【非注意性盲目】「注意を向けていないものは存在しない」から考える、運転中のスマホ操作の危険性と発達障害の子の困り感
まずはこの1分ほどの動画で、「白のチームが何回パスを通せるか」を数えてみてください。
どうでしたか?
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パスが13回と正確に数えられた人の中で、ムーンウォークする熊に気づいた人はいますか?
この動画では、Inattentional blindness(非注意性盲目)といって、【視野の中にあって、気づいてもおかしくないほどの物事に気づけない(=見えなくなる)現象】を示してくれています。自閉症の人によくある「見えないものは存在しない」という物の永続性への認知の困難の様に表現すると、「注意を向けていないものは存在しない」という認知傾向といった感じです。
有名な研究では、ベテランのパイロットにフライトシミュレーターを使って着陸訓練をしてもらうと、何人かのパイロットが計器やモニターなどに気を取られるがあまり、あからさまに滑走路にとまって行く手を遮る他の飛行機の存在に気づくのがかなりおくれるらしいんです。
こんな風に、敏腕のパイロットでさえ視野に入っているのに注意が向けられていない事に気づけないわけなので、車の運転中にスマホの操作をしたり、スマホの画面に注視するのがいかに危険なのかをこの動画は示してくれてるんじゃないかなって思うんです。スマホの画面を見ながら前方にも注意を向けているつもりでも、見落としている事があるはず。
また、発達障害の人に多い「木を見て森を見ず」の様な、一つの事に集中しすぎる過集中やシングル/ナローフォーカス、他の人との興味を抱く先の違いや視点の違いなどの特性からこの非注意性盲目を考えると、
注意を向ける度合いが高すぎてより他の情報を見落としやすかったり、注視をしている先が他の人と違う事によってより強くこの非注意性盲目の影響を受けやすいんじゃないかなって思うんですよね。
それが親や先生などが「向けてほしかった」物事に注意が向けられず、叱られたり、呆れられたり、周囲の子からおいてきぼりになったり、授業で取り残されたりといった経験を増やす要因にもなりかねないんじゃないかなって…。
そう思うとね、注意を向ける事に困難のある子には、大人が子供に注意を向けてほしい事が具体的にあれば、「ちゃんと見なさい」といった不明瞭な指示よりも、それに注意を向けやすくしてあげる&注意を向けるのを助けてあげるっていうような関わりも大切なんじゃないかなって思うんですよね。
「きっと(当然)見ているに違いない」じゃなく「もしかして注意を向けられていないのかも?」のように。子供を落ちこぼすんじゃなく、子供の成長を助ける関わりの一つとしてちょっと頭の隅っこに知っててくれる人がいてくれたらいいなぁ~と思い書いた今日のnoteです。