヶ月休んで、また次のプロジェクトに入って、というペースで働いているから、責任は重いけど、自由に働けて楽しい。

ただ、会社員と違って自分でいろいろお金を払わないといけないから、その分は自己責任として、ちゃんと考えないと難しいよ。と言っていた。
なるほど。個人事業主。責任は重いけど、自身の腕を試せるいい機会だと思った。

個人事業主への挑戦?

もともと、前職に入社したのも、将来フリーランス になるべく、規模の小さい会社で経営者の近くで働きたかったから。しかし、お客様のところでCOBOLで開発と所属が決まったときは、正直悩んだ。そして、すぐ辞めようと思っていた。

実際にプロジェクトに配属されたらされたで、プログラミングの経験はあるからCOBOLのプログラム自体は全く問題なかったものの、業務知識の大切さや品質担保のための試験手法など、プログラミンではない部分で、コンピューターに詳しくのない先輩たちから学ぶことが多く、未熟さを体感し、もっと経験を積まなければならない、と思ったのだった。

だから、今回の田宮先輩、恵美さん夫妻の話は、転職活動がうまく進まず落ち込んでいた私に、昔の想いを思い出させてくれたのと同時に、奮い立たせてくれたのだった。

そして、恵美さんに紹介してもらった営業の上田さんと電話で話し、会うことになった。事前にFAXでスキルシート(履歴書ではなく、自身の技術経歴を記載したもの)をお送りし、紹介できる案件がちょうどある。ということだった。

経験ベースで案件紹介があるから最初は希望の案件は難しいかもしれない。けど、続けてく中で新しい技術に挑戦する案件もでてくる」「会社員時代よりも最低でも1.5倍くらいもらわないと、間が開く可能性があるからリスクだよ」と、恵美さんからもらったアドバイスをメモった手帳を手に、上田さんとの面接に挑んだ。

お洒落カフェ面接

青山の名前は忘れたが、とてもお洒落なカフェで待ち合わせだった。
上田さんとは電話でしか話していないので、どんな方かも想像がつかない。
約束のカフェの入り口で立って待っていると、ハゲたおじさんが1人こっちに向かって歩いてくる。

「こんにちわ。佐藤さん?」

と声をかけられた。どうやら上田さんらしい。おでこが油で光っている。
簡単に挨拶をすませ、カフェの中に入って行こうとしたら「あ、向こうで待ってるから。一緒にきて」と言われた。

『?待っている?誰が?』と思ったものの、付いていくしかない。
お洒落なカフェの中をハゲた上田さんの後ろをついて行ったら、そこにまたハゲたおじさんが座っていた。こっちはテッペンも光っている。

上田さん:「こちら、株式会社Iシステムの飯田専務。すごい人だから。」

と、紹介を受けた。
『すごい人?もしかして案件のお客様か?誰なんだ?
上田さんと面接のはずが、なんで他の人がいるんだ?』
と、頭の中は「?」だらけで、パニックになりかけた。

いったい、どうなるんだろう?と不安で一杯のなか 飯田専務から

飯田専務:「いやー、いい青年だね。君にあったいい案件あるから、ほら、座って、この後、大丈夫だよね」

と、お洒落なカフェに似合わない大きな声で、ハゲたおじさん2人がニヤニヤ笑いながら、頭を光らせて笑っている。

『いったい、俺はこの後どうなるんだろう。。。』

と、大きな不安をかかえたまま、面接らしきものがスタートするのだった。

その5 に つづく

※この物語は経験をベースにしたセミフィクションです。

次回はこちら

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