伊豆急の旅(川奈・今井浜海岸)
東伊豆へは、東京からだと、お気軽に行ける観光エリアですが、伊東からさらに南となると、「伊豆急行」なしには、今のような旅はできないでしょう。今回は子どもの頃の回想的「川奈港」に立ち寄って、初めての今井浜海岸の温泉に浸かる旅となりました。
伊東線・伊豆急行で川奈へ
熱海から、本日の伊東線は、東急の払い下げ車輌の鈍行で出発です。
かつてはこの山の中腹に「西熱海ホテル」という熱海全盛期を象徴するホテルがありました。子供心にスゴそうなホテルだなぁと。展望風呂もあったそうです。
伊東温泉、昔から群発地震が悩みの種なのですが、1989年夏にこの手石島のすぐ近くで、海底火山が噴火するという出来事が!その3年前には大島も噴火していて、今思えばつながっていたのかなと。
伊豆半島は、大昔、フィリピン海プレートに乗って、本州にぶつかって、富士山・箱根を造り、温泉の恵みもありますが、地震、火山活動はまだまだ分からないことばかりです。
イルカ漁の川奈港
川奈駅は標高110m、国道135号から少し下ったところにあり、ここから川奈港へは、車で数分下ります。
川奈と言えば、ゴルフ場が一番有名なのかもしれませんが、随分前からダイビングなんかでも名前を聞くようになりました。片田舎の港町ですが、少し歩いてみます。
まず、海岸から少し奥まったところに、日蓮上人をかくまった岩屋があります。鎌倉時代、世も末と「立正安国論」を宣べるも幕府の反感を買い、伊豆に島流しに…、助けたのが川奈の人で、ここに日蓮がしばし居たという。
さらに谷間の奥の方には一つの曹洞宗のお寺があります。
本堂の脇には、いるかが掘られた慰霊塔が立っており、この川奈港は昔、イルカ漁をしていました。伊豆半島はイルカ漁をやっていた漁村はいくつかあり、今でも隣の富戸の港ではやっているとか、いないとか。川奈港は、ほそぼそと2000年代までは続いていたようですが、大っぴらに漁をしていたのは、70年代くらいまでじゃないかと思います。
もう一つ驚くのは、津波での浸水を示す標識。境内のすぐ下のところには、「元禄十六年 元禄大地震 つなみ浸水点」となっています。
ここまで津波が来たんだということです。古いお寺は、このような災害を経験しているので、過去の津波の到達地点の上に境内があります。地震が来たら、少なくともこの境内より上には避難しないといけないことになります。
ぐっると山側の集落を巡って再び漁港の付近へ。
さて、イルカ漁がどんな感じで行われていたかというと、追い込み漁と言って、沖にイルカの群れが現れると、街に「軍艦マーチ」が流れます。船が沖に出て行き、この湾内の中にイルカを追い込みます。湾内の入り口の方から網を狭めていき、この手前の船のあたりまでイルカを追い込んで、捕らえるというもの。最後は、漁師が何名か海に入り、モリで刺して殺したかと思いますが、その場面は見ませんでしたが、この湾の中が真っ赤になったのだけは鮮明に覚えています。
ちょっと残酷に感じるかもですが、イルカを食べるのは、小さい頃に経験しているので、そういうもんだという認識のみ。今となっては凄まじい光景だけが脳裏に残っています。当然、分けてもらったイルカの肉は家で食べるのですが、臭みがあるので、生姜と醤油で相当煮込んで頂きます。つい最近も静岡県内のスーパーでイルカの肉が売っているのを見かけて驚きました(^^;
海女の小屋
お昼は、「海女の小屋」という今となってはだいぶ有名になった食事処に入ります。地元では「海女屋」って呼ばれてます。
数年前に入ったときには、一人だけ海女さんやられていた店員さんいましたが、今はどうなんでしょう。HP見たら、下記のようにあるんで、まだ潜っている方がいるのか…。
今井浜海岸へGO!
川奈駅に戻り、ここから数十分、伊豆急行でさらに南に下ります。と、前方からやって来たのは、クルーズトレイン!
川奈駅を出れば、すぐ下に先ほどの川奈港がちらりと見下ろせます。
ここから、伊豆稲取までは、伊豆急行線内で一番の絶景スポットとなります。台風時にはここが一番のネックになり不通になるという海岸線ぎりぎりの線路。
再び海岸沿いを少し走り、「今井浜海岸」です。
最近は「○○温泉」という駅を増やしていますが、伊豆急行は「~温泉」という駅がない代わりに、「城ヶ崎海岸」「今井浜海岸」と二つの新駅が開業後に出来ました。今井浜海岸も元々は海水浴場シーズンの臨時駅でしたが、見事に昇格。伊豆東海岸は温泉は周知済み、まさに「海」で推したかったのでしょう。
今井浜海岸&民宿「わたや」
駅から徒歩2-3分で、今井浜海岸通りに出ます。通り沿いに歩けば、右手には今井浜海岸が広がります。思っていたより広めの砂浜、「〇〇海岸」と名付けるくらいなので、それはそうか。
お部屋は、こじんまりとしていますが、すべて海側にありまして、窓開ければ潮騒というシチュエーションです。
お風呂の前に少し海岸を歩くことに。
こちらは、諸々自然現象が気になります… にわか地学の知識では分からないことばかり。
自然万物と対話しながら、思い思いに過ごして、宿に戻りました。
白砂青松の露天風呂
さて、宿のお風呂は、宿泊のフロアから一つ下の階に下ります。
一人でのんびりと、浸かりました。東海岸の民宿でこんなお風呂があるとは…。大きくはないですが、温もりを感じる素敵な露天風呂でした。
想定外の金目鯛!
さて、夕飯は、お部屋に運んでくれます。お昼をちょっと抑えたのは、夕飯に金目鯛の煮付けのコースにしたからなのでした。稲取に近いし、という期待もあり。そして、出てきたのは、過去に見たことのない巨大金目鯛!
ということで、みんな海の幸の恵みに浸りつつ、早々と就寝。
帰りはゆったりと…
そうそう、そういえば、この今井浜海岸は賀茂郡河津町。お隣の駅「河津駅」は、河津桜の発祥の地。早咲きで、濃い目のピンク、ゆっくりと満開になります。有名になって、毎年かなりの人出じゃないかと思われます。一度は河津川に咲き誇る河津桜、見てみたいですね。
さて、かつての伊豆急の主力車両100系、ハワイアンブルーの車両は伊豆にお似合いのカラーで大好きでした。今は、一台だけ伊豆高原にあるのですが、こちらは気が付けば、留置状態…。
キンメダイ号、黒船号も魅力ですが、こちらのハワイアンブルーの車両&塗装が蘇ったら、嬉しいですね。
伊豆急なくして、伊豆半島東海岸の旅は語ることが出来ないのでした。