なんでもかんでも強力粉
お菓子作りには大抵薄力粉を使う。
薄力粉じゃなければ中力粉だ。
強力粉は、薄力粉と混ぜて使うことはあっても、単体でお菓子には使われない。
でも強力粉しかうちにはない。
何種類も小麦粉買ってたら冷蔵庫埋まるもん。
よって毎回強力粉で無理やり作る。
なぜ強力粉かと問われれば、富澤商店という菓子材料販売サイトで割引していたのを見て、何も考えずに買ったからだ。
届いてから強力粉だったと気づいた。お菓子作るつもりだったのに。
ちなみに上白糖もないから毎回てんさい糖を使ってる。クッキー的なのを作ると、砂糖のつぶつぶ感が残ってちょっときもい。
お菓子のレシピには大体小麦粉の種類が指定されている。
ハードパンやうどんなら強力粉を使う。
準強力粉、中力粉はよくパンのレシピで見かけるが、サクサク感を出したいお菓子のレシピには出てくることもある。
薄力粉は柔らかいパンとお菓子でよく使う。
こんな指定がわざわざ為されるのは、小麦粉に含まれるタンパク質量の違いから結果に差が出るためだ。
強力粉が一番タンパク質量が多い。
タンパク質量が多いとグルテンが生成されやすいので、コシが出てしっかりした食べ応えになる。
代わりに焼成時の膨らみは少なく、焼き菓子などはぎっちりした密度になる。多分シフォンケーキとかを強力粉で作ったら別物になる。
要するに膨らみで伸びるほどやわらかくないのだ。
この間、強力粉+薄力粉指定のされているピザのレシピを、無理やり100%強力粉で作ったら、耳が全然膨らまなかった。
なんかサクサクしている。
もしや私はクッキーを作ったのだろうかと思ったね。ステラおばさんも引くレベルのばかでかいクッキー(甘くない)に、チーズやら肉やら載せて食べていたのかと錯覚した。
その前にビスケットを作った時も、最初噛んだ時は固すぎて、パンはパンでも食べられないパンみたいなビスケットを作ったのかと焦った。
頑張ってもっかい噛んだら、普通にザクザク食べられたからよかった。
数年前、本当に文字通りハンマーで殴っても割れない超高強度のクッキーを作ってしまったことがあるから本当に焦った。
多分原因は、生地を混ぜる時の「さっくり切るように混ぜろ」という指示を無視し、こねるように混ぜたためだと思われる。
グルテンは「捏ねる」ことによって生成される。
理屈は知らない。
これはうどんを作るなら正解だが、クッキーの時にこれをやると、ガチガチに固いクッキーを作ることになる。
しかもさっくり短時間で混ぜずに、20分かけてしっかり捏ねた。
あの時のクッキーは誰1人として食べることができなかった。
私は今までの人生で一度も骨折をした事がないくらいには、おそらく、たぶん、そこはかとなく骨が強い自信がある(以前品出しバイト中にカートを引っ張って移動させていたら、踵にぶつけてヒビを入れてしまったので自信がなくなった)ので歯が欠けなかったが、人によっては欠けているレベルの固さだった。
水でふやかしても固すぎて意味がなかった。
もはや鉄。
諦めて捨てた。
あれは食べ物じゃない。食品から食品サンプルが作れるとは知らなかった。
その経験で、レシピ通りに作ることの重要性を学んだ。
でも小麦粉の種類は揃えたくない。面倒だから。
それならば、グルテンを生成しないように作ればいいだけなのである。私は賢いので閃いた。
文明の利器、フードプロセッサーがここで活躍する。
やつは正しく「切るように混ぜる」プロである。しかも早い。
私がヘラで混ぜると、ボウルからうっかり小麦粉を吹っ飛ばし、周囲が一面の銀世界になるという戦略級豪雪魔法を発動してしまうが、固有結界(蓋と容器)を持つフードプロセッサーならばその心配もないのだ。
まあ私ほどになれば、フードプロセッサーに材料を入れる段階でひっくり返して、魔法を発動させてしまうのだがね。
自分の才能が恐ろしいよ、まったく。
お菓子を作るより掃除をしている時間の方が長い。
そういうわけで、何でもかんでも強力粉で代用しようとする同志諸君はフードプロセッサーを使おう。
そんなことしないって?それはどうかな。
私は知っているぞ、同じく横着な人間がこの世にごまんといることを。
Google先生に「食品名 代用」とかで質問している人は大量にいるし、レシピサイトの投稿に「これって〇〇を□□に、△△を⭐︎⭐︎に出来ますか?」とか質問してる人は探せば大抵1人はいる。そこまで変えたらもう別物だろレベルに変えようとしてる。
ショートカットがしたい。
だが失敗はしたくない。
これが人間の摂理である。
でも正直、中力粉だけ使ったほうが汎用性高いよ。