【雑感】蓮田善明という人
週末、講演会に出かけた。なかなか衝撃的だった。
その中で、蓮田善明という人の話が出てた。wikiによると
ふむふむ。戦前の国文学者で詩人である、と。
へー。三島由紀夫に影響を与えた人なんだ〜。
講演会では、蓮田には妻と3人の子どもがいたこと。イギリス領マラヤとは今のマレーシアであること(トップ画像はマレーシアで検索して出てきた写真だ)。2度目の召集令状で、41歳という年齢でもあり、死を覚悟していたこと。などが紹介された。
もちろん講演会で講師は、連隊長(蓮田から見たら上司)の変節がどのようなものであったか、話してくれた。終戦直後、自分の部下たちの高い士気、はやる気持ちを諌めるため、件の連隊長は中程度幹部以上を集めて訓示をした。その内容の変節ぶりは、ちょっと今は紹介する気になれない。だが、例えば、北方領土(千島列島)を守った樋口季一郎中将は、終戦後のソ連の侵略には「断固交戦!」を命じた。しかしいったん武装解除が本決まりになると、江戸時代の城明け渡しのマナーを範とし「騒がす、粛々と武器明け渡しなどを行うように」といった趣旨の訓示を行なっている。
だけど…多分…戦前の人たちも、さまざまで…それは現在の日本人だって100人いれば、100通りの意見があるように…いろいろなわけだ。
それを断ずることは、私には、できない。
だが、同時代人で同じ戦いを戦い抜いははずの蓮田には変節ぶりが許せなかった。連隊長のみでなく、同僚や幹部も同様だった。だから隊長を射殺し、直後に同じ拳銃で自死した。『蓮田善明とその死 (1970年)』に詳しいという。
たぶん…戦前は樋口中将をはじめとして立派な人がたくさんいる一方で、彼ほどバランス感覚はないけれど、すごく何か「窮屈」な感じを受けている人たちも、たくさんいて、そのエネルギーが循環していない。率直に話せていない。お互いに。戦争中では、そんな意見を戦わす、ような、悠長なことも言っていられなかったのかもしれない。とりあえず、ひとつの方針で戦い続けなければ、そもそも戦争なんて、できないのかも、しれない…。
だけど…さらに一方で…『閉ざされた言語空間』を読むと、「無条件降伏」ってそれは軍部のことでしょう?立派に政府は残っているし、国民もなんだかんだ言って生き残っているし、天皇だってピンピンしている、と思っていた国民の自由な言論を、国民が知らぬ間に、無惨に壊していく。一般市民がよもや無条件降伏させられるとは。そう思っていた時期が間違いなくあった。民主主義の美名のもと、まったく非民主的なことが非民主的な手続きによって行われていく。意見のグラデーションがあり、さまざまな意見があるものを、一色に染め上げられていく。軍部が何もかも悪かったのだ、と。
もちろん軍部だって悪いところはあっただろう。
…だから、本当は日本人自身の手で、なぜ、多様な意見が出せなかったのか、率直さが隠されてしまったのか、立派さが立派さとして活かし切ることが出来なかったのか、どういうわけで負けたのか、負けるとわかっている戦争に突き進んだのか、検証する必要があったのだ、と思う。
(そんなものは、何人もの人が検証している、という意見もあるかもしれない。だけど、それって歴史的偏向ってやつが入っていないのか?本当に?)
GHQに委ねてしまった。
もちろん軍隊という圧力で委ねさせられた、わけだけど、自分たちで検証しようという取り組みが、あったのかな?ニュートラルに。プロ市民ってやつでなく。
何もかも軍部が悪かった、軍国主義が悪かった、ではなく。
という私も、衝撃で、蓮田善明の上司の変節ぶりを書くこともできないんだけどね…。
蓮田善明は間違いなくGHQが壊したものを、そのまままっすぐに持っていて…とてつもなく侮辱とか屈辱とか、何かそう言ったもの、壊されたものへの怒り…を感じて、たぶん怒りに任せて、というより自分で判断をした上で、上官を射殺せざるを得なかった、と。
とっ散らかっているけど、今は、とっ散らかったまま。
おまけ:さらに見識を広げたり知識を深めたい方のために
ちょっと検索して気持ちに引っかかったものを載せてみます。
私もまだ読んでいない本もありますが、もしお役に立つようであればご参考までに。
この本の出版記念講演会に行きました。いろいろ学ぶ機会になりました。感謝です。…と言いつつ三島のこともよく知らないんだ。浜崎洋介による評論を読んだだけだと思う。
拝聴した講演会はこの動画のものです。記録を撮ってくださっている方がおられたのですね。
蓮田善明は古事記も現代語訳している。瑞々しいらしい。読んでみたい。
じっくり読んでるところです。
樋口季一郎中将の本の記事を書きました。
こちらがその本。
noteからお祝いをいただきました。みなさまにアクセスし、いいねしていただいたおかげです。ありがとうございます。
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