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パトリック・ロジェは買わない

こんにちは、ショコラリスト®︎サユリです。
そろそろ日本の〈サロン・デュ・ショコラ2025〉が近づいてきましたね。チョコ好きたちがソワソワし始めています。日本では今年23回目の開催で、もはやバレンタイン時期の一大イベントとして定着しています。


今年、私はチョコよりも重要な人生の一大イベントがあって、この期間は現地には伺えないのですが、チョコ好きたちの噂話をチラ聞き、チラ見させてもらおうと思っています。


さて、〈サロン・デュ・ショコラ〉に参加するショコラティエの最高峰は、個人的にはパトリック・ロジェです。毎年、伊勢丹のバイヤーもイチ押し。日本に店舗がないこともあり、高額ショコラでありながら、毎年、早々とSOLD OUTしてしまうのです。


ナッツ使いや、アイコンとも言えるドーム型の極薄シェルのボンボン・オー・ショコラで有名です。


ここで、パトリック・ロジェをご存知ない方に、AIアシスタントから簡単に説明させて頂きますね。

パトリックロジェは、2000年にフランス最優秀職人賞M.O.F. (フランス文化の最も優れた継承者たるにふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される賞 )獲得した一流シェフ。 特に得意なのがプラリネ。 プラリネの魔術師とも呼ばれる世界中を魅了しているショコラティエなんです!!


彫刻家としての顔も持つ、トップオブトップのショコラティエの中では異彩の才人です。

もうね、ブティックそのものがアート、ミュージアムです。

美意識しかありません!


あくまでも私の主観ですが、パトリック・ロジェは知的な男性が好むショコラというイメージがあります。芸術や哲学の分かる年齢を重ねた男性。クオリティを見抜く人生経験のある男性。

今から20年前、記念すべく第1回目の日本のサロン・ド・ショコラで、パトリック・ロジェのショーケースに並ぶスフェールとプライスリストに圧倒されていた私の前で、全てのバロタンを買い切っていった男性がいました。GUCCIのお財布から何枚もの一万円札を引き抜いて支払っていました。

彼はただのお金持ちのショコラ愛好家や趣味人ではない、何か凛とした空気を発していました。


今思えば、おそらくフランス帰りのパティシエかショコラティエだったのでは?と思われます。当時はプロの買い物客がほとんどだったように思います。来日したショコラティエとかなり専門的な内容の会話をしていたりしました。彼も平日にお休みをとって、サロショを訪れ、パトリック・ロジェのショコラを味わい尽くし、学び尽くそうとしていたのでしょう。


それにしても、サロショの中でも別格にお値段が高いです。アイコンカラーのエメラルドグリーンのバロタンはもちろんお高い仕上げであることは一目瞭然です。


アートのように詰められたショコラは仕切り壁などもなく、ピタリと必要十分な個数と形で収まっています。数学的とも言える緻密さで、一個でも、1ミリでも狂ったら、バロタンには詰め切れないでしょうし、素人さんが一個、無造作に取り出してしまうと、もう2度ともとに戻せなくなる可能性もあります。

もともと、どのブランドのショコラであろうとも、箱入りのボンボン・オー・ショコラは、贈り物用です。自分で買うショコラではありません。


わたしは長年そう信じてきましたが、贈られるはずのジュエリーをさっさと自分で買ってしまう女性の多い昨今。パトリック・ロジェのチョコレートくらい、さっさと自分で買ってしまえば良いのに……


表題のパトリック・ロジェは買わない、というよりは、自分では買わない、という意味です。発売と同時にSOLD OUTで買えないし、在庫があったとしても高過ぎるので買えない、という意味もあります。


いつか、どなたかが、私のためにプレゼントしてくれる日を待ち続けておりました。
 

2024年、22回目のサロン・デュ・ショコラで、ついに、自分で自分に贈ってしまいました。


たまたま、会場のショーケースに、特大バロタンがひとつ、奇跡のように残っていたからです。

もうね、一箱買ったら、それで予算おしまい。他の物は買えませんが、長年の想いというかフラストレーションを、やっとクリアリングしました。

それからしばらくは毎日がパトリック・ロジェ。
きっちり、毎日4種のフレーバーを楽しみ、味覚の記憶に刻みつけました。

まぁ、贅沢な時間、日々でした。
何回かは18歳の息子にもシェアしましたが、息子はパトリック・ロジェには全く興味がありませんが……ハイクオリティなことは直感的にわかったようです。スフェールもロシェも、タダ者ではないオーラを息子の口中に放ったようですが、マジパンのボンボンだけは、うへぇーと顔をしかめました。

マジパンのフィリングって、日本ではあまりお目にかかりません。今も昔も純ヨーロッパ的な味わいのようです。私が生まれて初めて、おそらく、やはり5歳頃かな?マジパンがセンターに入った輸入物のチョコレートボンボンをもらったときももやはり、今の息子と同じ、うへぇ〜と甘苦く顔をしかめたかもしれません。


今なお、未知の味、異国の味なのでしょう。


ちなみに、そのボンボンも祖父の家の近くの八百屋さんで買った物でした。


毎日4粒ずつ食べていったボンボンもついにおしまいになってしまい、名残り惜しく思っていましたが……な、な、なんと! 

箱の底に薄く敷かれていたダークブラウンに光沢を放つプラスチックシートを、分別ゴミにしようと取り除けようと、裏返したところ……


な、な、なんと!


バロタンの底一面に敷き詰められていたのは、カカオニブを散らしたビターチョコレートの薄いタブレットだったのですッッ!

ロジェさまぁ〜〜😭🙏✨


もう、こんな遊び心のあるサプライズに感謝感激です!

あーあ、もうッ!
バロタンを捨てなくって良かった〜

(もちろんバロタンを捨てたりはしませんよ。今も私のデスク脇でステーショナリーを納めております)

いつまでも孤高のショコラティエでアーティストで、別次元の存在でいてください。

ロジェさまの公式サイトもアーティスト魂に溢れています。


昨年のバナナのショコラは、検閲入るのでは?と、マジヤバというか、本物のアーティスト魂全開のビジュアルに度肝を抜かされましたし……

https://www.patrickroger.com/ja


そして、やはり、このショコラは自分では買わないと認識し直しました。本当にロジェさまのエスプリの分かる人からプレゼントされたい。一緒に一粒ずつ味わいたい。今日はコーヒーに合わせて、明日はスピリッツに合わせて……というように、時間と日々を、互いの味覚をすり合わせるように、共に味わえる人と共に楽しみたい。

マジパンで共に顔をしかめたら、きっと人生も共にできそうです。

もちろん、バロタンの底に残ったカカオニブがスプリンクルしているシート状のビタータブレットをカチ割り、共に味わい尽くしたい。

だから、私はそんな人からプレゼントされるパトリック・ロジェを心待ちにしているため、自分では買わない、と決めたのです。


お読み頂き、ありがとうございます。
あなたのチョコレートライフの参考になれば幸いです。

(私のようにこじらせず、さっさと自分で買ってしまうことを、本当はお勧めします 笑)


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