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動物園に行こう-留学

留学先での日記。
退屈で孤独な毎日にうずうずしていた時のもの


※●黒い丸の中にはさまれたら当時の日記だよ●

***

●連日の雨。辛うじて曇ったその日の昼すぎ
地元の廃れた動物園に行くことになった。
歩いて一時間圏内にあるはずだったけど場所を知らない。 友達は私より3つ年上の女の子で、アメリカについてはじめてであった日本人だ。
そういえばアムトラックステーション(駅)ってどこにあるんだっけ
と私が言い出し、動物園に行く前に街の駅の場所を二人で探した。

数十分後、なぜか私たちはサクラメントへの電車を待っていた。
電車は一時間遅れてきた。
一人はノーブラで、
一人は片目しかコンタクトをしてなかった。
私たちはその日もどこかフリーダムで
電車にのってバスに乗り継ぎ二時間半くらいの旅になった。
サクラメントに着いたのは夜の7時30分。 

中心部に向かうバスに乗るとき、行き先が同じ男の人が話しかけてきた。
「Do not trust no one in California」 (カリフォルニアでは誰も信用するな)
私たちが日本人と知った彼はそうアドバイスした。
だからバックをぎゅっと持った。 そう言うやつが怪しい気がした。

 サクラメントはサンフランやロスより名は知れてないけどここカリフォルニアの州都。
合衆国の中でも歴史の深い都市のひとつで、その昔、ここから金が発掘されるようになって世界の注目を浴びる。
ゴールドラッシュと言うらしい。
その時代の趣をそのまま残した場所がオールドサクラメントって場所で、ダウンタウンよりも歩きやすくて賑わっていた。

街は少しサンフランに似ていたけど、雰囲気は東京の都庁周辺みたいな感じで、静かで少し堅い空気が流れている?気がした。
一方オールドサクラメントはディズニーランドみたいに輝いていて、
二色の色があった。

どこか安く夜を越せる場所を探しながら歩くと、
ダウンタウンで食事したお店の従業員と話し込み
家に泊めてもらうことになった。 

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〈こんな展開、待ってた〉                                   



マリアはこの場所に8年勤めるベテランだった。
10時の終業時間まで彼女を待ってモールを案内してもらってから、
バスに乗りこみ20分くらいのところのアパートにすんでいた。
彼女は29歳で10歳年上の彼氏と一緒に住んでいた。
彼氏は靴やタイヤを売る仕事で忙しく、今日も帰らないといった。
財布から10年前にとった2人の写真を取り出して見せてくれる。
10代のころに母親を亡くしてから親戚中をたらいまわしにされ、そんなときに出会った人が今の彼氏だという。

すっかりマリアをマリア様かのごとく信用した私たちは、安心し、
今日これから起こるどんなことも幸福なことだと思った。
マリアは、困ったことがあったらなんでも言ってといい、ソファーで簡易ベットをつくった。

じゃあおやすみといって奥の部屋に行ってからしばらくして、彼女は戻ってくる。
手にはライターとなにかもっていて、その口は、マリファナがどうとか言った。

向こうの部屋で吸うんだけど、やっぱり怖いわよね・・
 煙はこっちにこないけど一応。



そして、ファブリーズを一本置いていくマリア。 ・・・・・・・ 真っ暗な部屋に取り残されてしまった。

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〈マリアの部屋は、ほらあなのようだった〉



部屋→密室。
出口→二重ロック。
友達→携帯でオセロをはじめてる。
武器→ファブリーズ。
それって、煙がきたら意識でも失ってしまうのだろうか?
意識を失う時は、意識を失うと、わかるのだろうか?


私たちは靴をはいてコートを着て静かに話した。匂いがしたらどうする、彼氏が帰ってきたらどうする、彼女が狂いだしたらどうするの?逃げるタイミング。。


早く外の空気が吸いたかった。 鼻が痛いといえば鼻が痛く、頭が痛いといえば頭がいたいような気がした。


その日は寝ないことにしたけど、マリアの寝息が奥から聞こえてくると緊張が和ぎ、友達は2時に眠って私も3時に眠ってしまった。


翌朝、トイレを使ったとき、変なにおいがした。
それからマリアは、ホームレスにとご飯の残りを家から少し歩いた路上に置いてから、町を案内してくれ、
飲食店を一緒に探してくれた。困ったらまた連絡してといって電話番号も教えてくれた。


空はどこまでも青かった。 
それから私たちは怖かったね、危なかったねと、話をしながら、朝食をとった。

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〈その後、図書館や議事堂美術館、ブリッジなどを観光〉



くたくたになるまで歩いてから、またオールドサクラメントに戻る。 
街はネオンでキラキラとしている 。      
道でお香みたいなのをたいてるおじいさんがいて、前を通ったとき、
朝のトイレと同じようなにおいがした。
おじいさんは赤い帽子をかぶっていて、白いひげをたくさん生やして、
まるでサンタクロースだった。


マリアはいい人だった。
困っている人を放っておけない優しい人柄で
その証拠にどこに行っても色んな人に慕われているように見えた。

でもきっとマリファナの常習者だ。 そしてファブリーズでごまかす。
アメリカと日本の常識は違うなと思った。

ならどこで人を信用できるのか?とわからなくなった。


信頼が疑いに変わる瞬間をこうも人と共有したのは初めてだ。
朝になったらそんな自分に罪悪感さえあった。

デニーズで夜を明かし、朝6時に私たちはアムトラで帰った。



旅日数3日、合計睡眠時間5時間、計画性0、関わった人20人以上、怖かったこと1回、考えたことたくさん。 ●

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〈今度はちゃんと宿をとろ〉

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