
Photo by
monacooc
【case:カヨ】眠くて眠くてしかたがない
受験を控えた冬、親戚の家で回らない頭を抱え、声を殺して泣きながら問題を解いた中学3年生。
私が学校でいじめられているから外で話を聞くと嘘をついた母が、私を親戚に預けたその足で恋人に会いに行くのを見送った小学生5年生。
楽しかった記憶もあったはずなのに掬えなくて、嫌な記憶ばかりが浮かんで。
私は頑張れる人だったのに、いまの私は頑張れていない。
寝ても寝ても眠い。
毎年つくると決めた一年の目標リスト、年々空のボックスが目立つようになっていく。
あの時よりたしかに世界が広がったはずなのに、小さな窓からアクセスできるそれらが手に入ることはない。
あの頃は眠くなかった。
がむしゃらにその環境から逃げ出す術を、10数年しか生きていないなかから捻り出していた。
いまの私は、絞られた形のままカチカチに乾いた雑巾みたい。
水に浸せばまた使える。
かたちはちょっと歪んでしまっているだろうけど。
長いこと放っておいたのだから仕方ない。
頑張れてたあの頃は、自分を労わらなかったと思う。
たくさん寝るのはいま自分をケアできているのかもな、と半ば強引に自分を納得させる。
硬くて皮膚が傷つきそうな雑巾は、水を吸うのも時間がかかる。
元には戻らないけど、あと少し時間をかけてあげるときっとまた使える。
だからもう少しだけ、寝かせて。
いいなと思ったら応援しよう!
