日本語教師|人前で緊張しない方法
日本語教師になって、8年近くになりました。
今では10人程のチームをまとめる教師リーダーですが、新任教師だったときは、それはもうひどいポンコツっぷりでした。
ポンコツの原因その一は、あがり症だったことです。
それに気づいたのは高校時代。英語のスピーチをする授業で、クラスメートたちの前で自分のスピーチ原稿を読み上げようとしたときです。
手も声も震えて、話せない……。
みんなの目がこちらに向いているのを強く意識してしまう。
それまで、授業中に発言するとか、グループワークで課題研究の結果を発表するといったことは問題なくできていたのに。
その急なスイッチが入って以降、自己紹介や面接など、自分が中心となって話すときには手から震えて緊張してしまうようになりました。
社会人になってもあがり症は治らなかったので、日本語教師を目指すときも、資格をとったあとは少人数制の学校か家庭教師などから始めようと考えていました。
しかし、まず日本語教師になるために養成講座で模擬授業などの実習をこなさなければなりません。
わたしにとっては、養成講座の座学で、会話活動のアイデアを発表するだけでもドキドキもの。
養成講座を修了するには、模擬授業をしなければなりません。しかも、それをほかの受講者や講師も見ていて、フィードバックを受けるのです。
たくさんの目がこちらを見つめてる空間…考えただけでも逃げたくなる状況。模擬授業の前から憂鬱でした。
模擬授業というのは、その養成学校が外国人向けに開講している日本語コースの受講生が学生役になって、指定された範囲の内容を教えるというものでした。その日の学生役は2人のベトナム人。
そして、模擬授業の本場。
いざ、自分が「教師」として「学生」に話し始めると、緊張や他者の目などというものがまるで頭からなくなって、目の前にいる「学生」にいっしょうけんめい何かを伝えようとする自分がいました。
実際には、終わったあとで緊張していなかったことに気がつくのですが。
そのとき、わかったのは、わたしが緊張するは誰かに評価されることに意識が向いているからであって、正しい目的(このときは学生に正しくわかりやすく日本語を教えること)に意識がフォーカスされているときには緊張しないということでした。
教えることにいっぱいいっぱいで、緊張している場合じゃないのです。
養成講座を修了後、日本語学校に就職することになりましたが、
やはり面接で日本人の主任教師を前に模擬授業するときは震えてましたし、面接の質疑応答は言わずもがな。
それでも、教壇に立つと、目の前に学生が30人いても緊張は吹き飛び、授業だけに集中することができました。
今でも、自分自身の面接や、社内や社外のどんな相手でも、相手がこちらを測っていると意識してしまうと突然緊張してしまうことがあります。とくに、上から目線の人や、大声や早口で捲し立ててくる人は苦手です。
そんなときは、意識を、いかに自分の伝えたいことを相手に伝えて、相手の言い分や疑問を正しく受け取ることができるか、ということだけに集中させます。この切り替えで、少しずつ冷静さを持てるようになってきました。
苦手なことでも、やってみると意外とできることもある。ということと、苦手な理由をつきつめれば打開策が見えてくる。ということ
この2つのことに、日本語教師を目指す時点で気づけたことは、のちのキャリアに続く良い分岐点でした。
まだまだポンコツエピソードがあるので、続けて書きたいと思います。