2021年の梅仕事。はじめて梅干しを漬けてみる【土用干し〜完成】 動画あり
7月の3週目。長かった梅雨が空けてようやく気持ち良い快晴!
翌週は雨マークだったので急いで梅を干しました。
いわゆる『土用干し』と言われている梅を干す作業。
1ヶ月ほど塩漬けした梅を3日間天日干しして梅干し作りはおしまいです。
今回はこの梅干し作りの後半部分、土用干し〜完成までの記録。
まずは土用干しとは何なのか?梅干し作りの後半部分を掘り下げてみます。
土用干しとは
6月ごろに収穫し塩漬けにした梅を、土用の時期に3日ほど日干しすること。
午前中に外に出して夕方前にはしまう。
そもそも土用とは?
立夏、立秋、立冬、立春の前のそれぞれ約18日間のこと。だいたいは立秋前の夏の土用を指すことが多い。( 7/19頃 〜 8/6頃 )
梅を干す目的
・天日干しすることで梅が殺菌され、保存性が高まる
・余分な水分が抜けてねっとりした食感になる
・梅に付着した塩が溶けて浸透圧の影響で梅果汁が出て果肉が柔らかくなる
なぜ土用に干すのか
梅干し作りの流れ
6月 … 梅の収穫〜塩に漬け込む時期は梅雨時期。( 1ヶ月ほど漬ければ充分 )
7月・梅雨明け … 土用干し
梅が収穫され塩に漬けられて、約1ヶ月後がちょうど梅雨明け時期になる。
夏の土用の時期は、1年で1番暑い日が続き、紫外線も1番強い時期なので、梅を干すのにもってこいの時期。昔ながらの『土用干し』は、ちゃんと理にかなった時期なのでした。
紫外線の強さがピークになる時期と時間帯
・時期 … 6月後半から強くなり始め、7月後半〜8月中旬がピーク
・時間帯 … 朝9時頃〜14時頃までが強く、中でも11時〜12時がピーク
夜露に当てる?梅酢に戻す?-それぞれの理由
そんな土用干し、調べてみると色々な方法があることが分かりました。
梅を美味しく柔らかく仕上げるための色々な方法。
3日3晩屋外に干しておく、毎日梅酢に戻す、最後の日だけ夜間に当てる…
などなど。それぞれ方法は違っても、梅が柔らかくなる仕組みと関係していました。
梅が柔らかくなるメカニズム
梅は乾燥することで細胞が壊れます。
壊れた細胞をふやけさせ、また乾燥した細胞が壊れてふやけて…
これを繰り返すことで梅が柔らかくなるということ。
その方法として
①夜露に当てる
乾いた梅を、気温が下がって湿気を含んだ空気に触れさせることが目的。
②梅酢に戻す
乾いた梅を、また梅酢に浸してふやかすことが目的。
どちらも概ね目的は同じようです。ただし梅酢に漬ける場合は、梅が乾燥していて梅酢をよく吸収するため、塩分濃度はより高くなります。
こんな感じで、梅を干すタイミングと梅が柔らかくなる仕組みを理解したので、いざ実践!土用干しに挑戦です。
沖縄での梅干し作り
こちら沖縄では、梅雨入り梅雨明けが早いので本州での土用干しよりも少し早めですが、今回は梅雨明けが遅く7/15〜7/17の3日間に干しました。
1番の心配は、スコール
こればっかりは天気予報をチェックしていても避けられないので、もう一か八か賭けるしかありません。万が一に備えて外出はせず見守りますが、どうか降られませんように。
夜の管理
朝から晩まで湿度が高いので、夜露に当てなくても十分なのではないか?
この件に関しては2パターンの管理をして結果を比べる事にしました。
実践 土用干しスタート
準備したもの : 5つ
①塩漬けした梅…梅作り前半【塩漬け編】をご参照ください
②ステンレスのバットと網…天ぷら用の物を使用
③菜箸…消毒しておく
④ザル…竹ザルを準備したが足りず、急遽100均で吊るすタイプの多用途ネットを購入。
⑤綺麗な保存容器…干し終えた梅を入れるもの。消毒しておく。
手順 : 9ステップ
1日目
①梅をバットに引き上げる
②梅をザルに並べる
③天日干しする
④夕方前に取り込み、夜間は室内で管理
2日目
⑤天日干しする
⑥夕方前に取り込み、夜間は室内で管理
3日目
⑦天日干しする
⑧夕方前に取り込み、保存容器に入れていく
⑨冷暗所で保管
【 1日目 】
まずは、先月下漬けした梅を梅酢から引き揚げる。水気を切ったら、ザルに並べていく。部屋中梅のいい香り。
天日干しした時間は10時〜15時。梅酢も一緒に紫外線で殺菌。
午前中と午後に1回ずつ梅をひっくり返しました。塩が乾いてザルにくっついていて、熟してかなり柔らかくなっていたものは何個か破れてしまった。案外デリケートな梅の薄皮…3日間どれだけ無傷で管理できるか心配になる。
1日目終了。日光浴した梅の渇き具合はこんな感じ。
少し塩が浮いて白くマットな肌質に。涼しい部屋でおやすみなさ〜い。
今回、梅酢に戻したものと、戻さずに室内で(ザルに布巾をかけて)保管したもとで2種類に分けて作ってみた。
半年後、どう違いが出るのか比べるのが楽しみです。
【 2日目 】
1日目と同じく、干した時間は10時〜15時。
昨日皮が破れてしまった梅は気を付けて扱ったので被害拡大は防げた。
昨日よりもマメに、午前中と午後に2回ずつ梅を裏返しました。
これは梅酢に戻した方。今のところ違いは全く分からない。
2日目を終えた梅はこんな感じ。ホカホカの梅、可愛らしい。
夜間の管理は昨日と同じ。おやすみなさ〜い。
【3日目】
この日も干し時間は10時〜15時。
3日間の日光浴を終えた梅を、綺麗に消毒した瓶に入れていく。
心配していたスコールも一度も無く、晴れ続けてくれた3日間でした。
土用干し&梅干し作りはこれで終了。
瓶に詰まった梅に、美味しくなーれと念を送る。
3日後の様子。梅から蜜が出て、しっとりとろっとしてきた。
お〜なんだか梅干しらしい!
実は最終日に干し終えた梅を1粒食べてみたのですが、身悶えする程すっぱかったです。すぐに食べれないわけでは無いけど、3ヶ月以上は寝かせた方が酸味と塩味が柔らかくなるらしい。3年寝かせたらかなりまろやかで美味しいのだとか。半年くらいしたらチョロチョロ食べ始めて3年寝かせる分は少しとっておく事にします。
土用干しをしてみて
ちゃんとした味の感想はまたしばらく先になりますが、作ってみた感想としては思っていたよりも難しくなかったです。なんだか色んなことが書いてあって何が正解なのか分からないし身構えてしまっていたのですが、要点が分かればあとは梅の様子と環境次第なので、家庭で楽しむ分には全てがセオリー通りじゃ無くても大丈夫だろうと思いました。
毎年作りながらその年の出来を振り返り、だんだん自分に合った作り方を見つけていくのも梅作りの醍醐味なのかなぁ、と。
炎天下の中で汗だくだけど、ホカホカの梅になんだか癒される不思議な時間でした。
梅干し作りはこれから毎年の楽しみになりそうです。
梅干し作り前半の記事【下漬け編】はこちら
梅干し作り動画 ( YouTube )
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