コトバの力
大昔、ある製薬会社に通っていたときに聞いた話。
私は当時の担当者に、
便秘薬の広告媒体案を提案させてもらっていた。
彼は媒体の一つを気に入ってくれ、
前向きに検討すると言ってくれていた。
ところがある日、
急に呼ばれて
「出来なくなった」との回答をもらった。
(なぜ急に?)
理由を聞くと、
営業セクションから宣伝をやる意味があるのか、
との議論が持ち上がったとのこと。
計画自体がペンディングになっているという。
どうやら
宣伝もしていないのに、
店頭で商品が急に、
どんどん売れ出したらしいのだ。
「それがですね、
売れ始めた理由が、
一人の営業マンが手作りで作ったPOPにあるらしいんですよ。
そこに書いてあるコピーが効いたみたいで・・・
営業ではそのPOPを全国の薬店に広げようと
今、盛り上がっているんですよ」
媒体提案はオシャカになったが、
そんなことより、
私はそのコピーが知りたくて仕方なかった。
で、コピーとは?
「ウンチどっさり」
その後、
実際に、このコピーの入ったPOPは
大手ドラッグストアチェーンでも、
街の薬店でも見かけるようになり、
商品も定番になったのが、見てとれた。
一人の営業マンの思いを込めた言葉が、
生活者に心に突き刺さり、揺さぶり、
商品を手にとらせる。
たった一つのお店から起きたそのムーブメントが
全国に波及し、
大きなマーケットを作ってしまった。
私は感動した。
ご同輩、お互い頑張りましょう。
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